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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

企業スケールAIユースケースの決定版!ソフトウェア定義経営をユニクロのインド事業に適用。「言葉」だけでインド市場の可能性を飛躍的に拡大

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ソフトウェア定義経営(Software-Defined 経営)は、AIのユースケースをなかなか見つけられずにいる企業の方々に成り代わって、社員個人の生産性向上などではないコーポレートスケールのAIユースケースがある!という確信の元に、最新版のGemini 3 Proと議論を重ねる中で発見した新しいユースケースです。AIの凄みのあるユースケースはAIに聞け!です。

彼らはアメリカのスタンフォードクラスのMBAコースで教授されているビジネススクール科目に関連した文献、資料、ケーススタディ等を数十万ページ規模で頭に入れており、最新の経営学テーマについてスタンフォードの教授レベルで授業設計(シラバス策定)を行える知見を備えています。プロンプトを工夫すればどなたでも実験できますから試して見て下さい。ChatGPTもGeminiも最新版かつ有料版である必要があります。

この投稿では、ソフトウェア定義経営を具体的なケースとして読むことで、立体的な理解が醸成されるように書かれています。

「ハードウェア」とはすでにその企業が持っているアセット。意図的に動かさないもの。(余計な費用をかけないため)

その企業が持っているアセットで、動かせないもの、所与のもの全体を「ハードウェア」と呼んでいます。人材や無形のブランド資産、信用なども含めて全てがその企業の「ハードウェア」です。これはAIと一緒にソフトウェア定義経営を進めていくための"思考装置"です。このように明快に定義さえすれば、彼はその定義を踏まえて、一生懸命に「ソフトウェア」を考えるようになります。

関連投稿:

企業をハード/ソフトに分離するソフトウェア定義経営:AIで時価総額増大戦術を特定して会社に実装する

この投稿では、わかりやすいケーススタディとして、ユニクロを取り上げます。ユニクロ(ファーストリテイリング)のハードウェアは、同社がすでに持っている店舗チャネル(オンライン店舗含む)、工場等のサプライチェーン、DX戦略の最高峰と言うべき情報システム、人材、ブランドなどによって構成されています。ハードウェアはユニクロの不変の部分です。これは動かしません。

可変の要素である「ソフトウェア」とは何か?

AIと一緒に考え抜いて創出する「言葉」です。ChatGPTやGeminiもLLMですから中核には人間が話している「言葉」があります。LLMだけに、一度定義を与えさえすれば、彼らの内部にある「言葉」によって、人間では不可能なほどの重層的かつ構造的な思考を繰り返して、ユニクロのソフトウェアとして、意味のある「言葉」を考えだします。その新しい「言葉」は、ユニクロの売上を確実に増やし、純利益を増やし、それによって時価総額に大きなインパクトを与えることが、ほぼ確実な「言葉」です。そういう「言葉」を、最新のGemini 3 Proに考え出させます。

これを彼と議論/対話を繰り返す中で、彼に生成させるのです。

私は、日本企業がコーポレートスケールのAIユースケースを考えつくことができないでいるのを見て、実はじれったく思っています。そのため、この投稿にあるようなケーススタディを書かせていただいております。

以下はユニクロをケーススタディとして、Gemini 3 Proに考えさせた、ユニクロの時価総額を上げる可能性のある「言葉」です。同社にハードウェアには一切手をつけず、Gemini 3 ProがAIの最高性能を発揮して生み出した、同社の可変要素である「ソフトウェア」です。これこそがコーポレート・スケールのAIユースケースの典型だと真面目に考えています。

ユニクロのインド事業を飛躍的に成長させる、AIが考え抜いた「言葉」

ユニクロのインド事業に意味のあるソフトウェア/言葉として、以下を提示します。

ユニクロのプレスリリース:インドのベンガルールにユニクロが初出店、急成長する 「インドのシリコンバレー」に新店舗がオープン(2025/6/25)

「Uniqlo in India」は、まさにSoftware-Defined Value Creation (SDVC)の実践に最適なケーススタディです。
ユニクロが持つ「ハードウェア(既存のアセット)」は極めて強力です。

Hardware: 東レと開発した機能性素材(エアリズム、ヒートテック)、圧倒的な品質管理(匠)、SPAによるコスト競争力。

しかし、インド市場において、単に「日本の高品質なカジュアルウェア」として売るのは、古い定義(Old OS)です。インドという特殊な環境(猛暑、激しい湿気、砂埃、そして爆発的な経済成長への野心)に合わせて、「言葉(Logos)」によって再定義(Software-Defined)する必要があります。

あなたの「言葉から価値を創造する」という哲学に基づき、インド人の心(マジョリティ層)に響く、新しい「OS(概念)」を英語でドラフトしました。

Software-Defined Concept for Uniqlo India
Concept Code: ENGINEERED FOR INDIAN AMBITION

「服」ではなく、インドの人々が日々直面する過酷な環境(気候・交通・競争)を乗り越えるための「インフラ(機能的装備)」として再定義します。

The Core Message (The "Logos")

以下は、現地のビルボードやデジタル広告で展開されることを想定した、新しい価値定義のプロンプト(英語コピー)です。

Title: Don't Just Wear Clothes. Wear Technology.

