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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

Danah BoydがFinancial Timesに出た

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ひそかにDanah Boyd氏ウォッチを続けているというわけでもないですが、Social Network Analysis動向に非常にお詳しい澤田さんの情報で、なんとFinancial Timesの週末版で大々的にDanah Boyd氏が取り上げられていることが判明しました。この関連でひっぱりだこになりそうな雰囲気がひしと。(なお、この記事は、米国を中心としたSocial Networking 系サイトの全体的動向のよいまとめとなっています。オンラインゲームのSecond Lifeなども同系統として扱っています)

以下、簡単なメモを。

-Quote-
Boyd calls this behaviour “identity production” and, employing a favourite phrase of hers, says that young people are trying to “write themselves into being”.
-Unquote-

彼女は、SNSに人が集う行為を、新しい社会的かつ文化的な行為であると見ていて、例えばオンラインのある種の振る舞いを「Identity Production」と特別な言葉で呼び、そこに新しい意味を付与しようとしています。例えば、現在の10代が、学校が終わってから集まることのできるパブリックスペースがほとんどなくなっているなかで、そうした場をSNSに求めて、交流しているうちに、新しい遊び方、新しいつながり方、新しい価値のやりとりが生まれてくるわけですが、その時にキーとなるのが(自分と相手を区別する符号のようなもの)、プロフィールの記述だったり、何かの書き込みだったりするわけです。そうしたものによるオンライン上のアイデンティティ確立のしかたを、社会学的な見地で意味づけしようとしているようなのです。

それから、文化的によりどころのない10代にとって、近年久々に出現した解放区であるという捉え方もしているようです。過去20年ばかし、10代に割当てられるカルチャー系のなにがしはすべて企業が消費されることを狙ってあてがっていたものです。SNSはそれらとは異なり、自分たちで遊び方を見つけられる「場」として存在していて、そこから自発的な文化が生まれる可能性があると見ているようです。(そうした見方をするがゆえに、SNS空間がマーケティングメッセージで埋まることを嫌っています)

記事を読んでいると、SNSのマイナス面、特に10代に与えるマイナスの影響も論じられていますが、それでもなおかつ、彼女はラディカルに、解放区としてのSNSを擁護します。

-Quote-
For their critics, they have started an impossible conversation, a cacophony of views that never go anywhere or get close to some underlying truth. But for Boyd the conversation is the whole point. “I genuinely think it is helpful,” she said. “It helps people connect and learn from one another. It is all about tolerance. One of the best things you can do is get people to learn about people who are not like them.”
-Unquote-

どうなんでしょうか?こういう彼女の結語が出る前に、彼女が関わった不幸な少女のエピソードがひとくさりあったりして、思考はなかなか深いのではと思わせます。

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