日立製作所のLumada 3.0はものすごい戦略, HIMAX鉄道デジタルツインの解説
企業分析に強い大河原克行氏の記事:日立、「デジタルセントリック企業」に変革--新経営計画「Inspire 2027」で宣言(2025/4/30)
を読んで。
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日立製作所の Lumada3.0戦略、非の打ち所がないですね。物理 AI、産業 AI、インフラ AIの王者です。HIMAXの NVIDIA Omniverse上で動いていると思われる鉄道デジタルツインには惚れ惚れします。時価総額5倍増でしょう。
鉄道デジタルツインの意味と価値
日立製作所がすでに実績を多数持っているHIMAXの中の1つの商品/サービスである鉄道デジタルツインは、鉄道を丸ごとデジタルツイン化したものであり、走行する鉄道車両やレール、信号などに装着された無数のセンサー群から上がってくるデータをNVIDIA Omniverse(産業デジタルツインのためのOS的なプラットフォーム)上で、構築済みの鉄道デジタルツインでリアルタイムモニタリングできるようにしたものです。
簡単に言うと、走行車両が常時動いている鉄道全体をレントゲンでリアルタイムで透視するような仕組みです。記事によると、これがあることで鉄道の定期点検(コストがかかります)をしなくても済むようになる...故障発生可能性のある部分がリアルタイムで把握できるので、そこだけ修理すれば済むという世界です。
引用
HMAXは、NVIDIA AI テクノロジーを活用し、日立が持つ鉄道に関するドメインナレッジとAIを組み合わせることで、車両、信号、鉄道運行状況などの稼働データをリアルタイムで収集、分析。鉄道インフラの資産効率を高めることができるのが特徴だ。
具体的には、車両にセンサーを設置し、走行中の車両からリアルタイムにデータを収集し、HMAXインフラ監視プラットフォームに集約。車両部品の性能や、台車と輪軸の状態、軌道の状態などをリアルタイムで把握することで、メンテナンスに関わる問題を早期に特定して、最適なタイミングでの保守を提案することができる。従来は、部品の定期点検や定期交換を行っていた鉄道会社が、HMAXによって、定期点検が不要になり、必要なタイミングで部品を交換できるため、安全性の向上と共に、部品寿命を延ばすことにもつながっている。今後は、リアルタイムデータの活用により、最適な運転速度を判断し、それを日々の運転に反映させるといった活用も想定している。
鉄道以外のデジタルツインの可能性
日立製作所はこのHIMAXを鉄道以外のエネルギー分野向け「HMAX for Energy」、インダストリー分野向け「HMAX for Industry」として展開していく計画だそうで、横展開の成長戦略として非常に美しいビジョンを持っていると思いました。
NVIDIAの超高速AIデータセンターで動くOmniverse(産業デジタルツインのためのOS的なプラットフォーム)上で構築された、例えば、発電所は、リアルタイムで超絶技巧的なモニタリングが可能になります。従来からあった予防保全、予知保全とは全くレベル感の異なる、AIがある現在であり、AIデータセンターがある現在だからこそできるリアルタイムモニタリングが可能になります。これの意味はものすごく大きいです。日本の全発電所が導入するぐらいのポテンシャルがあります。
「HMAX for Industry」が何を指すのか具体的には不明ですが、おそらく『工場のデジタルツイン』でしょう。ドイツではSiemensがやっている世界です。
これもまた、動き始めると、日本の全工場が導入する意味があるぐらいの超絶ポテンシャルを持っています。
上で「時価総額5倍増」と書いたのは、あくまでも私個人の感想であり、直感でありますので、同社の株式銘柄を推奨している訳では一切ありませんので、そこのところをご了承下さいませ。
追記:
大河原克行氏の記事で見るLumada 3.0戦略の「統合感」「企業価値がみっしり詰まっている感」「成長戦略として非の打ちどころがない感」は、おそらくこの戦略策定自体をChatGPTの最新モデルか、それに匹敵するLLMで行っている印象があります。論理的整合性と言いますか、ストラクチャード性と言いますか。この非の打ち所がない感は、AIが作った戦略だからだと思います。
僭越ながら小職がこのブログで公開しているサイバーエージェント、信越化学、パナソニックのケーススタディでは、ChatGPT + ディープリサーチが作成した調査報告書の中身に、詳細に、「AIが作成した非の打ち所がない感があふれています。人間ではないので、完璧なのです。