ランサムウェアの身代金を支払うことは国際的なテロリストに資金を渡すのと同じ。支払わないのが正解
ランサムウェア犯罪集団は「英語ベースで展開する国際的な犯罪組織」であり、残念ながら日本では英語ベースの活動情報が日本語に翻訳されるまで時間がかかるため、常に、リアルタイムではない状況の共有が行われています。私はXで関連情報の収集を少し行っていますが、昨日もある日本のインターネットインフラ系の大手企業(株式公開企業)がランサムウェアの被害に遭ったという情報が、ホワイトハッカー系のアカウントで流れました。この情報が従来の日本語のメディアで報道されるまで2日程度かかります。
おそらく被害に遭った企業自身が、被害にあったことを知るまで2日は時間がかかるということになります。ランサムウェア集団が直接コンタクトを取ってくるのは、彼らの手にボールがありますから、いつになるかわかりません。なお、サイバーセキュリティに関連したホワイトハッカー系Xアカウントは、善意によって、被害企業に、ダークウェブ等で公開されたランサムウェア犯罪集団の動きをいち早くキャッチして、Xのような一般人もアクセスするSNSで、一種のアラームとして情報を流します。もちろんSOC(Secutity Operation Center)などの専門家はSNSも含めて24時間見ているでしょうけれども。(彼らのリアルタイム情報が共有されることはほとんどありません。一般企業にとってはXのホワイトハッカーアカウントがありたがたい存在ということになります。)
以下の身代金を支払う、支払わないという問題。またサイバー保険が下りる下りないという問題も、「日本でだけ流通している『常識』」のようなものがあり、それは英語の最新情報にアクセスできない現実に起因しています。実はChatGPT 5.1やGemini 3 Proを駆使すれば言語の壁は難なく乗り越えられる時代になったのですが、それですらあまり行われていません...。みんな、ChatGPT 5.1有料版やGemini 3 Pro有料版をドシドシ使って、英語の最新情報を入手分析しまくりましょう!
以下は身代金とサイバー保険に関する、日本ではあまり知られていない事柄です。
ジョン・キンダーバーグの思想に基づく
「真正ゼロトラストアーキテクチャ」
「日本だけ通用するゼロトラスト」に投資していませんか?
米国政府推奨の本家本元モデルは、経営企画部が扱うべき大規模な投資案件です。
「身代金はサイバー保険がカバーしてくれる」という勘違い -- ランサムウェア犯罪集団は国際的なテロリストと同じ扱い
「もしランサムウェアに感染しても、うちはサイバー保険に入っているから大丈夫。いざとなれば身代金も保険でカバーできるはずだ」
もし経営会議でこのような発言が出たら、その会社は極めて危険な状態にあります。QilinやRansomHouseといった国際的な犯罪集団が猛威を振るう今
今回は、多くの日本企業が直視できていない「金と法律と倫理」の不都合な真実について解説します。
1. そもそも「払えない相手」が多すぎるという現実
多くのビジネスパーソンが誤解していますが、サイバー保険は「何でも支払ってくれる魔法の財布」ではありません
なぜなら、ランサムウェア攻撃者の多くは、国際的な制裁リスト(OFAC規制リストや国連制裁リスト)に含まれるテロリストや犯罪組織とみなされているからです
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ロシア系組織(Conti, REvilなど): 多くの主要グループが制裁対象です
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北朝鮮系組織(Lazarusなど): 国連制裁の対象です
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イラン系組織: OFAC規制の対象です
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これらの組織に対し、保険会社が金銭を支払うことは法律で禁じられています。もし支払えば、保険会社自身が「テロ資金供与(CFT)」や「マネーロンダリング(AML)」に加担したとして処罰されるからです
CFT: Countering the Financing of Terrorism (カウンタリング・ザ・ファイナンシング・オブ・テロリズム / テロ資金供与対策)
AML: Anti-Money Laundering (アンチ・マネー・ロンダリング / 資金洗浄対策)
当然、日本企業が自腹で支払ったとしても、それは外為法違反などの重大なコンプライアンス違反、ひいては犯罪行為となります
「身代金は保険で」と考えていても、相手が制裁対象であれば、保険金は1円も下りません。これが現実です
2. 日本企業に必要なのは「グローバルな保険会社」一択である理由
ここで重要になるのが、「どこの保険会社と契約しているか」という点です。Qilinのような国境を越えて活動する凶悪なランサムウェア集団に対抗するためには、ドメスティックな(国内中心の)保険会社では対応しきれないケースが増えています。
なぜ、AIG、Zurich、Chubbといった「グローバルな保険会社」を選ぶ必要があるのでしょうか
① 国際法と制裁リストのリアルタイムな判定能力
前述の通り、身代金支払いの可否は「相手が国際的な制裁対象かどうか」にかかっています
② 海外拠点までカバーする補償範囲
日本企業の多くは、海外工場や海外支社を持っています。攻撃者は、セキュリティの甘い海外拠点から侵入し、日本本社を攻撃します
「海外工場がある企業は、海外対応の補償範囲を必ず確認する」必要があります
③ 「本物の専門家」とのコネクション
ここが最も重要です。グローバル保険会社は、CrowdStrikeやMandiant、Krollといった「世界トップレベルのインシデントレスポンス(IR)会社」と提携しているケースが多くあります
3. 身代金支払いは「反社への資金提供」である
百歩譲って、攻撃者が制裁リストに入っていなかったとしましょう。それでも、身代金を支払うべきではありません。
日本には「反社会的勢力排除」という厳格な企業倫理があります。ランサムウェア集団に身代金を支払うということは、テロリストや犯罪組織に活動資金を提供するスポンサーになることと同義です
保険会社は「金銭的損失」を埋めるための存在ですが、反社会勢力への支払いを肩代わりしてくれる存在ではありません
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保険は「補助金」: IR(Incident Response。フォレンジック会社とほぼ同義)費用や復旧費用、事業停止損失などの金銭的インパクトを緩和するもの
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IR会社は「医者」: 事業を救い、防衛するもの
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この役割を混同し、「保険に入っているから、何かあったら金を払って解決」と考えるのは、コンプライアンス経営の放棄と言わざるを得ません。
4. 結論:「払わない」ための投資が最強の保険
身代金を払っても、データが完全に復元される保証はありません
経営者が選ぶべき道は一つです。「身代金を払うための保険」に頼るのではなく、「身代金を払わずに済むための構造」を作ることです。
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ゼロトラスト・アーキテクチャの導入: 侵入されても横展開(ラテラルムーブメント)させない
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3-2-1-1 バックアップ戦略: ネットワークから切り離された「イミュータブル(書き換え不可)」なバックアップを持つ
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これらを備えていれば、犯罪者から「データを暗号化した」と脅されても、「バックアップから戻すので結構です」と突っぱねることができます