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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ChatGPT多言語調査革命:フランス語とハンガリー語のワインの歴史の本のサマリーを書いてもらった

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小職は現在産業調査を主務としており、様々なクライアントから様々なテーマをいただいて、主には英語で調査を行なっています

しかし、フランス語も、ドイツ語も、中国語もできないですから、そうした外国語が絡む題材では、なかなか歯が立たない所がありました。

けれども、ChatGPTが出現して、その状況が抜本的に変化しました。

先日、あるクライアントから韓国の企業について調べて欲しいという依頼があり、早速、ChatGPTおよびMicrosoft Bingを駆使して、対象企業の情報を韓国語で漁っている所です。非常に便利です。

以下はデモンストレーション的に、フランス語とハンガリー語でワインの歴史を書いた本を挙げてもらい、そのサマリーを日本語で4,000字分得るという内容です。

○台湾の繁体字で書かれたTSMCに関する資料を得る

Bingは特に、日本語で質問すると回答が幼くなる傾向があります。シャープな回答を得るには英語で聞くのが鉄則です。これはChatGPT自体が英語圏の人によって作られたということが大いに関係しているでしょう。Explicitな英語で聞く。そうすると、Explicitな答えが返ってきます。また、Specificであればあるほど、Specificな答えが返ってきます。

例えば、TSMCについて、台湾語で書かれたドキュメントに良さそうなものがあると想定される場合は、

Can you give me the most trusted documents on the strategy of TSMC written in Mandarin Chinese?

と聞きます。そうすると繁体字の台湾の中国語で書かれたドキュメントが出てきます。

○フランス人がフランス語で書いたワインの歴史

同様に、フランスのボルドーワインの歴史について、フランス人がフランス語で書いた資料が欲しければ、

Please recommend me the most trusted documents on the history of Bordeaux wine written in French language.

とChatGPTに聞きます。回答が英語で返ってくると思います。

(同じものをBingで何度か試しましたが、このケースではあまりいい感じの答えが返ってきませんでした。Bingは、2019年11月以降のChatGPTがカバーしていない資料を用いる場合には良いですが、そうでない場合は、完全に、ChatGPT3.5ないしChatGPT4の方がはるかに精度が高い答えが返ってきます)

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Here are a few recommendations for trusted documents on the history of Bordeaux wine written in French:

  1. "Histoire du vin de Bordeaux" by Jean-Paul Kauffmann - This book provides a comprehensive history of Bordeaux wine, from its origins to the present day. It is well-researched and written in an engaging style.

  2. "Le Vin de Bordeaux: Son histoire, ses terroirs" by Bernard Ginestet - This book covers the history of Bordeaux wine, as well as its terroirs and appellations. It is written by a respected expert in the field and is highly regarded by wine professionals.

  3. "Bordeaux et ses vins" by Émile Peynaud - This classic work on Bordeaux wine has been a standard reference for decades. It covers the history of the region, as well as the technical aspects of winemaking in Bordeaux.

  4. "Les Grands Vins de Bordeaux" by Jacques Dupont - This book provides an overview of the history and terroirs of Bordeaux, as well as profiles of some of the most famous châteaux in the region. It is written by a respected wine journalist and is well-regarded by wine enthusiasts.

All of these books are highly respected in the world of wine and are considered trusted sources of information on the history of Bordeaux wine.

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このうち、良さそうなものを、日本語で要約してもらいます。

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「ボルドーワインの歴史」は、フランスの有名な作家・ジャーナリストであるジャン=ポール・コフマンによる、ボルドーワインの包括的で魅力的な歴史書です。本書では、ボルドーワインの歴史を最も早い時代から現代まで辿り、ワインの進化、その土壌、そしてこの地域を世界の偉大なワイン産地の一つと位置づける人々を探求します。

本書は、ボルドーの地理と気候を概観して始まります。コフマンは、この地域の温暖な夏と穏やかな冬、そしてメドック地方の砂利質土壌からサン・テミリオンの石灰岩丘陵、ポムロルの粘土と石灰岩の土壌に至るまで多様な土壌が、この地域のワインを形作る重要な要因であることを説明しています。

