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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

調べてみました:シェールガスが注目される理由(上)

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日経新聞でもよくシェールガスに関する記事を見かけるようになりました。昨年11月にこの投稿(末尾にシェールガスに関する注があります)を書いた時には、ほとんど日本語の資料がなかったのに比べると、最近は話題沸騰という感じです。カタカナで「シェールガス」を検索した結果はこの通り。たくさんのページが見つかります。

■天然ガスの需給が大きく変化する

シェールガスがなぜこのように注目されるかと言うと、需給がタイトな天然ガスの世界に大きな風穴を開け(ガス穴と言うべきか)、国際的な天然ガスの需給と価格形成メカニズムを大きく変化させる可能性があるからです。

例えば日本はLNG(液化天然ガス)の世界取引の4割を引き受ける最大の輸入国であり、LNGの取引価格は長期相対契約で決まっているものの、シェールガスの潤沢な供給によって国際的な天然ガス市場の価格が下がり、LNGのスポット取引にもそれが及べば、中長期的には日本が買うLNGの価格が下がる可能性があります。

ちなみにシェールガスを除く従来型の天然ガスは、同じ化石燃料のうちでも二酸化炭素排出量が少なく、石炭発電から天然ガスを燃料とする発電に変えるだけで、その国における二酸化炭素排出量を大きく減らすことができます。ちなみに米国では発電燃料の半分が石炭なので(日本は約1/4)、それが当てはまります。世界的な低炭素化の文脈においても、天然ガスは注目されているエネルギー源ということになります。

■ロシアの地政学的な優位も変化する可能性

事は天然ガスの国際相場に限らず、地政学的なパワーバランスにも影響を及ぼす可能性があります。天然ガスの世界では2009年までロシアが世界最大の輸出国でした(昨年米国が抜きました)。東欧ではハンガリー、ポーランド、チェコなどが天然ガス供給の7〜9割をロシアに頼っていますし、フランス、イタリア、ドイツなども25〜35%程度はロシアが供給源です(2004年の資料による)。

このロシアが半ば独占的な立場を利用して、天然ガスの価格を上げたり、近隣国に供給を減らす構えを見せながら、パワーバランスを自らに有利になるように調節していることはよく知られています。ロシア最大の企業であり世界最大の天然ガス会社であるガスプロムに関するWikipediaのページに、過去5年の天然ガス価格の変化が記されていますが、欧州向けは5年の間に3倍になっていますね。ロシアの国家歳入の5割は石油と天然ガスの販売だと言われています。ロシアにとっては天然ガスが国力の1つの柱と言っていいでしょう。
シェールガスが潤沢に供給されることで天然ガスの国際価格が大きく変化するようなことがあると、ロシアの地政学的な立場も相対的に弱くなる可能性があるわけです。

米国CIAのWorld Factbook(世界の国々の概要を記述)によると、ロシア国内の景気も、天然ガスや石油の国際相場の急上昇や下落によって大きな影響を蒙っているそうです。

今日はここまで。続きを明日上げます。

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