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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

「ライフロガー」を企業が使いこなすまで

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Web2.0時代になったんだし、消費者と向き合う企業はもっと新しい形でマーケティングに利用できる情報を得なければならないと常々考えています。

消費者が常時肌身離さず持っていて、多種多様なログが取れる「ライフログ」ないし「ライフロガー」は、これからの企業が導入を検討すべき情報取得手段の最有力候補だと思います。

KDDIが「ライフログ」の実験を過去にやっていたということを、以前にどこかで読んでいた気がしますが、その後忘れていて、ITmediaのこちらの記事(日常生活をなんでも記録「ライフログ」)で改めてあぁそうだったと認識しました。

すでに技術としては実現可能なところにあり、あとはどう「使うか」だけですね。

このような新手のツールは、”どう「使うか」”を見極めていくフェーズが非常に重要です。どういうデータが取れるかは事前にわかる、どんな企業が使えばメリットがありそうかも事前にわかる。けれども、個別の企業がほんとうに使いこなせるかどうかは、実際にやってみなければわからない。同一の業種の同一の事業領域を持つ企業でも、企業文化や組織的な意思決定のクセによって、使いこなせるところとそうでないところが出てくる可能性がある。企業が使うことのできる新しい技術的なツールには、そういう性格があります。

やはり、企業が使いこなせるまでのフェーズを、ファシリテートしていく存在が不可欠だと思います。これを行うのは、コンサルティングファームでもよいし、システムインテグレータでもよいし、マーケティングリサーチ会社でもよいのですが、要は、イノベーションコンサルティングが求められているわけです。

シスコシステムズのインターネットビジネスソリューションズグループという無料のコンサルティングを主にFortune Global 500に対して提供している部門では、イノベーションコンサルティングにかなり近いことをやっています。
それにより判明しているのは、①特定の部門の小さな領域で始めて、うまくいくことを確かめるプロセスが不可欠、②経営トップにその効果を理解してもらい、スポンサーになってもらう手順が不可欠、③その導入に直接的に関わる人たちのナビゲートだけでなく、その企業のなかでユーザーやギャラリーになりうる人たちにも何らかの啓蒙を行うことも必要、④定量的な成果を把握し、向上させるためのPDCAサイクルを回すことは言わずもがな、ということです。
書くのは簡単であり、やるのはけっこう骨が折れる世界ではありますが、これをしっかりやる存在がいないと、目新しい時期だけちやほやされて、その企業に根付かないということになりかねません。

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