Body: India never stops. Neither should you. In the heat of Delhi, in the rains of Mumbai, or the rush of Bangalore--you need more than just fashion. You need gear that works as hard as you do.

Uniqlo is not just apparel. It is Japanese Engineering for your daily life.

AIRism is your personal cooling system.

UV Cut is your shield against the sun.

Iron-Free is your dignity in the rush hour.

Efficient. Durable. Smart. LifeWear: Engineered for the Indian Ambition.

Software-Defined Use Cases (3 Examples)

ユニクロの製品(HW)は一切変えず、意味付け(SW)だけをインド向けに書き換えた具体的なユースケースです。

Use Case 1: The "Personal Cooling System" (Re-defining AIRism)
Hardware: AIRism Innerwear (Thin, breathable fabric).

Old Definition: 下着、快適なインナー。

New Definition (Software-Defined):

"The Invisible Air-Conditioner"

Context: インドの夏は45度を超え、停電も起こります。エアコンがない場所でも、涼しさを保つことは「快適さ」ではなく「生存と生産性の維持」です。

Value Proposition: "Save your energy for your goals, not for fighting the heat."(暑さと戦うためにエネルギーを使うな、夢のために使え。)

Use Case 2: The "Commuter's Armor" (Re-defining Kando Pants/Shirts)
Hardware: 感動パンツ、ノンアイロンシャツ(High elasticity, Quick-dry).

Old Definition: 動きやすいビジネスウェア。

New Definition (Software-Defined):

"Traffic-Proof Professional Wear"

Context: インドの通勤は過酷です(オートリキシャの振動、メトロの混雑、道路の砂埃)。オフィスに着く頃には服がシワだらけになりがちです。

Value Proposition: "Arrive fresh, no matter the journey."(どんな過酷な通勤を経ても、オフィスにはパリッとした姿で到着できる=プロフェッショナルの尊厳を守る。)

Use Case 3: "Paisa Vasool" Engineering (Re-defining Quality/Takumi)
Hardware: 匠プロジェクトによる縫製技術、耐久性。

Old Definition: 高品質で長持ち。

New Definition (Software-Defined):

"Investment Grade Fabric"

Context: インドには「Paisa Vasool(支払ったお金以上の価値がある)」という強い価値観があります。安物買いの銭失いは嫌われます。

Value Proposition: "Japanese quality means you buy once, and it serves you for years. True value for your hard-earned money."(日本の品質は、一度買えば何年もあなたに仕える。これこそが、あなたが稼いだお金に対する真の敬意だ。)

考察:なぜこれが「Software-Defined」なのか
このアプローチでは、ユニクロはインドのために新しい工場を建てる必要も、新しい素材を開発する必要もありません(HWはそのまま)。

変えたのは「言葉(Logos)」だけです。 「カジュアルな服」という定義を捨て、「インドの熱気と成長意欲を支える機能的インフラ」というソフトウェアをインストールすることで、インドのマジョリティ層(上昇志向のある中間層)にとっての「必需品」へと変貌させます。

まさに、あなたがおっしゃる「神が言葉によって世界を定義した」ように、「言葉によって商品の役割を定義し直す」プロセスです。
(今泉注:今泉は聖書主義の信仰を持っています。聖書の冒頭、創世記で「神が言葉/ロゴスによって天地万物を創造した」。そのことにヒントを得て、これまで日本企業が使ったことがない新しいタイプの「言葉/ロゴス」によって、新しいタイプの企業価値を創造できるのではないか?その手伝いを最新版のAIにやらせよう...ということを、かなり真面目に方法論的に考えています。)

ビジネスブログとして解説しました。

上の英語ベースの「ソフトウェア」だけだと記号のようで、訳がわからんという方も多いでしょうから、上の「ソフトウェア」をベースに、ビジネスブログを書いて見たいと思います。

ブログ:【勝手ケーススタディ】ユニクロがインドを制覇するための「Software-Defined」戦略:服を売るな、「成功へのインフラ」を売れ

前回提起した「Software-Defined 経営(ソフトウェア定義経営)」の実践編として、今回は「ユニクロ(ファーストリテイリング)」のインド市場攻略を勝手にシミュレーションします。

日本企業が持つ最強のハードウェア(製品・技術)を、現地市場に合わせたソフトウェア(言葉・定義)で書き換えることで、いかにして巨大な価値を生み出すか。その具体的なプロセスを提示します。

