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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

日立製作所だけが対応できた。次世代Rubinは熱過ぎるのでAIデータセンターはNVIDIAのデジタルツインでないと設計できない

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今泉大輔です。X(Twitter)はこちら @researchpro_jp 【X速報】経営者が読むNVIDIAのフィジカルAI / ADAS業界日報 by 今泉大輔

開業準備中のさっつーのAIエージェント:監修 今泉大輔 はこちら

本レポートは以下の投稿の続編です。

AIデータセンターをNVIDIA Omiverseのデジタルツインで設計開発シミュレーションする"Blueprint"にはどういう意味があったのか?(2026/3/25)

本レポートで扱っている内容については、実は2026/3/16のNVIDIA年次開発者会議GTC 2026のジェンセン・フアンの基調講演をライブで聴いて把握し、直後にリサーチをかけて理解したのですが、この理解した内容をお届けするまで2ステップ踏む必要があり、遅くなってしまいました。NVIDIAの最新動向は、それを理解するためにいくつかの前提となる事柄を学習しないと理解できないという所があります。勉強に次ぐ勉強が不可欠です。

第一に、NVIDIAのGPUサーバーをぎっしり詰め込んだAIデータセンターの設計には、従来型のCADではなく、物理特性などをシミュレーションできるNVIDIA Omniverseのデジタルツイン空間が不可欠であり、その設計をやりやすくするためのテンプレートとして"Blueprint"(NVIDIA用語)が用意されています。そのBlueprintの名前は"Omniverse Blueprint Advances AI Factory Design and Simulation"。NVIDIA日本語公式解説はこちら。

Omniverse Blueprintを活用しクラウドとAIでスケールするOmniverseデジタルツインの最前線

これを紹介したのが上の投稿です。

第二に、上記のBlueprintにはNVIDIAの次世代AI半導体Vera Rubinを搭載したGPUサーバーをぎっしり詰めたAIデータセンターを設計するための次世代版があります。その名前が"NVIDIA Omniverse DSX Blueprint for AI Factory"。(詳細はリンク先参照)

簡単に言うと、次世代AI半導体のVera Rubinは熱過ぎるので、熱周りの設計、冷却周りの設計、排熱利用周りの設計、空間を効率的に活用するための設計などを全てNVIDIA Omniverseのデジタル空間で行わないと埒が明かないのです。

さらに半導体自体、それを搭載したGPUサーバー、およびGPUサーバーを数枚詰め込んだラック全体(ラック全体で100kWを超える電源密度になります)から出る熱のハンドリングにしても、システムとして出来上がる冷却系にしても、また電気を無駄にしない意味で不可欠な排熱利用にしても、全部Omniverseのデジタルツイン空間でのみ可能になる「シミュレーション」がなければ、人間の手には負えないのです。それを行うための"NVIDIA Omniverse DSX Blueprint for AI Factory"です。これがなければRubin世代のGPUサーバーを配置したAIデータセンターの設計ができません。

日本全体でAIデータセンター建設熱が湧き上がっていますが、この真実をちゃんと理解している人は100人に1人もいないと思います。

TECHNOLOGY
6/5 (金) 13:00-
オンライン開催
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アーカイブ付
【フィジカルAI時代の重要インフラ】

次世代AIデータセンターにおける冷却インフラと熱循環システム
〜NVIDIA GPUアーキテクチャの進化に伴う材料の考察〜

【本セミナーの核心:設計パラダイムの転換】

「NVIDIA Omniverse DSX Blueprint for AI Factory」を徹底解説。もはやデジタルツイン上のシミュレーションなしには、次世代DCの設計も冷却系の商品開発も不可能です。Blackwell/Rubin世代が求める極限の熱管理と材料選定の最適解を詳解します。

液冷への転換期において、コンポーネント単体の開発は限界を迎えています。Omniverseを活用した全体最適化がいかに不可欠か。フィジカルAIの基盤となる「AI Factory」構築の実務とインフラ戦略を今泉氏が提言。


講師:今泉 大輔(株式会社インフラコモンズ 代表)

主催:株式会社情報機構

そしてさらに!競合他社には衝撃的な事実として、なんと、日立製作所が、この次世代版のOmniverse Blueprint(次世代Vera Rubinを搭載したGPUサーバーでAI DCを設計・シミュレーションするためのBlueprint)に対応した800V 直流の電力供給周りの製品を出しているのです!3月中旬に行われたGTC 2026のジェンセン・フアン基調講演(実は数々の衝撃的な新製品発表が行われていました)とタイミングを合わせて発表しているのです!

Hitachi Unveils 800 VDC Power Supply Simulation, Enabled by the NVIDIA Omniverse DSX Blueprint, to Accelerate Gigawatt-Scale AI Factories(2026/3/17)

これはつまり日立製作所がこのBlueprint内で配置できるSimReadyのデジタルアセットとして製品モジュールを提供しており、それが物理世界にも存在する製品モジュールとしても提供されているという、ダブルで(デジタルツインと実製品と)提供されているのです。このやり方でNVIDIA関連市場で動いている日本企業は日立製作所以外ではファナックぐらいしかいないと思います。

技術解説:ファナックが遂にNVIDIA Jetsonを搭載した「人が話して指示する」フィジカルAI協働ロボットを公開!(2025/12/7)

さらにさらに衝撃的な事実!次世代Vera RubinのGPUサーバーを配置したAIデータセンターの冷却系は、NVIDIAが標準形態を指定しており、それは45度の温水を使う冷却システムとして具体化されているのです。これは日本でAIデータセンター向け液冷、冷却関連の製品を開発・販売している全てのメーカーにとって「おお!」と唸らせる事実です。45度の温水系でありNVIDIAがある意味で純正品の仕様として組み入れてしまった仕様に合致した液冷製品でなければ、次世代RubinのAIデータセンターには使えないのです。

理論的には単体の液冷製品、液浸製品は存在が可能ですが、それをAIデータセンターで配置するには手作業(従来型CAD)による設計に付き物の膨大な試行錯誤が必要になり、そういうやり方でAIデータセンターを設計する人は世界にいなくなります。

詳細は開業準備中の「さっつーのAIエージェント:監修 今泉大輔」に置いた本体レポートでお読み下さい。

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