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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

資料:バンコクにおけるPPP

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色々な国や自治体がPPP(Public-Private Partnership)に取り組んでいます。

バンコクのDeputy Governor(副市長)がプレゼンで使った2009年作成と思われる"PUBLIC AND PRIVATE PUBLIC AND PRIVATE"という資料を読むと、バンコクがどういう課題を抱えていて、どういうインフラに民間資本が参画してほしいかがよくわかります。

都市交通、上水道、下水処理、ゴミ処理ですね。これら4つの課題。新興国の大都市であれば、どこも抱えていそうな課題ですね(それだけ市場が大きそうです)。

とはいえ、このような諸課題があり、そこに「PPP」という看板を掲げれば、あとは民間がすべて引き受けてくれるというものではありません。特定領域のPPPがうまく回るようになるためには、発注側の国・自治体も学習すべき点が多々あるはずですし、受注側の企業やファンドも経験の裏打ちがなければなりません。

この資料の末尾に、「PPP一般が遭遇する問題」「PPPの問題をどう解決すればいいか」「PPPをもっと効果的に活用するにはどうすればいいか」というスライドが1枚ずつあります。中には、以下のような記述があります。

  • 資金が十分に集まらない(問題)
  • パブリックセクターからの支援が弱い(問題)
  • プライベートセクターの責任の所在のあいまいさ(問題)
  • 政府ないしパブリックセクターがプロジェクトに投資するファンドへ一部出資する、ないしは支援ローンを組む(解決)
  • 税金面で民間を優遇する(解決)
  • オペレーション期間は、補助金を出す(解決)
  • 双方がウィンーウィンであるプロジェクト(効果的な活用)

PPPでは、国・自治体側の視点からは、リスクをいかに民間に移すかという議論がよくなされます。しかし、リスクを引き受ける民間の側からすれば、リターンに見合うリスクは引き受けられるけれども、過大なリスクは事業の継続可能性を危うくするので、当然引き受けられません。
そうした民間の態度に何度か接して、よく理解できるようになった国・自治体は、民間がインセンティブを感じられるまで、彼らが負うリスクを緩和してあげます。そういう配慮が上の箇条書きには表れていますね。逆に言えば、そういう配慮をしてあげないと、民間はおいそれとはPPPに参画しないということです(日本やフランスが入札から降りてしまったブラジルの高速鉄道が典型ですね)。

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