1. 課題:高品質な「服」では、インドの熱狂には響かない
ユニクロが持つ「ハードウェア」は世界屈指です。

東レと共同開発した機能性素材(ヒートテック、エアリズム)

「匠」プロジェクトによる縫製技術

SPAモデルによる圧倒的なコストパフォーマンス

しかし、これをそのままインドに持ち込み、「日本の高品質なカジュアルウェア(LifeWear)」という「古いソフトウェア(定義)」のまま展開しても、爆発的な時価総額の増大にはつながりません。 なぜなら、インドの巨大な中間層にとって、服はまだ「ファッション(趣味)」ではなく、過酷な競争社会を勝ち抜くための「装備」であるべきだからです。

そこで、ハードウェア(商品はそのまま)は変えず、ソフトウェア(意味づけ)をAI的な思考で完全に書き換えます。

2. 再定義(New Software):ENGINEERED FOR INDIAN AMBITION
新しいコンセプトコードは「ENGINEERED FOR INDIAN AMBITION(インドの野心のために設計されたエンジニアリング)」です。

ユニクロをアパレル企業ではなく、「インドの人々が日々直面する過酷な環境(気候・交通・競争)を乗り越えるための『インフラ企業』」として再定義します。

(今泉注:こういう「言葉による事業の再定義」を最大手広告代理店に発注すると、少なくとも5,000万円のプロジェクトになる。Gemini 3 Pro最新版かつ有料版ではほとんどタダに近い。Gemini 3 Proが頭抜けたAIであるがために、このような高度な「言葉」を、ユニクロの既存ハードウェア一切を咀嚼した上で、生み出すことができる。)

この定義に基づき、3つの階層(消費者・B2B・投資家)に向けたナラティブを生成します。

3. 消費者へのナラティブ: "Don't Just Wear Clothes. Wear Technology."
インドの消費者、特に上昇志向の強い若者やビジネスパーソンに向けたメッセージは、「お洒落」ではなく「実利」と「生存」です。

■ ユースケース①:AIRismの再定義

Old Definition: 通気性の良い快適な肌着。

New Definition (Software-Defined): "Personal Cooling System"(着るエアコン)

Context: インドの夏は45度を超え、停電も頻発します。汗だくになることは、ビジネスにおいて「不潔」であり「敗北」を意味します。

Message: 「暑さと戦うためにエネルギーを使うな。そのエネルギーを、あなたの夢や仕事のために使え。AIRismは、あなたを常にクールに保つ冷却システムだ。」

■ ユースケース②:感動パンツ・ノンアイロンシャツの再定義

Old Definition: 動きやすいビジネスウェア。

New Definition (Software-Defined): "Traffic-Proof Armor"(通勤地獄に負けない鎧)

Context: 砂埃舞う道路、すし詰めのメトロ、激しく揺れるオートリキシャ。オフィスに着く頃には服はヨレヨレになります。

Message: 「どんな過酷な通勤を経ても、オフィスにはパリッとした姿で到着できる。これは、プロフェッショナルとしてのあなたの尊厳(Dignity)を守る技術だ。」

■ ユースケース③:品質(匠)の再定義

Old Definition: 長持ちする良い品質。

New Definition (Software-Defined): "Investment Grade Fabric"(投資適格な布)

Context: インドには「Paisa Vasool(支払ったお金以上の価値がある)」という強い価値観があります。

Message: 「日本の品質は、一度買えば何年もあなたに仕える。これは消費ではない。あなたのキャリアへの『投資』であり、賢いお金の使い方だ。」

4. 投資家へのナラティブ:アパレルから「社会インフラ」へ
この再定義は、株式市場(東証)に対しても強力なインパクトを持ちます。

Old Narrative: 「ユニクロはインドで店舗を増やし、服を売ります。」

これでは、単なる小売業のPER(株価収益率)しかつきません。

New Narrative: 「ユニクロは、インドという過酷な環境で働く14億人の生産性を向上させる『機能的インフラ』を提供します。」

これは「社会課題解決型企業」への転換であり、成長期待値(PER)を劇的に引き上げます。

5. 結論:モノは変えず、言葉を変える
今回のケーススタディで注目すべきは、ユニクロはインドのために新しい工場を建てる必要も、新素材を開発する必要もないという点です。 既存の資産(ハードウェア)はそのままに、「どう定義するか(言葉・ソフトウェア)」を変えただけで、ターゲット市場の深さと広がりが劇的に変わりました。

これこそが、「Software-Defined 経営」の真髄です。 AIと協業し、市場の文脈(コンテキスト)を読み解き、自社製品を「最も高く売れる文脈」へと配置し直す。 このアプローチは、ユニクロに限らず、技術はあるが「伝え方」で損をしているすべての日本企業に応用可能です。

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