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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

マッコーリーのインド向けインフラファンドがインド空港運営会社に2億ドルを出資

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マッコーリー・グループ(日本オーストラリア)は本国オーストラリアはもとより世界各国のインフラ事業に投資するインフラファンドを多数設定しています(ここにリストがあります)。うち一部はオーストラリア証券取引所やニューヨーク証券取引所に上場しています。

非上場インフラファンドの1つにMacquarie SBI Infrastructure Fundがあり、これはインドのインフラないしインフラ的な事業に投資するものです。マッコーリー、State Bank of India、International Finance Corporationの3社が出資する合弁会社が管理に当たっています。

このインフラファンドが、インドの空港運営会社GMR Airportsに2億ドルを投資することが昨日から今日にかけて報じられました。

Reuters: Macquarie SBI Infra invests $200 mln in GMR Airport
Business Standard(India):Macquarie SBI Infra invests Rs 893 cr in GMR Airports

今回初めて知りましたが、インドにはGRM Groupという空港、エネルギー、ハイウェイ、都市インフラ、特別経済区のインフラ事業を手がける企業があります。傘下のGMR Infrastructure Ltd.はボンベイ証券取引所に上場しています。

GMR Groupに空港運営を行う子会社GMR Airportsがあり、デリーのインディラ・ガンディー国際空港、ハイデラバードのラジーヴ・ガンディー国際空港、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港を運営しています。いずれも政府からPPP(官民連携)によって空港運営権を取得し、それぞれの空港において特別目的会社を設立しています。サイトを見ると詳細な情報が載っています。

以下は上の2本の記事で報じられていたポイント。

・外国資本による投資を管理するインド財務省の機関Foreign Investment Promotion Boardが、GMR Airportsに対する外国資本からの投資を承認した。
・Macquarie SBI Infrastructure FundはGMR Airportsに2億ドルを出資して、compulsorily convertible preference share(強制転換条項付き優先株式)を得る。
・GMR Airportsは2億ドルを既存の空港には用いず、新しい空港プロジェクトないし空港運営会社の取得に使う。
・GMR Airportsは最近、モルジブのマーレ国際空港の増強と運営に関する権利を取得した。
・GMR Airportsは、他のインフラファンドからも1億ドルの出資を得る見込み。
・GMRグループではGMR Airportsが稼ぎ頭であり、今財政年度第3四半期の売上の46%を稼いでいる。
・GMR Airportsには928億ルピー(1,736億円)の債務があり、今後も債務は増大する見込み。

インドでは航空機利用客が前年比19%増という報道が2月7日付日経でありました。これから所得が上がってくるにつれ、国内旅行需要、海外旅行需要ともに伸びてくるのは確実ですので、GMR Airportsが非常に興味深い位置にいることは確かです。

インド政府が空港運営に欧米豪式のPPPを導入しているという事実も興味深いです。インドにおけるインフラ事業運営会社に対する外国資本からの出資は、インド財務省Foreign Investment Promotion Boardの承認を得なければならないわけですね。

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