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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

イラクの原油増産で世界の原油価格が下がる可能性

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先頃公開された和光大学経済経営学部教授・岩間剛一氏による「大きな魅力を持つイラン、イラクの石油・天然ガス資源の未来」(中東協力センターニュース 2010/12-2011/1)では、イラクの油田の現況について非常に詳しくレポートしています。イラクの油田群が世界の石油市場において持つポテンシャル、そしてイラク戦争終結後、世界のメジャーがイラクの油田の権益を分け合って増産に向けてピッチを速めている状況について、この記事を1本を読むだけで十分に理解できます。

■産出コストが大幅に安いイラクの原油

同記事によると、現在進められている世界の石油・天然ガス開発は、非常にコストのかかる特殊な油田が主になっており、それと比較すれば、イラクのコストの安さが際立つそうです。開発コストが高い油田の例には、水深1,000メートルを超える深海部の油田、東シベリアの極寒地の油田があります。これに対してイラクでは、平坦な砂漠にドリルを掘り込んで行けば比較的容易に原油が出るとされています(Struggle Just Beginning as Western Oil Giants Move to Boost Iraq Output)。

現実的なコストで言えば、先般原油流出事故で問題になった米国メキシコ湾岸の深海部における生産コストが1バレル当たり60〜70ドル。イラクを含む中東産油国の陸上油田では、これが1バレル当たり3〜10ドルと安くなります。
同記事では、現在のようにNYMEXの原油価格が1バレル90ドルといった高い領域に張り付いている状況では、イラクのような低コストの原油の産出が増大することに非常に大きな意味があると述べています。つまり、イラクの原油産出の回復とその後に続く増産は、世界の原油相場の押し下げ要因として働くわけです。

イラクの現在の原油生産が1日300万バレルを切るライン。これが同国が目標としている2017年に1日1,200万バレルになるとすれば、原油の需給が大きく変化します。

としてみれば、2008年ぐらいからイラクの主要な油田の競争入札に参加して、権益を分け合ってきた石油メジャー(日本の関連企業を含む)の動きには、非常に意味があるということになります。

ややゆっくりしたペースになりますが、イラク関連の話題をまだまだ続けます。

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