企業人トシ・ヨロイヅカもかっこいい
毎日詰めている会社がミッドタウンにあるので、1Fにあるトシ・ヨロイヅカでは何度かスイーツ類を買って試してみました。自分の見立てでは特にカスタードクリームに彼の優れた才能が凝縮されているように思います(少し大げさ)。
むかしパリのエッフェル塔のそばの甘いもの屋さんでミルフィーユを食べた時にそのカスタードクリームのすごさに目が飛び出るほどでしたが、あのまったりとした濃厚な味がトシ・ヨロイヅカのシュークリームなんかにあります。そのまったりーとした濃厚なうまさをあえてたとえれば、レミーがケージに入れられて日本にやってきてパリの最良のケーキ屋のカスタードの味を思い出しながら再現したといったところ。あまり食べ歩いていませんが、アンリ・シャルパンティエのミルフィーユのカスタードクリームがかなりいい線まで行っていましたが、トシ・ヨロイヅカにはかないません。
トシ・ヨロイヅカの品はすべて”作品”であり、狙いと主張とオリジナルの工夫が込められています。仕事のレベルがすごいのです。たとえばピスタチオのクリームのやつ…。
また、店舗で何かを買ってみるとわかりますが、オペレーションが超丁寧です。頭が下がります(店舗サービスの質と商品の質を勘案すると、優れた経験価値事例と言っていいです)。商売人である私としては、すぐに収益性なんかに頭が行ってしまうんですね。経営者である鎧塚氏は多店舗展開を考えているのかどうか、どのへんで利益が出ているのかとかですね。
その点でITmedia誠の「今、最も有名なパティシエは“悩めるプレイングマネージャー”だった」を非常に興味深く読みました。
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例えば店の規模を広げるにしても、「多店舗展開は考えていない。あくまで自分が目の届く範囲内で規模を広げていきたい」と強調していた。経営者の視点で見れば、どんどん売上を伸ばし、店舗を増やしていった方がいいに決まっている。しかし職人としては、店がどんどん増えた結果、自分が目の届かなくなることが許せない――
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すべての企業がスケールを追求しなければならないということはないし、すべての企業が単一の指標で判断される必要もない。企業社会にも多様性があってしかるべき。そういうことなわけですね。
とは言いつつ自分が始めようとしている商売では一にもキャッシュ、二にもキャッシュ、三も四もキャッシュで、五もキャッシュというNPV至上主義で行くのですが。