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リサーチのプロとして長いこと歩んできた今泉大輔です。ChatGPT出現以降、Facebookで「ChatGPTとMidjourneyのビジネス活用を探って行く勉強会」を立ち上げ、「ビジネスパーソンにとってのAI」の観点で米国情報を収集して来ました。知的アウトプットの質と量を向上させるプロンプトの開発にも取り組んでいます。

【NISA成長投資枠】ウォーレン・バフェットの保有銘柄を調べる英文プロンプト

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NISA口座数2,500万、累計買付額49兆円、みんなが株式投資する時代がやってきた

2024年9月末のNISAの口座数は2,500万を超え、累計買い付け額も49兆円とかなりな規模になっています
金融庁が2024年3月末に調査した結果では、2024年のNISA利用枠の買い付けは「成長投資枠」が83%を占めており、多くのNISA利用者が国内株式、外国株式、投資信託の投資に動いていることがわかります。

成長投資枠83%.png

私が2000年前後に株式投資入門の本を書いたり、日本に進出する米国大手オンライン証券の投資啓蒙コンテンツの仕事をした時には、まだ「株で利益を出すのは良くないことだ」という社会通念が根強かったことを考えると、隔世の感があります。

年240万円の成長投資枠で米国株を買うにはAIを利用しよう

NISAの成長投資枠では1年間に240万円までの個別株投資ができます。ここは日本株ではなく、過去25年に渡って成長し続けている米国株式を買ってみようと思う方も少なくないと思います。これまでは英語の壁があり、米国株式の情報を得るのはハードルが高かったですが、今ではChatGPTやPerplexityなどの優れたAIが使えます。しかも無料版でもかなりのパフォーマンスを出します。

以下はChatGPTの無料版に"Can you create S&P500 stock chart in last 25 years?"という英文プロンプトを入れて作成させたチャート(日本語ではうまく行かないことがあります)。米国株式市場全体を代表する指標S&P500の過去25年のチャートです。

S&P500 25years.png

ところどころで凹み(極端な株価下落)があったものの、米国株式市場はその凹みを上回る成長を続けてきていることがよくわかります。

日本の株式市場はこの間、バブル崩壊があり、その後、失われた20年が続いていましたが、ようやくと昨年バブル最高値を更新する局面があり、復活を遂げかなというところです。

現在始まっているNVIDIAなどのAI関連銘柄の力強い成長を考えると、日本株よりは米国株となる人も少なくないはず。

今回は試しにウォーレン・バフェットの保有株式を知る英文プロンプトで、ChatGPTなどの無料AIを使って、答えを出させてみましょう。

バフェットの保有銘柄を知る英文プロンプト

ChatGPTなどの主要なAIはすべて米国で開発されており、英語でプログラミングされ、英語の情報を膨大に学習してコアが出来上がっています。日本語でも使えるようになっていますが、日本語のプロンプトは内部で英語に翻訳され、英語で処理され、それが日本語に翻訳されて回答となります。プロンプトを英語で書くべき...というのは、プロのリサーチャーの経験が長かった私の職業的な信念で、英語で質問したことで深い回答が得られた経験を何度もしてきました。

一部のAIは、日本語で米国企業や米国株式について質問すると、日本語の情報源だけ探して回答することがあります。日本語の情報だけ見ても米国株式について知ることはできますが、ここはやはり米国に大きな海のように存在している膨大な英語資料をフルに活用して、エッセンスのような情報をAIで得たいところ。やはりプロンプトは英語で書くべきです。

英語のプロンプトを得る方法にはいくつかありますが、そこは順繰りに解説して行きます。まずはウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)の保有株式を調べてみましょう。

ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)は、アメリカ合衆国の投資家、経営者、資産家、慈善家です。世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務め、卓越した投資手法から「オマハの賢人」とも呼ばれています。
【バフェットの投資手法】
独自性があり、自分が理解できる株式だけを買う
企業の本質的価値を分析し、現在の株価が割安な企業に投資する
優良企業の長期保有を重視する
不確定要素が大きく業績の変動が極端になりがちなベンチャー企業は敬遠する

出典:GoogleのSearch Lab - AIによるウォーレン・バフェットについての説明

以下のプロンプトを使います。

ザクッとしたプロンプト
What are the latest stock holdings of Warren Buffett's Berkshire Hathaway?
(和訳:ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの最新の保有銘柄は何ですか?)

バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイがSEC(証券取引委員会)に提出した公的な資料13Fから保有銘柄を探し出すプロンプト
Can you provide a list of Warren Buffett's Berkshire Hathaway stock holdings as of the most recent 13F filing?
(和訳:最新の13F提出書類時点でのウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの保有銘柄のリストを提供できますか?)

とりあえず、上のザクッとしたプロンプトを無料のChatGPTGeminiPerplexityGensparkに入力したところ、以下の回答が得られました。英語のプロンプトには英語の回答が返ってくるので、「上の回答を翻訳して下さい」と一言入れるのがコツです見事な和訳が出てきます。

ChatGPT(ハイライト)
ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの最新の株式保有状況(2024年第4四半期時点)
バークシャー・ハサウェイは、約2670億ドルのポートフォリオを保有しており、38銘柄に分散されています。
主要保有銘柄(上位5銘柄)
Apple (AAPL):
3億株を維持し、評価額は750億ドル超
American Express (AXP):
長期的な主要投資銘柄として継続保有
Bank of America (BAC):
15%減少し、6.8億株に縮小
The Coca-Cola Company (KO):
伝統的な主要保有銘柄として維持
Chevron (CVX):
依然として主要投資銘柄の一つ

最近の変更
 中略
完全売却(ポートフォリオから除外)
Ulta Beauty (ULTA):
全株売却
SPDR S&P 500 ETF (SPY) & Vanguard S&P 500 ETF (VOO):
完全に売却

Gemini(ハイライト)
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、2024年第4四半期(12月31日締め)のSEC(米国証券取引委員会)への提出書類(Form 13F)を提出しました。主なポイントは以下の通りです。
主要保有銘柄:
Apple (AAPL)は引き続き最大の保有銘柄であり、ポートフォリオの約28.12%を占めています。
上位5つの保有銘柄(Apple、American Express、Bank of America、Coca-Cola、Chevron)でポートフォリオの大部分を占めています。
新規および買い増し銘柄:
Constellation Brands (STZ)(大手ビール・スピリッツ会社)の新規ポジションを取得しました。
Domino's Pizza (DPZ)、Occidental Petroleum (OXY)、Pool Corp (POOL)、Sirius XM (SIRI)、**Verisign (VRSN)**の既存ポジションを買い増しました。

Perplexity(ハイライト)
2024年12月31日時点の最新の13F報告書に基づき、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの主要株式保有状況は以下の通りです:
アップル(AAPL):引き続き最大の保有銘柄で、750億ドル以上の価値があり、バークシャーのポートフォリオの約28%を占めています。
アメリカン・エキスプレス(AXP)
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
コカ・コーラ(KO)
シェブロン(CVX)

Genspark(ハイライト)
さらにBerkshire Hathawayのポートフォリオには、BYDやDaVitaの株式も含まれています。BYDは電気自動車に関連する企業であり、最近の成長が注目されています。また、DaVitaは腎臓病治療に特化した企業です。

加えて、伊藤忠商事や三井物産に対する保有比率は、2023年の時点で確認または更新されている可能性があります。特に、中国市場への関与が増加しているこの2社は、Berkshireの国際的な投資戦略において重要な役割を果たしています。

株に関するネットの噂を見たらAIで確かめよう

最近、ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)がS&P500を売却したという話がSNSで出ており、色々な人が色々な情報源から情報を引っ張ってきて論じていました。上のザクッとしたプロンプトを使うだけでも、ChatGPTで「SPDR S&P 500 ETF (SPY) & Vanguard S&P 500 ETF (VOO)」というETFを完全に売却したのだということがわかります。ポートフォリオの中で一定比率を占めていたETFを売却しただけということです。

それよりも、最も大きな保有比率を占めるのがAppleだという大局的な見地でバフェットの保有銘柄を見るべきでしょう。つまり、Appleには絶大な信頼を寄せているということです。NISAの成長投資枠で買う米国株銘柄としては、Appleが選択肢として非常に有望だと言うことはできます。かのバフェットが選んで沢山持っている訳ですので。

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