テスラ社ギガファクトリーの中がどうなっているか?日本で初めて明らかになった
↑画像はMidjourneyで生成したものです。
ギガベルリンの中をドローンがフライングスルーする動画
3年ぐらい前、テスラ(Tesla)の最新のギガファクトリーの1つ、ギガベルリンの構内をフラインングスルーする動画を見た時、ずいぶんと驚いたのをよく覚えています。テスラでは工場の名前を「ギガファクトリー」と呼んでおり、ギガベルリンはドイツのベルリンに設けられた当時最新の工場でした。
以下の動画です。最新の自動車工場がどうなっているか興味のある方には、驚くような中身になっています。
YouTube: Flying Through Giga Berlin。 ギガベルリンの構内にドローンを飛ばしてテスラのModel Yが生産される工程を見せている。KUKAの産業ロボットやファナックの産業ロボットにより高度に自動化された生産ラインを見ることができる。ギガプレスと思われる大型プレス機も出てくる。
ギガファクトリーに関する詳細な日本語資料は存在しない
テスラ社のギガファクトリーの中がどうなっているのか?日本ではこれまでまとまった記事や資料がありませんでした。テスラ社が報道機関に対しては秘密主義を貫き、新聞社やTV局のカメラが入ることを拒絶してきたからだと思います。
しかし英語の文献や、ギガベルリンならドイツ語の文献などはそれなりに存在していて、しっかりと調べるならば全体像がわかってきます。今回、ChatGPT + ディープリサーチで、ギガファクトリーの中でも新しい方のギガベルリンとギガテキサスについて集中的に公開資料を読ませて、どうなっているのか全体像を記述させてみました。以下が報告書本体です。
テスラの最新ギガファクトリーではKUKAとファナックのロボットやギガプレスがどう使われているか?【サンプル調査報告書】
(noteは報告書に課金ができるプラットフォームであることと、YouTube動画を挿入するのに便利であり、ファイルを共有することもできるので、報告書そのものはnoteに置くようにしています。)
この報告書によって初めて、テスラ社ギガファクトリーの中で、KUKA製の産業ロボットがどう使われているか、ファナックの産業ロボットがどう使われているかが明らかになりました。また、噂されている同社のヒューマノイド(AI搭載の自律的に動ける人型ロボット)がギガファクトリー内でどういう役割を果たすのかも明らかになりました。
日本では断片的にしか報じられていないイタリアIDRA社製の「ギガプレス」についても、かなり詳しい情報が記載されています。ChatGPT + ディープリサーチの優れた調査性能のおかげです。
引用
ギガファクトリーにおけるKUKAロボットの役割
導入機種と生産ラインでの役割
テスラ(Tesla)は各ギガファクトリーの生産ラインに多数のKUKA製産業ロボットを導入しています(リンク先はKUKAのパワートレイン用組立ロボット紹介)。ギガファクトリー・ベルリンおよびテキサスでは(両工場が最新)、車体組立や溶接、搬送など多様な工程でKUKAロボットが活躍しています。例えば、ベルリン工場では600台以上のロボットがシャシー鋳造部品やプレス部品を溶接しており、thomasnet.com その中にはスポット溶接やレーザー溶接、部品ハンドリング(搬送)、素材の積み下ろしなどに用いられるモデルが含まれます。tesmanian.com 具体的な機種名は公表されていませんが、大型部品の扱いには高可搬重量モデルが使われており、たとえばKUKA社のKR 1000 Titanシリーズは最大1,300kgの荷重に耐え大型部品を遠距離まで正確に搬送できます。kuka.com
一方、車体の溶接や組立工程では、可搬重量120~300kgクラスのKR QUANTECシリーズなど高い柔軟性と精度を持つ汎用ロボットが投入されているとみられます。kuka.comkuka.com 実際、ギガファクトリー・テキサスのモデルY生産ラインでは、組立や溶接用に複数のKUKAロボットが配置され、2022年末にはサイバートラック生産ライン向けに新たに66台のKUKAロボットが到着したことも報じられました。driveteslacanada.cadriveteslacanada.ca
塗装工程については、テスラは塗装専用ロボットも導入しており、一般に塗装にはファナック製ロボットなども使用されています。hub.exapro.com
ベルリン工場では大型車体を塗装ラインに搬送する超大型ロボット「ゴジラ」が話題となりましたが、これはKUKAではなくファナック社製のM-2000iAモデルで、完成車体を持ち上げて塗装ブースへ移送する役割を担っています。thomasnet.com このように、テスラの工場ではKUKAロボットを中心に、必要に応じて他メーカーのロボットも組み合わせ、生産プロセスに適した自動化が図られています。
おそらく、こうした産業ロボットの使い方は、自動車業界の中にいて産業ロボットの配置に携わっている方には当たり前なんでしょうけれども、それ以外の大多数の自動車業界の方には、「へえ、そうなんだ」という事実を多数含んでいると思います。ぜひ【サンプル調査報告書】として無料で公開している報告書本体をお読み下さい。
こうしたギガファクトリーの中のディテールを知りたかったというのが、こちらの真意です。日本語の文献はない世界ですので。
「ギガファクトリーそのものが私の発明だ」
イーロン・マスクはトランプ政権の下で連邦政府のムダに大鉈をふるうDODEの仕事をしていることと、Xで欧州の民主主義に挑戦するような発言を繰り返していることから、米国でも欧州でもボイコットに遭っています。テスラ車が燃やされたり、破壊されたりする衝撃的な動画が流れてきたりしています。また欧州では販売が激減しました。
なので今ギガファクトリーの内部をブログや調査報告書にすることは、時期的によろしくないことなのかも知れません。
しかし、伝えられる所によると、イーロン・マスクは、製造されるテスラのモデルYなどのクルマ自体に興味があるのではなく、かなりのところまで自動化されている、ある意味ロボットのような生産ラインの方に興味があるそうです。「ギガファクトリーそのものが私の発明だ」という発言をしていたのを、どこかで読んだことがあります。
そのギガファクトリーの中を一度、解明しておきたかったという次第です。