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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

エンジェルがイノベーションを後押しする日本になるには、税制面の整備が必要だということ

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2007年12月19日付日経、経済教室に「急がれるハイテクベンチャー創出 - エンジェルの拡充必要」と題された早稲田大学教授・松田修一氏の論が載っていました。

僭越ながら大いに同感する部分があったのでメモ。

大筋は次のようなもの。

・先日米国インターブランド社が世界のトップブランド100を発表した。
・世界全体のGDPに米国が占める割合が27.5%であるところ、トップ100の51%は米国から出ている。日本のGDPは世界の9.1%だが、トップ100ブランドは8%。米国よりかなり見劣りする。
・米国では新興産業分野においてもMicrosoft、Dell、Google、Amazon、eBay、Yahooなどのような世界的ブランドが多数ある。
・対する日本では、世界的ブランドはトヨタ、レクサス、ホンダ、ニッサン、ソニー、パナソニック、キヤノンのような製造業に限られる。
・これはハイテクベンチャーの起業家育成について制度面で改善余地が大きく残っていることを示す。(松田氏が見ているハイテクベンチャーは、バイオ、工学系が主)

とした上で以下。

-Quote-
米国のエンジェルの累積投資額はベンチャーキャピタルの資金とほぼ同じ20兆円といわれているが、日本では累積200億円、年間投資20億円前後しかない。欧米のエンジェルは、年収1,000万円、30分で訪問できる10社のベンチャーに投資しているのが平均像であり、20万~30万人といわれる。
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おぉ、という感じですね。すごい!ごく普通の方がエンジェルになっているんですね。例えば、500万円の資金を10件に分散投資するとして、うち1件でもIPOにこぎつければ、IPO投資が20倍になるとすれば(開業初期の投資はそんな風)、トータルのリターンは100%(2倍)ですか。年数がどのくらいかかるかでうまみが変化しますが、5年程度なら悪くはないパフォーマンスであることは確か。主義としてエンジェルを支援するというスタイルがあれば、社会的に意味のあることをしているのだという満足感も得られるでしょうね。

-Quote-
日本で250万人いる年収1,000万円のサラリーマンのうち技術と事業の目利きができる専門家が、起業家に年間50万~100万円投資すれば、日本の技術人材の流動化は加速化する。
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松田氏が想定されている世界は壮大です。独自のアイディアや事業モデルを頭の中に思い描いている技術者の方などが、例えば、2,000万円程度の資金をエンジェルの人たちから得て、会社を飛び出して起業する…といったことが年間数百件~数千件起こるようになると、そこから第二のソニーやホンダが出てくる可能性があるということを思い描いているようです。

-Quote-
米国などと比べ、エンジェルの数とその投資額が異常に少ないのは、投資時点での税額控除、ルールのある簡単な手続き、業績悪化時の評価減など、諸外国のような支援税制がまったくなく、エンジェルに対するインセンティブが少ないからである。日本がまだ活力を維持できる10年間で、1,550兆円の個人金融資産を、自らの意思で生き金として使えるような税制改革がない限り、グローバルで活躍できる人材が日本を脱出する恐れが強い。
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うーむ、そうだそうだ!と読んでいました。

上の引用に続くまとめの部分で、先日、自民党税制改革大綱において、個人が設立3年未満のベンチャーに投資する場合に1,000万円を上限に寄付金控除として課税所得から差し引くことが盛り込まれた、ということが付加されています。これは下の日経記事のことを指しています。

参考記事:
2007年12月11日付日経夕刊 - ベンチャー投資優遇拡充、1000万円を上限に所得控除、自民税調が方針(直リンク不能なので日経goo、日経テレコンの検索でどうぞ)

おそらくこの論は自民党税調の方針発表の直前に書かれた感じがしますね。最後の部分だけ急遽アップデートしたという風。

いずれにしても、税制面が整備されてエンジェルの方々がインセンティブを強く感じるようになり、たくさんの起業にお金が回って、膨大な数のイノベーションが実を結んで欲しいです。

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