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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

銀行窓口イノベーション

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大手銀行グループのリテール戦略について、素朴に考えてみました。懸案だった不良債権もほとんど解消し、どちらのグループも将来への成長戦略を思案中だと思います。
見渡せば、リテール展開で競合と呼べる存在がかなり増えています。まずはコンビニ。次いでネット専業銀行。そして郵政民営化後の窓口会社。最近ではイオンバンクの出方も考慮しなければなりません。

現時点ではこれらのいずれもがまだ「敵」と呼べる状況にはなっていません。相変わらず、大多数の消費者と銀行との結びつきは強く、上の新世代業態をメインバンクと考える人は少数派でしょう。

なにゆえ既存の銀行と消費者の結びつきが強いのか?詰まるところ、家計にお金が流れる源泉であるところの給与振込口座が伝統的な銀行にセットされているからです。ポイントはここです。(給振口座の先には、取引実績を元にした将来の住宅ローンへの期待もあるわけですが、ここでは捨象)

仮に上の新業態が新手の方策でもって給与振込口座のシェアをじりじりと上げていった場合、どうなるか?これら新業態では郵政窓口会社をのぞけば、数万~数十万口座の業容です。1万単位で給振口座が獲得できるだけで、収益性にはものすごい好影響があると思います。なぜやらないのか?いずれ、たぶん、やるでしょう。

郵政窓口会社の場合、給振口座獲得の前提として、郵貯の口座から銀行振込ができるように銀行系の振込ネットワークに接続できるかどうかという問題を解消しなければなりませんが、それは、たぶん、解消する方向で調整が進むわけですね???(あまりこのへん詳しくないので)仮に解消するとすると、郵政窓口会社も給振口座獲得に猛烈に乗り出してくると思います。

攻める側は1万口座でも2万口座でもありがたいわけなので、どしどし取ってくるはず。大手行にとっては1万や2万、なんともないですが、手を拱いていると、だんだんと、イノベーションのジレンマに描かれた伝統的企業が陥る状況に近いところへ追いやられるかも知れません。下位市場からより劣ったスペックで非主流顧客が侵食されていくというパターンです。

こうしたことを考えると、策を打つのに早すぎるということはありません。ここまでが前振り(^^;。

素朴に思うのですが、大手銀行が給振口座を守る方策としては、従来のように、誰もが思いつくポイント制なんかのマーケティング系方策ではなくて、まったく新しいイノベーションがあってもよいのではないでしょうか?世界に例をみない、すべての消費者がわくわくするような、銀行によるリテール系のイノベーションがあってもよいと思います。

仮にどこかの銀行がそれをやろうと決断したとします。社内で特命チームが発足し、そのイノベーションに取り組み始めたと。。。

話が長くなるので中途を端折り、結論を述べますと。
 1) ヒエラルキーがしっかりとした組織では、イノベーションの具体化で必ず壁にぶつかる
 2) 社内の抵抗勢力を説得できる外部のつわもの系チームとの協業が不可欠
  3) ほんもののトップが強力なスポンサーにならないとどうやってもうまくいかない。誰かがほんもののトップの口説き役になる
 4) 協業先候補は、IDEOのような会社であれば最高
 5) 当該イノベーションが一度こっきりのものでないとすれば、業務システムのあり方もSOAに寄せる必要がある。そのへんの先導役をする企業も必要
 6) ありとあらゆるところで既存の組織と摩擦が起こる。そのマネジメントが一番のキモ

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