スタイルのあるなし
現在詰めて仕事させてもらっている部門のさる方が、ワイン好きの出張記というブログをやっていらっしゃいます。部屋を持っている方です。んー。このブログのコンテンツ、うなってしまいますねぇ。
この方がすごいのは、こういうプライベート方面を非常に充実させつつ(出張時のアキ時間にワイナリーめぐりをするのは無論プライベート)、仕事のこなしかたが甚だダイナミックでいらっしゃって、デカい案件、非常にインパクトのある案件を一つひとつ、スコンパコンと決めていかれるんですね。まぁそりゃプロとして当たり前と言えば当たり前のことなんですが、なんというか、力の入れ方と抜き方が絶妙なバランスでいらっしゃって、「決める時は決める」ということが、ものすごく確実にできるのです。
がんばるがんばらないで言えば、傍目からはかんばっていないように見える(と言うものの人から見えない部分では相応のことはやっていらっしゃる)。けれども、案件への迫り方は非常にカタい。そして着実に実績を上げる。
私は月刊の業界誌で育ったので、「仕事を集中してやる」と言えば、会社に半月間泊まり込むことだったり、1日14~16時間仕事をすることだったりすることがまず念頭に思い浮かぶという、そういう感覚がいまだに色濃く残っているのですが、このブログを書いていらっしゃる方は、「実績を残す」という部分に強烈にフォーカスして、それをあくまでも追究し続けて、実績にしちゃうんですね。彼の場合、それが仕事に集中するということである。
だから、作業に投入した時間が何時間であったかということは、あんまし意味を持たず、「実績になる」部分を本当に「実績にする」ことだけが意味を持つ。ちなみに以前はコンサルティングファームAでパートナーでいらっしゃった方です。ちなみにちなみに、大手コンサルティングファームでパートナーというとものすごい肩書きであり、年収もプロ野球選手的な世界へ入っていきます。契約形態によっては青天井だったりします。
で、最近、彼が他の人と決定的に異なっているのが、「顧客に向き合う姿勢」なのではないか、ということがだんだんわかってきました。一言で言えば、徹底的な顧客志向。顧客の抱えている問題を正確に把握することもさることながら、その解決方法を、「これが一番なんである」、「これが本当に価値あるものなんである」ということで、顧客(大企業のエライ方々です)に、正しくわからせることができる。そして、顧客は喜んで次のステップを踏む。その顧客への迫り方というか、対話の仕方というか、関係の結び方が、たぶんは達人の域に達していらっしゃるんだろうなぁ、ということが理解できてきました。
すべからく企業価値は顧客を源流とするのであって、顧客に納得してもらわなければ売上も上がりません。そういう意味で、出張時にアキ時間を見つけてワイナリーやよさげなレストランめぐりをしつつも、顧客に向き合う時は相当に絶妙なやり方でもって顧客のキモをがしっとわしづかみにしてしまう、そういうところがある方なんだろうと思います。
だから仕事をした時間の多さとか、自己評価のがんばり度は、実はあまり重視すべきことではなくて、顧客の問題の把握、顧客がほんとうに喜んで財布を開いてくれる何かの提供…。そのへんに注力するのが先だということを、そのスタイルでもって、この方は教えてくれている。ものすごく勉強になります。今頃青臭いことを、などと言わないで、まぁ聞き流してください。