その後、コフマンは古代ローマ時代から始まるボルドーワインの歴史を辿ります。彼は、中世にボルドーがイングランドや他のヨーロッパ諸国にワインを輸出する重要な港となった時期に、この地域のワインが名声を得た経緯を説明しています。また、17世紀にオランダ人がこの地域のワイン貿易を発展させた役割、そしてフランス革命がボルドーワイン産地の生産者と商人に与えた影響についても探求します。

本書の後半では、コフマンは19世紀について掘り下げ、この時期をボルドーワインの黄金期と呼んでいます。彼は、偉大なシャトーが立ち並ぶメドック地方の発展と、1855年の分類がボルドーワインの最高品質と名声に基づいてランク付けしたことについて解説します。また、19世紀末にほとんどの葡萄畑が壊滅的なブドウ畑病(フィロキセラ)に襲われた影響や、この危機から立ち上がったワイン生産者の努力について(も記しています)←途中でChatGPTが止まったので今泉が補足。

彼は、小さなワイン生産者が大手商人に自分たちのワインを販売し、より効果的に市場展開することができるようになったネゴシアン・システムの登場と、グローバリゼーションがこの地域のワイン産業に与えた影響について解説します。さらに、気候変動の懸念、ナチュラルやオーガニックワイン生産の台頭、そして世界中のワイン消費者の変化といった、近年ボルドーワイン生産者が直面する論争や課題にも掘り下げます。

本書では、コフマンがボルドーワイン産業を形作った重要なワイン生産者、商人、その他の関係者の詳細なプロフィールも提供しています。彼はまた、自分自身でこの地域のワインを探求したい読者のために、詳細なテイスティングノートやおすすめを提供しています。

全体として、「ボルドーワインの歴史」は、世界的に有名なワイン産地の包括的で魅力的な歴史書であり、信頼できる情報源となっています。本書の詳細な研究、カラフルな逸話、洞察力のある分析は、ボルドーワインとその産業についてより深い理解を深めたい人にとって必読の書です。

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ということで、私がうろ覚えだった「19世紀末にほとんどの葡萄畑が壊滅的なブドウ畑病(フィロキセラ)に襲われた影響」についても触れられていることがわかりました。

○ハンガリー語で書かれたハンガリーのワインに関する歴史(トカイワイン含む)

過去に2ヶ月ほどハンガリーに滞在したことがあり、あの界隈のワイン(パンノニア平原で産するワイン)の歴史がものすごく古いことを知りました。その歴史について触れているハンガリー語(マジャール語)で書かれた資料をChatGPT3.5に推薦してもらいました。

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Here are a few recommendations for trusted documents on the history of Hungarian wine written in Hungarian:

  1. "Magyarország borai" by Gábor Rohály - This book is a comprehensive guide to Hungarian wines, including their history, production, and different styles. It covers all of the major wine regions in Hungary and provides detailed information on the country's grape varieties and winemaking traditions.

  2. "A magyar bor története" by Dr. Attila Fiáth - This book provides a detailed history of Hungarian wine, from its ancient origins to the present day. It covers the various historical, political, and cultural factors that have shaped the development of Hungarian wine, as well as the evolution of winemaking techniques and styles over time.

  3. "A Tokaji bor története" by László Alkonyi - This book is a specialized history of Tokaji wine, one of Hungary's most famous and revered wine styles. It covers the development of Tokaji wine from the 16th century to the present day, including the various technological and cultural innovations that have shaped the wine's unique flavor and character.

All of these books are highly respected in the Hungarian wine industry and are considered trusted sources of information on the history of Hungarian wine.

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このうち、2冊について4,000字の日本語のサマリーを作ってもらいました。

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「マジャルオルシャーグ・ボライ」は、ガボル・ロハーリによる包括的なハンガリーワインのガイドブックです。この書籍は、ハンガリーワインの歴史、生産方法、および異なるスタイルについてカバーしており、ハンガリーのすべての主要なワイン産地について詳細な情報を提供しています。

本書では、ハンガリーの気候、土壌、ブドウ品種、および地域特有のワイン生産法についても解説しています。最初に、本書は、古代ローマ帝国の時代から始まり、その後、中世には修道士たちがワイン栽培を発展させ、19世紀にはフランスと同様に葡萄畑の権利を取り戻しました。

