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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

オバマ&ガイトナーによるインフラ銀行構想

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前投稿のオバマ予算教書の関連報道のなかで「インフラ銀行」という見慣れない言葉が出てきました。複数の記事によると資金規模は300億ドルです。

Geithner: Infrastructure Bank Would End 'Bridges To Nowhere'
Obama to Unveil Plans for Infrastructure Bank

確認してみると、情報源は米財務省サイトで公開されているガイトナー財務長官の2月9日付のブログ

Investing in Infrastructure to Build Up Middle-Class Jobs and Long-Term Growth

において記されていた"National Infrastructure Bank"の素案です。以下のように書かれています。

While we need to increase our overall level of infrastructure investment, we must also reform the ways in which we invest. Not all infrastructure investments are good investments, and too often we have seen transportation projects exemplify the worst of Washington – the bridges to nowhere that rightly make American taxpayers cringe. The President’s Budget recognizes this and will make some difficult choices, proposing significant spending cuts, including to some programs we would preserve in better times. However, it is not enough to spend less. Government must also spend wisely.

That’s why the President’s plan will reform our current system to promote merit-based investment by creating a National Infrastructure Bank, which will select projects on the basis of rigorous analysis. The National Infrastructure Bank will also draw private capital to invest in American infrastructure so that we can better leverage scarce taxpayer dollars. We will support projects that produce significant returns on our investment, allow Americans more choices in their modes of transportation, and improve the interconnectedness of our existing transportation networks to maximize the value of our current infrastructure.

あらましは、
・すべてのインフラ投資がよいものであるわけではなく、投資の仕方を変える必要がある。
・国家インフラ銀行を創設し、merit-basedの投資を行えるようにする。
・投資するプロジェクトを厳密に選定する仕組みを備える。
・納税者からの資金を節約するため、民間資金を活用できるようにする。
・投資収益が良好なプロジェクトに集中する。
・輸送・交通分野のインフラを対象にし、相互接続性を向上させる。
といったところ。

ロイターの報道によると、インフラ銀行は、米運輸省の中に置かれ、当面は運輸省系プロジェクトのみへのファイナンスを行うとのこと。
また、インフラ銀行を設置することで、インフラ投資への政治の介入を排除できるとした説明をしている記事もありました。

以上の情報を総合すると、民間資金を集めて一種のインフラファンドを作るということのようです。投融資の対象は、米国内の輸送系インフラのうち、通行料や旅客収入などによって良好なリターンな見込めるもの。対象プロジェクトの選定にあたっては、一般的なインフラファンドやプロジェクトファイナンスにおいて行われているのと同等の審査を行うということになるでしょう。

日本の国際協力銀行が果たしている役割に限りなく近いですが、投融資の対象が国内の輸送インフラであるところが違います。

米国ではまだまだ人口増加が予想されており、国内の輸送インフラ新設需要があるようです。

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