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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

M&Aから入るインフラ輸出(上)

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インフラ輸出は海外の関連企業のM&Aから入った方がいいのではないかということについて、2回に分けて説明したいと思います。

商社を除く多くの日本企業にとっては、インフラ輸出は取り組みが始まったばかりであり、現在は参入の準備を進めていることと思います。

先頃、インドネシアのPPP案件の制度や入札手順などを解明するため、視察を企画させていただいて、準備のための本視察とで1週間ずつ滞在し、政府機関や関連企業をヒアリングしてきました。その結果わかったのは、やはりと言うべきか、インフラ案件の受注までにはかなりのリードタイムがあるということでした。

案件が特定でき、入札の価値があるかどうかを確かめるプレFS(参入希望企業側が行うもの)を経て、入札参加表明、事前資格審査通過、提案書作成、ファイナンススキーム準備と進み、落札ができて、ファイナンスがクローズするまで2.5年から3年。そこから着工となります。

このリードタイムの長さは、規模が大きなインフラ事業ですからごく自然なことでもあるのですが、この市場に早期に参入して収益化を図りたいと考える企業にとっては、以下のような課題が伴います。

Super

ジャカルタのごく一般的なスーパーの店内。ただし都心部。

■現地の推進体制をどうするか

商社の場合、現地のインフラ案件推進の体制が非常にうまくできあがっています。そのポイントを簡単に説明すると以下のようになります。

・現地国で複数の事業をすでに立ち上げており、そのための相当数の人員が現地に常駐している。(工業団地運営事業、日系企業のための物流事業など複数の事業を立ち上げている。)
・複数の現地事業が生む収益により、現地推進体制が独立採算で運営できるようになっている。
・独立採算の体制ができていることで、インフラ案件受注に不可欠な現地政府との長期にわたるネットワークづくりに要する息の長い人員の割当が可能になる。
・1つのインフラPPP案件において、政府とのやりとりがほとんど発生しない端境期のようなタイミングにおいても、プレFSや提案書作成など人的リソースを多く必要とするタイミングにおいても、人的配置がうまく調整できる。

インフラPPP案件の推進は、とにかく息の長いプロセスです。入札参加からファイナンスがクローズするまで、ほとんど作業が発生しない時期もかなりあり、5人でチームを組んで現地に駐在させたとしても、その間はほとんど遊んでしまうということになります。

準備中の案件からオペレーションに移行している案件まで、複数案件がバランスよく存在し、駐在チームの人的リソースがうまく回る状況になっていればよいのですが、そこに至るまでは少なくとも3年はかかります。

当該国のインフラPPP事業だけで食えるようになるまで少なくとも3年。本気で受注を狙うなら、その間、現地に情報収集要員を1名だけ配置して済むというものでもありません。落札を確実なものにするためには、いくつかのフェーズで2-3名は根を詰めて働く必要があり、その間、日本からの長期出張で済ませられるかというと、そういう性格のものではないと思います。5-7年程度は現地に骨を埋める覚悟を持った人員が複数で根を詰めないと、成るものも成らないというフェーズが、インフラPPP案件受注にはあります。

インドネシア視察で強く印象に残ったのは、現地の仕事の進め方に関するカルチャーへの適応がひどく大事だということでした。日本や先進諸国のビジネス感覚で向きあっても、うんともすんとも言わない一種独特のカルチャーがあります。そうしたものへの適応は、やはり現地に根を据えた推進体制があって初めてできるもので、案件ベースで要員を現地に出張で送り込めば済むというものではないという気がしています。

■インフラPPP事業はファイナンスのかたまり

そうしたことから、当該国におけるインフラPPP事業を善循環に乗せるには、現地に根を据えた推進体制(当初5名程度)の構築が必要であるということ。それに加えて、長い期間にわたるPPPのプロセスの特性上から、その間を現地推進チームが食えるようにする何らかの現地ベースの事業が必要である、ということが言えると思います。

この関連について、視察から戻ってきて相当に考えましたが、現時点での結論はそうです。現地でPPP推進チームが食える事業があることで、長期にわたる受注活動が実を結ぶようになると考えます。

この場合の事業とは、生産設備を現地で運用するということとは一線を画します。事業計画を立て、当該事業用の法人を設立し、相応の資金調達を行い、リソースを配置して運営し、顧客を拡大し、売上を回収しながら利益を伸ばしていくというような、ごく一般的な意味での新規事業を指します。特に重要なのは、ファイナンスが絡む事業であることです。インフラPPP案件は、ファイナンスのかたまりと言っても過言ではない構造を持っていますから、チームの面々がその分野に長けたスキルを持っていることは必須条件と言えるでしょう。

しかし、商社を例外として、ほとんどの日本企業はこのような推進体制で運営する現地事業を持っていません。とはいえ、インフラPPP事業の成功にはそうした事業が必要という現実。そのギャップをどうするかです。

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