また、本書は、ハンガリーワインの重要な出来事やトピックに焦点を当てています。例えば、トカイワインの起源や、フィロキセラの蔓延による深刻な被害について、また、現代のハンガリーワイン産業の発展についても説明しています。

本書では、ハンガリーの主要なワイン産地、例えばトカイ、エゲル、ビラーニー、ソムロー、およびバダックなど、各地域のワインの特徴や伝統についても詳しく説明しています。また、ハンガリーの主要なブドウ品種、例えばファルマーディ、ハルシュレヴェリュー、カドァルカ、オラシュ、およびキルシュのような赤ブドウ品種と、フルミント、ハールスレヴェリュー、レーニのような白ブドウ品種についても詳しく説明しています。

全体として、「マジャルオルシャーグ・ボライ」は、ハンガリーワインの生産や歴史に興味がある人にとって、豊富な情報源となるでしょう。本書の豊富な情報と解説は、読者に深い理解と鑑賞力を与えることができます。また、本書は、ハンガリーの伝統的な食品とのマッチングについても詳しく説明しており、読者により豊かなワインと食事のペアリングの知識を提供しています。加えて、多数の写真が掲載されており、ハンガリーのワイン文化を豊かな視覚的な体験にすることができます。

「マジャルオルシャーグ・ボライ」は、ハンガリーワインの専門家や、ワイン愛好家にとって、貴重な情報源となることでしょう。本書は、読者にハンガリーのワイン産業の歴史と現状を深く理解することを提供し、また、ハンガリーのワインの素晴らしさを伝えることに貢献しています。

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4,000字ぐらいを指定すると、サマリーとしてたっぷり感のあるものになります。2,000字程度だと、薄っぺらい、中身がほとんどないサマリーになる感じです。

極甘のワインであるトカイワインに関する書籍のサマリーは、次のようになりました。

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ア・トカイ・ボル・トルテネテ」は、ラースロー・アルコニによる、トカイワインの専門的な歴史書です。この書籍は、16世紀から現代までのトカイワインの発展を詳しく説明し、トカイワインの独特な風味と特徴を形成したさまざまな技術的、文化的な革新に焦点を当てています。

本書は、トカイワインの起源について説明し、17世紀にはフランス王室に愛されるほどの高い評価を得ていたことを明らかにしています。また、本書は、18世紀には「トカイワイン法」が制定され、トカイワインの生産に必要なブドウ栽培技術や、ワインの製造方法について厳格な基準が定められたことを示しています。

本書では、トカイワインの製造過程についても詳しく説明しており、トカイワインの独特の風味を形成する「edelfäule(貴腐菌)」の働きや、「puttonyos(プットニョッシュ)」と呼ばれる独特の収穫方法についても解説しています。加えて、本書は、トカイワインの品質を維持するために行われる古くからの技術的な取り組みについても説明しています。

また、本書では、トカイワインが歴史的に重要な役割を果たしてきた出来事や人物にも焦点を当てています。例えば、トカイワインがフランス王室に愛されたことや、オーストリア帝国の統治下でのトカイワイン産業の発展についても説明されています。

全体として、「ア・トカイ・ボル・トルテネテ」は、トカイワインの製造過程や歴史に興味のある人や専門家にとって、非常に貴重な情報源となるでしょう。本書は、トカイワインがどのように発展してきたか、その背後にある文化的、技術的な要素を深く理解することができます。

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○外国語で調査をする時のコツ

このように、その国の言語でないと、なかなかたっぷり感のある資料が得られないというケースでも、ChatGPTを使うと、「もっとも信頼度が高い資料は何か?」的な限定を入れることで、検索の手間暇をかけなくても、良質な資料にたどり着けます。

日本語のサマリーが欲しいときは、

Please give me a summary of " ... ... ... " in Japanese language up to 4,000 characters.

みたいにして、字数を指定して指示すると、いい感じのサマリーが得られます。

この方法論で臨むと、調査案件で時々ある、その国の法律を読まないと何の調査結果も書けないというケースでも、法律の原文を特定し、また、そのサマリーを英語や日本語で得て、法律の森に分け入っていくことができるようになります。

すごい時代です。

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