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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

海外インフラ案件は背景にある「願い」や「夢」の理解から

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視察のセッティングと報告書作成ということでお仕事をいただきまして、米国西海岸の訪問先を数件回ってきました。実際に行って話をしてみると、「情報量が多い」の一言に尽きます。現地に行って、生で話を聞いて、初めてわかることがありますね。
訪問先についてはクライアント案件ゆえ記すことができませんが、今回感じたことを一般論ということでまとめておきたいと思います。

一言で言うと、海外のインフラ案件はいずれもその土地固有の背景と相応の歴史を持っているということです。

日本にいてビジネスの対象として海外インフラ案件を見ていると、例えば「○○社が△△国の××案件を落札、総事業費500億円」といった報道に接した際に、どうしても「これこれの規模を持った事業機会」という風に頭の中で処理をしてしまいます。別な言い方をすれば、「案件」が独り立ちをして、相応の事業規模を持って、特定企業の落札を待っていた、というような捉え方をしがちです。

しかし、現地で長らくその案件に関わってきた人と話してみると、そのような「これこれの規模をもった案件」として見ているわけではなく、むしろ、ある程度の長さを持った歴史や、個人的な思いが詰まったストーリーとしてそのプロジェクトを捉えているということがわかる、ということが多いと思います。

インフラは、交通・輸送、発電、上水道、下水道、道路、橋、都市開発のいずれにしても、その土地に長く住んできた人たちの生活水準の向上に資するものであり、大きなお金を必要とするだけに、その実現には多くの人々の「願い」や「夢」が関わっています。
案件を進めている担当者は、実務担当という側面とは別に、そうした「願い」や「夢」を代弁する立場にもあります。従って、話をしてみると、そのあたりの話がけっこうな比重を占める、ということがありそうです。日本から「受注額」や「収益率」といったビジネスの頭でかためていくと、彼我の認識の差が大きくて驚くということにもなりかねません。

このことは、日本にいて、二次情報、三次情報だけで海外インフラ案件を見ている状況では致し方ないことなのかも知れません。むしろ、現地で実際に担当者と会って話をしてみて、彼我の認識のギャップに気づくことの方が、自然な成り行きだと言えましょう。そこから、現実的な対応を始めればいいわけです。

海外インフラ事業が円滑に回るためには、相手国の担当者やその他の受益者たちになるべく近づき、彼らが持つ「願い」や「夢」を共有して臨むことが不可欠だと思います。まずは会って話をするところから始まるということでしょうか。

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