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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

AIに仕事が奪われる際の「前兆」 - AIに仕事を奪われる可能性のある女性総合職の対策ブログ(2)

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こちらの投稿の続き、4回シリーズの第2回目です。

AIで仕事を奪われる可能性が高い人の特徴 - AIに仕事を奪われる可能性のある女性総合職の対策ブログ(1)

来週中には、AIを上手に"相棒"として使うことができるようになるためのトレーニングの投稿をnoteに出します。トレーニング投稿の第1回目はこちら。

ChatGPTをビジネスパーソンとして使いこなす(1) - 今日の経済ニュースをピックアップする


AIによる業務自動化の波はある日突然やってくるわけではありません。実際には、あなたの職場や業務プロセスの中に「AIが仕事を奪いに来ている」ことを示す前兆が現れるものです。本記事では、大企業で働く40代女性の総合職の方に向けて、社内・業務で見られるAI化の兆候組織の動きから読み取るサインを紹介し、そうした前兆に気づいたときにどのように備えるべきかを考察します。

社内業務に潜む5つのAI化サイン

まず、職場で「これはAIに仕事を奪われる前兆かも?」と疑うべき典型的なサインを5つ挙げます。以下のような変化がないか、日々の業務を振り返ってみましょう。

1. 日常業務の一部が突然自動化され始めた

最近まで時間をかけていた作業が、ある日急にツールで自動化された経験はありませんか?例えば、Excelへのデータ入力や定例レポート作成などの「雑務」が、社内導入されたアプリであっという間に完了するようになったとしたら要注意ですlinkedin.com。実際、「IT部門から急に新しいツールの案内メールが来て、試しに使ったらこれまで数時間かかっていた週次報告書が数分で生成された」というケースもあります。また、上司が「この作業はシステムに任せよう」「自動化できないか?」と口にし始めたら、それは業務プロセスから人手を減らす兆候です。調査によれば企業の約45%が管理部門の定型業務を自動化しつつあるという報告もあります。自分の担当している"コツコツ作業"が次第に減ってきたと感じたら、業務の役割自体が変わり始めている可能性があります。

2. 社内の求人や評価に「AI」や「デジタル化」が登場した

あなたの会社が「AI活用推進担当」「自動化プロジェクトマネージャー」といったポジションの募集を出し始めたら、それも前兆の一つです。社内にAIや自動化を専門に進める人材を置くということは、組織全体で業務フローの見直しを図ろうとしているサインです。また、人事考課や上司との面談で「デジタルツールへの適応力を身につけることが重要」「Techリテラシーを上げよう」といった言葉が強調されるようになったら要注意。これは暗に「現状のスキルセットのままでは今後厳しいですよ」と示唆している場合があります。さらに社内研修でAI関連の講座が増えたり、「DX推進」が経営方針に掲げられたりするのも組織がAIへの舵を切った証拠です。

3. 部署の予算配分が人件費よりテクノロジー重視になってきた

「予算は縮小なのに新しいソフトウェア購入には積極的」といった動きはありませんか? 例えば、自分の部署の人件費は削減傾向なのに、IT投資には潤沢に予算がついている場合です。極端な例では、経営層が「AIによる効率化で少人数精鋭のチームにする」と発言し、実際に"人を増やさずに生産性を上げろ"というプレッシャーがかかってきたら要注意ですlinkedin.com。ある企業では「AI活用で業務効率化を図る」と経営が盛んにアピールした後、「コスト削減」の名目で早期退職募集やレイオフが実施された例もあります。また、部門予算のうち研修・教育費が削られ、代わりにAI関連プロジェクトに回されているといった兆候も見逃せません。お金の流れは組織の戦略を如実に表します。自部門に対する投資よりもテクノロジーへの投資が明らかに優先されているなら、組織として「人より技術で乗り切る」方向に進んでいる可能性が高いでしょう。

4. 業績評価の指標が「人間らしさ」より「機械的な生産性」になった

「とにかくアウトプット量を増やせ」1時間あたりの処理件数で評価する」といった声が上司から聞かれるようになったら要注意です。急に細かいKPIを課されたり、「君の生産性をリアルタイムでモニタリングできるツールを導入する」と言われたりしていないでしょうか。たとえばPCのキー入力や在席時間をAIで監視・分析するシステムが導入され、「創造性よりも時間あたりの成果が重視される」雰囲気が強まったとしたら、それはAIとの比較で人間の効率がチェックされ始めた兆候ですlinkedin.com。あるエンジニアは「自分たちの業務ペースがAIの処理能力と比較されているようで士気が下がる」と漏らしています。本来クリエイティビティやチームワークが評価されるべき職種でさえ、「数字さえ良ければOK」という風潮になったら、人間らしい強みが軽視されているサインと考えられます。つまり組織が人ではなく機械をベンチマークにし始めたということです。

5. 経営層が「スリムな組織」「自動化」をやたらと強調し始めた

トップマネジメントの発言にも前兆は表れます。経営会議や社長メッセージで「Lean(リーン)な組織を目指す」「徹底したワークフローの自動化で生産性向上」などのキーワードが出始めたら、構造改革の予兆かもしれません。実際、世界的にはIBMのように「今後AIで代替可能な約7,800のバックオフィス業務の採用を一時停止する」と公言した企業も出ていますreuters.com。日本企業でも「DXによる業務効率化」を旗印に、人員削減や配置転換を進める例が出てきました。つまり経営者が公の場で「人員を増やさずに回せる仕組みづくり」を強調し始めるのは、裏を返せば「今いる人員は減らしていく」という宣言にも聞こえます。こうした言葉が社内に溢れ始めた時、社員側も心構えをしておく必要があるでしょう。

