なぜNVIDIAとパランティアにAI産業全体の「価値」が集まるのか?パランティアCTOの刺激的発言を解読してみる
Google Discoverは使っていますか?自分の興味に合わせて最新のニュース、ブログ投稿、note投稿などフレッシュなコンテンツがピックアップされるGoogleのサービスです。Googleニュースが配信する内容よりかなり自分寄りのコンテンツばかり常時20本ぐらいが流れてくるので便利です。私は1日に3回ぐらいチェックします。PCブラウザ(Chrome)の場合は"Google"だけで検索するとこれが表示されます。スマホの場合はChromeでトップページを表示させた際にズラズラ出てくる記事群がGoogle Discoverピックアップ記事です。弊ブログも月に数回ピックアップされるようになり感謝です。
これを書いているのは2026年3月27日の早朝4時半ごろ。2時前後にスマホでGoogle Discoverを見ていた際にかなり仰々しいタイトルの記事が目に飛び込んできました。(つまりGoogle Discoverが私にとって価値があると推奨している)
takanorisuzuki: Palantirの思想と国家の再興:Shyam Sankarが語る「ソフトウェア・防衛・文化」の統合戦略(2026/3/26)
パランティアのことを論じる人が最近増えてきますが、この記事のタイトルのようなものを論じている人はまず見ません。「思想と国家の再興」。パランティア・ウォッチャーならわかることですが、パランティアの圧倒的な業績の背景には2人の創業者ピーター・ティールとアレックス・カープの「強烈な思想」があります。ということで目に留まりました。
話を短くします。上の投稿からパランティアCTO Shyam Sankarの以下の発言の出典YouTube動画を特定しました。
takanorisuzuki: Palantirの思想と国家の再興:Shyam Sankarが語る「ソフトウェア・防衛・文化」の統合戦略(2026/3/26)から抜粋
価値はどこへ移るか:チップとオントロジー
氏は、AI スタックのなかで価値が 半導体(チップ) と オントロジー(AI インフラとしての意味基盤) に集まる、という見方を示します。
チップは、その先の計算・モデル・サービス全体に影響する 根っこ に近い存在です。物理的な制約と投資規模が大きい分、下流に広く効く前提として価値が集積しやすい、という整理です。
どの LLM がよいか、どの IDE がよいか のような論争は、日本でも検討会や記事で取り上げられやすいですが、対談の論旨としては、モデルや開発ツール単体はコモディティ化しやすく、長期的な勝ち筋の中心にはなりにくい、という位置づけです(選定は必要でも、差別化の本体は別レイヤーにある、という意味合いです)。
オントロジー と呼ばれる層は、企業のなかの情報をどう扱うかに直結します。データそのもの単体には意味がなく、つながり・関係・文脈 が意味や価値を生む、という見立てです。オントロジーとナレッジグラフの対応づけは、後半の 「参考・出典」 の用語メモにまとめています。対談ではここを 価値が残りやすい AI インフラ として語っています。
出典となっているYouTube動画はa16zのコンテンツ
Inside Palantir: Building Software That Matters | Shyam Sankar on a16z
でした。AI時代に生きている方ならa16zを知らないとマズいです。明治維新における薩長のような存在です。
このYouTube動画の中からパランティアCTOの刺激的な発言のトランスクリプトを抽出しました。年がら年中こういうことばかりしています。(刺激的な発言のソースを見つけ出し、その発言の生の英語表現を得る。すると目から鱗の発見があります。その人の思想は一次情報である生の発言/原文をチェックすることで辿れます。)
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上のトランスクリプトをChatGPTに創造的に翻訳させましたが、イマイチで、日本人に意味が通るように、かなり今泉が手直ししました。元々のインド人の英語が句読点のない長く伸びる飴のような文章なので整理しないといけません。
ChatGPTの創造的翻訳を今泉が手直しして分かりやすくしたもの
もしスタック(技術の階層)を「半導体(チップ) → モデル → AIインフラ → AIアプリケーション」という構造で捉えるとすると、
実際に起きていることとして私が見ているのは、
モデル(OpenAI的なあり方)はコモディティ化してきているということです。
そして私たち(パランティアはAIインフラの階層にいる)は常に競争圧力にさらされています。
この文脈では、モデル企業は上位レイヤーへと(AIインフラのレイヤーへと)拡張していきます。それは「ハーネス(補助線)」のようなものです。例えばAIインフラを構築できるポテンシャルを持ったAIコード生成機能を提供して上の層に移る機会を窺っています。(今泉注:AnthropicのClaude Coworkが典型。しかしClaude Cowork自体はオントロジーにはなり得ない←ロジカルに説明するのに1投稿必要です)
一方で、もともと特定用途に特化したいわゆる「縦型AIソリューション」の企業は逆にスタックの下の層へと降りてきています(AIエージェントを提供する企業群)。彼らはこう気づくわけです。「自分たちの顧客基盤をスケールさせ、より多くのユースケースに対応するには、本格的なAIインフラが必要だ」と。
この文脈において我々の理論(戦略)は一貫しています。
価値が集中するのは2つのレイヤーである。
- 半導体(チップ)レイヤー
- AIインフラレイヤー(我々が「オントロジー」と呼ぶもの)
この2つのレイヤーは、非常に強固な競争優位(ディフェンシブル性)があると考えています。
Shyam Sankarが言っている4つの階層=スタックを具体的な企業名入りで解説します。
◎AIアプリケーション → 種々のAIエージェント
◎AIインフラ → パランティアのオントロジー
◎(AI)モデル → 代表例OpenAIのChatGPT 5.2。AntropicのClaude Coworkは1つ上の層に向けて動いている
◎半導体(チップ)→ NVIDIA
つまり、AI産業全体は巨大だとは言っても、価値はNVIDIAとパランティアに集まり、その優位性は動かない(ディフェンシブルだ)と言っているのです。
現実問題株式のパフォーマンスはどうなっていますか?一強多弱ですよね?Claude CoworkでSaaS業界を震撼させたAnthropicもClaude Cowork自体はコモディティ化して行きます。次々に新世代が現れるでしょう。
結局、置き換えが効かないのは、今のところ、NVIDIAとパランティア(オントロジー)。株価パフォーマンスは一強多弱であり、業績も一強多弱を示しています。Shyam SankarはパランティアのCTOであり、身内びいきはあるとしても、かなり真理をついています。
なぜ、チップとオントロジーに価値が集まるのか?その明快な解説ができたら、その人はAIエイジを生き抜いて行けるでしょう。
NVIDIAはGPUの並列演算がAIに転用できることを"発見"しました。(GPUは元々ゲームの描画のための半導体です。NVIDIAは長いことゲームの描画のための半導体&ボードで食ってきた会社です。)
パランティアは巨大な組織内の散在しているデータを「意味論的につなげて意思決定者に提示する」アルゴリズムを"発見"しました。
この2つの発見は他では置き換えができません。それ以外はどんどん置き換えが進んでいます。
また、この2社の業績が一強多弱の圧倒的なものであるということは、ユーザーベースが日々巨大なものになっているということです。ユーザーベースが巨大になると、ユーザーからの生のフィードバックデータが上がってきます。このフィードバックデータを元に2社はさらに主力製品の機能向上を図ることができます。それによっていわゆるAIデータ・フライホイールが自己強化的に回転しています。
以下で言ったことが、この2社においても、動いているのです。