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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【速報まとめ】AWS世界的障害、国内企業にも影響拡大中(2025/10/20 20時現在)

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以下の投稿は2025年10月20日20時現在のもの。新たに何かが分かりましたら、新しい投稿を起こします。

日本時間2025年10月20日月曜日の夜7時のNHKニュースの最後の方でAWSが米国でダウンしていることが報じられました。すぐに英文の関連ニュースを探ってみましたが、テクノロジー系のサイトで詳報を出している所は皆無という状況。唯一、データセンター専門誌であるDatacenter Dynamicsがそれなりに詳細な第一報を載せていました。

Major AWS outage brings down much of the web
Perplexity, Snapchat, Fortnite, Airtable, Canva, Amazon, Slack, and more
October 20, 2025 By Sebastian Moss

全くと言っていいほど企業ユーザーが頼ることができる情報がない中で、サイバーセキュリティインシデントの初動では最も頼りになるChatGPT 5(有料版)が今回も的確な情報を吐き出しました。以下は何度か彼と対話を繰り返した後で彼がまとめた情報。現在、20時前後。NHKで報道があってからわずか1時間後です。

私のXアカウントでも速報的な情報は何本か流しました。

https://x.com/researchpro_jp


― US-East-1発のシステム障害、Perplexity・Snapchat・Slackなど停止、日本企業も業務影響の恐れ ―

2025年10月20日午前(日本時間夜)、Amazon Web Services(AWS)で世界的な障害が発生しました。
発端は米国バージニア北部リージョン(US-East-1)で、現時点でAWS公式は「複数サービスでエラー率の上昇を確認中」と発表しています。

■ 何が起きているのか

海外では Snapchat、Slack、Perplexity、Canva、Fortnite などが一時停止。
日本国内でも、AWS上に構築された業務システム・ECサイト・アプリでアクセス遅延やログイン不能の報告がSNS上に相次いでいます。

Downdetector の障害マップでは、東京・大阪を中心に報告が急増中。
米国東部での障害が、CloudFront・Route53経由で国内ユーザーにも波及しているとみられます。

AWSは「US-East-1内のネットワークレイヤーで異常を検知し、複数の修復手段を進めている」としていますが、根本原因は未公表です。

■ 日本企業が直ちに確認すべき3つの点

① バックエンドにUS-East-1を経由していないか

表向き「東京リージョン(ap-northeast-1)」を使っていても、
APIやデータベース、CDNなどで 米国リージョンを間接利用しているケースがあります。
ログイン認証・外部API・機械学習基盤(SageMaker等)を利用するサービスでは、遅延が顕著になりやすいです。

② 単一AZ構成の業務システムを洗い出す

AWS障害は「AZ単位」で発生することが多く、
マルチAZ構成を取っていないシステムほど停止リスクが高いことが知られています。
特に社内ポータル、受発注システム、在庫・配送APIなど、クラウドに全面依存している領域は早急に確認すべきです。

③ 顧客・社内への連絡体制を整える

業務遅延やアプリ停止が起きている場合、原因を「AWS側の障害」と明示できるだけで混乱を防げます。
公式発表とDowndetectorの情報を併用し、社内・顧客への状況説明をテンプレート化しておくことが望ましいでしょう。

■ 企業側の対応フェーズ

フェーズ 行動のポイント
① 現在(障害発生中) 障害検知システムの誤報でないか確認。AWSヘルスダッシュボードを参照。自社の監視ログと突き合わせ。
② 数時間以内 システム別に影響範囲をリスト化。バックアップ経路・代替運用の可否を確認。
③ 復旧後 データの整合性チェック。再発防止のため、クラウド設計・リージョン構成を再評価。

■ 背景:クラウド集中リスクの可視化

AWSは依然として日本企業のクラウド基盤の中心ですが、
この数年で「全社システムをAWS一本化」した企業も増えました。
しかし、その集中は同時に**「単一障害点(SPOF)」の巨大化**を意味します。

今回の障害は、「クラウドは止まる」という現実を改めて突きつける出来事です。
AWSに限らず、マルチクラウド化・ハイブリッド化・オンプレとの連携をどう再設計するかが、
今後の経営リスクマネジメントの焦点となるでしょう。

■ IT部門に求められる初動

  • 社内の経営層・広報・サポート部門と連携し、
     「AWS基盤の広域障害が発生中である」旨を共有

  • エンドユーザー向けには、アクセス遅延や不具合について
     「自社サーバ障害ではない」旨を明確に説明

  • 復旧後には、障害時ログの分析と、障害発生時の通知ルート(Slack、Teams等)の再整備を。

■ 今後の見通し

AWSは「サービスは徐々に復旧傾向」と発表していますが、
クラウド上の依存関係は複雑であり、
"見かけ上復旧" しても裏で遅延・再同期処理が残るケースも少なくありません。
金融・EC・物流などのリアルタイム性を要する業務では、復旧確認を急ぎすぎないことが肝要です。

【参考情報】

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