以上の5つのサインは、いずれも会社が人間の仕事をAIや自動化技術に置き換えていくプロセス上で現れる兆候です。一つひとつは小さな変化かもしれませんが、複合的に現れている場合は注意が必要です。

前兆に気付いたらどう備えるか

では、上記のような兆候に気付いたとき、40代の総合職女性はどのように備えるべきでしょうか。ポイントは大きく3つあります。

1. 自分の業務の「棚卸し」とスキルの再確認

まず、自分の担当業務を書き出し、AIに置き換えられる部分とそうでない部分を仕分けしてみましょうlinkedin.com日々行っているタスクをリストアップし、それぞれが「繰り返しが多くルール化できるか」「判断や創造性が求められるか」を評価します。例えば「データの集計・転記」「決まったフォーマットへの入力」はリスクの高いタスク、一方で「クレーム顧客への対応」「新規企画の立案」は人間ならではのタスクという具合に分類します。このように可視化することで、自分の仕事のうちAIに奪われかねない領域がどこなのかが見えてきます。もし自分の業務がリスクの高いタスクに偏っているようなら、早急に仕事の中身をシフトさせる必要があるでしょう。

また併せて、自分の強みやスキルセットの棚卸しも行います。「AIでは代替困難なスキル」として何を持っているか、逆に「AIが台頭すると価値が下がりそうなスキル」は何かを整理します。40代までの経験で身につけた専門知識、人脈、リーダーシップなどは一朝一夕にAIが真似できるものではありません。それらを改めて認識し、今後伸ばすべきスキルと併せて自己分析しておきましょう。

2. AIを味方につけて業務効率と付加価値を向上させる

前兆を感じたら、「AIに負けないぞ」と対抗するのではなく、積極的にAIを業務に取り入れて自分の武器にすることが肝要です。例えば、チャットボットやRPAを試験的に使わせてもらえるならどんどん活用し、単純作業はAIに肩代わりさせてしまいましょうその上で、人間にしかできない部分(AIが作成したドラフトへの肉付け、微妙なニュアンスの調整、顧客との対話など)に自分の時間とエネルギーを振り向けます。実際に、あるマーケティング部隊ではAIがまず文章の初稿を作り、人間がそこに自社らしさを加えて完成度を高めるという協働スタイルで業務効率と成果を両立した例があります。このようにAIを上手に"相棒"として使うことで、自身のアウトプットを底上げしつつ付加価値を出すことが可能になります。社内でも「AIツールに詳しい人」という評価が定まれば、逆に重宝される存在になるでしょう。

さらに、AIにはできないスキルを伸ばすことも重要です。前節の業績評価の話とも関連しますが、もし職場で創造性や対人スキルが軽視される流れを感じたら、あえてそうした人間的な強みを際立たせる努力をしましょう。例えば、「お客様との信頼関係構築」や「複雑な利害関係の調整」といったAIには難しい領域で成果を出せば、自ずと自分の存在価値を示せますlinkedin.com。組織が数値重視に傾きすぎているなら、「だからこそ自分は人間らしいケアで差別化するんだ」という逆張り戦略も時には有効です。AIにはない発想力や洞察力、人情味など、人間味あふれる部分を武器にすることで、「この仕事はこの人でなければ」と周囲に思わせられるでしょう。

3. キャリアプランBの準備:情報収集とネットワーク強化

前兆があるとはいえ、実際にいつ職が脅かされるかは誰にも確実には分かりません。不安に駆られるより、最悪の事態にも備えたキャリアのプランBを用意するくらいの前向きさが大切です。具体的には、転職市場の情報収集を始めてみるのも一つです。自分の業界でAI化が進む中、他業界では人手不足になっている職種があるかもしれません。また、自分の経験を活かせる転職先はどんなところがあるのか、求人情報を定期的にチェックしておくだけでも安心感が違います。

さらに、社内外のネットワークを強化しておくことも有効です。仮に組織再編があっても、社内で横の繋がりがあれば別部署に引き上げてもらえる可能性もありますし、社外の知人から新たな仕事の声がかかることもあります。40代ともなると昔の同僚や取引先など人脈も広いはずです。積極的に情報交換し、業界内外の動向や求人ニーズにアンテナを張っておきましょう。人づてに「AI導入で人減らしらしい」「今度こういうポストが空きそうだ」といった生の情報が入ることもあります。そして何より、社内政治的な動きにも注意を払ってください。AIプロジェクトに関与している人たちと交流しておけば、「実は来期から部内でRPA導入するらしい」といった有益な情報を早めにキャッチできるかもしれません。そうした情報感度の高さもまた、備えの一環と言えるでしょう。

「兆候」はチャンスと捉える発想を

AIによる仕事喪失の前兆は、不安を煽るものではありますが、逆に言えば「自分が変われるチャンス」のサインでもあります。兆しに早めに気付き、対策を講じることで、新たなスキル習得やキャリアアップの機会に繋げることも可能です。実際に前述の社内改革の兆候を捉え、自ら希望してAI関連プロジェクトに加わりキャリアを転換した人もいます。また、AI化の波に押されて転職した先で、一層自分に合った職場を見つけたという例もあるでしょう。

大切なのは、兆候に気付いたときに「備える行動」を起こすことです。不安を感じて動揺するよりも、「次のキャリアをどう創るか」を前向きに考えて準備を進めれば、たとえ仕事がAIに奪われる局面が来ても慌てずに済みます。AI時代は常に学び、適応し続ける人にとっては脅威ではなく、新たな活躍の舞台を与えてくれるものです。どうか兆候を見逃さず、自身のキャリア戦略に活かしてください。それが、AI時代をしなやかに生き抜く秘訣でもあります。


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