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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

一部のデータセンターもJ-SOX対応が必要になるかも知れない

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SOX関連でもう1つ。
今読んでいるのは、Harvard Business Review(2006 April)に掲載されたBest Practice: The Unexpected Benefits of Sarbanes-Oxleyです。経営の視点から見て、SOXに前向きに対応することには、いろんなメリットがあると述べている論文です。自分が探した限りでは、HBRで唯一、SOXを取り扱っている論文です。
筆者はStephen WagnerとLee Dittmar。前者は会計監査法人Deloitte & ToucheでUS Center for Corporate GovernanceのManaging Partner、後者はDeloitte ConsultingのEnterprise Governance Consulting PracticeでSOX PracticeのColeaderを務めているということなので、いわばプロ中のプロと見ていいでしょう。

この論文のなかで、企業の財務関連項目に関係した業務を受託しているアウトソーシング会社、例えば、売上や給与に関するアプリケーションやデータを保管している会社、言い換えればデータセンターや、財務関連のITインフラを管理している会社などもSOXの対象になってくるということを述べています。

-Quote-
One SOX-related complication arises when the partner company engages in activities that materially affect the primary company's financials. These can include hosting IT applications, managing IT infrastructure, providing services in accounts receivable or accounts payable, processing payroll, managaing benefits, and maintaining warehouse inventories.
-Unquote-

売上に関連するということで、製品を保管している倉庫管理会社なんかも対象に入ってくると、このSOXの専門家は考えているわけですね。

J-SOXの場合、連結売上、連結利益などに概ね5%程度影響を与える可能性がある業務プロセスおよびITにおいて統制を確立させる方向なので、株式公開企業から主業務に関係したアウトソーシングを受託しているデータセンターなども、何らかの形で「統制をしっかりやっています」ということを発注者に対して明示する必要が出てくるのでしょうか?そこに新しいビジネスのにおいが。。

素人ながらつらつら考えるに、大手小売業などで売上の一定割合をカード会社経由で受け取っているような場合、そのカード会社も同じような立場に立たされる可能性がありますね。そのカード会社が株式公開企業ならいずれにしてもJ-SOX対応しなければならないので、その延長で対応できますが、地銀の系列カード会社などで大手流通企業の地域拠点の主アクワイアラーになっている場合などに、対応が大変になることが予想されます。ただし、実際のところは、しかるべき筋から、しかるべきガイドラインが出てからの判断ということになります。

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