新成長戦略の柱の一つ「国際戦略総合特区」と「地域活性化総合特区」は7月にも創設。「クラウド特区」は?
毎日新聞の1月8日の記事に『総合特区制度:7月にも創設 全国から450件提案 「国際戦略」に5地区程度』という記事があり、
政府は7月にも創設予定の「総合特区で、税制優遇措置や規制緩和を行い、成長が期待される産業の国際競争力を高め、日本の経済成長のけん引役の育成を本格化させる。
と書かれています。「総合特区」の創設にあたっては、大都市を対象に国際競争力の向上を目指す「国際戦略総合特区」を5地区程度、そして、全国各地の地域資源を活用する「地域活性化総合特区」を47地区程度選定するとしています。
昨年既に、内閣官房 地域活性化統合事務局より「 「総合特区制度」に関する提案募集における提案内容について」の一覧が公開されています。時間が許せば、提案内容を見てみると勉強になるかと思います。
昨年の11月のブログ「ICT関連の事業仕分け結果について(フューチャースクール、地域ICT利活用広域連携事業、新ICT利活用サービス創出支援事業、ICT海外展開関係事業、総合特区推進事業など)」で少し取り上げましたが、総合特区推進調整費の820億円については、事業仕分けの対象となっています。
A-19: 総合特区推進調整費 (内閣府)
事業概要:
総合特区推進調整費は、地域の責任ある戦略、民間の知恵と資金、国の施策の「選択と集中」の観点を最大限活かし、規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置等を一体として実施する「総合特区」の推進調整に必要な経費である。
総合特区の目標達成のための様々な事業に活用できる経費とすることで、地域の知恵と工夫を活かした意欲的な取組を支援する。平成23年度予算要求:
82,000百万円
結果概要:
来年度の予算計上は見送り
(・しっかりとした説明ができるようにならない限り見送り)
朝日新聞の記事によると、今後は通常国会で総合特区法の成立後、改めて全国の自治体から提案を募り、7月にも特区を指定するというスケジュールとなっています。最終的な
注目されるのは、国際競争力の強化で5地区程度と限定されている「国際戦略総合特区」です。朝日新聞では、以下のとおり、提案されている国際戦略総合特区の例を掲載しています。
■提案されている国際戦略総合特区の例
名称 | 提案者 | 内容 |
戦略的グリーンITパーク設立構想 | 青森県、六ヶ所村など | 大規模データセンターを開設する |
メディカル・ツーリズム特区 | 東京都文京区 | 治療・健診に訪れる外国人を受け入れやすくする |
福岡・釜山インターリージョナル国際戦略総合特区 | 福岡市 | 韓国・釜山と一体的な経済圏を構築する |
関西国際空港の国際観光・貨物ハブ化プロジェクト | 大阪府 | 航空会社や物流関連企業のコストを軽減する |
国際航空宇宙産業クラスター特区 | 愛知県、名古屋市 | 航空宇宙関連産業を育成する |
となっています。特にIT分野に関係するのは、青森県の「戦略的グリーンITパーク設立構想」です。
「総合特区」への提案にあたっては、
「総合特区での「データセンター特区」の提案状況について」で整理をしましたが、青森県は「国際総合特区」でその他の自治体は「地域総合特区」での提案となっています。
提案団体名 プロジェクト名 提案様式リンク
石狩市
グリーン・コミュニティ・スマートグリッド特区[1] [2]岩見沢市、、(株)はまなすインフォメーションなど
環境配慮型コンテナデータセンターによるグリーンIT地域特区 [1] [2]青森県、六ヶ所村、新むつ小川原株式会社
戦略的グリーンITパーク設立構想 [1] [2]福島県
地域多層型データセンター・総合特区 非公開茨城県 いばらきデータセンター 特区 非公開
宇都宮市、日本オラクル㈱、飛島建設㈱、㈱東芝
大規模地下空間を利用したクラウドパーク・プロジェクト [1] [2]山梨県大月市、慶応義塾大学SFC研究所、NTTコムウェア
大月地下空間クラウドデーターセンター・プロジェク [1][2]
「クラウド(データセンター)特区」の創設にかかわる内容は昨年9月に「データセンターの特区創設と国内立地推進について(まとめ)」で整理をしましたが、
「新成長戦略(6月18日) 」や「新IT戦略(5月11日)、総務省では、5月に公表した「原口ビジョンⅡ」、「スマート・クラウド研究会報告書」、「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」報告書、経済産業省では、5月に公表した「情報経済革新戦略」、そして8月に公表した「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」報告などでデータセンターの国内立地推進について、記載されています。
データセンターの国内立地推進については、昨年の11月に「「データセンターの国内立地環境整備」に関わる規制緩和の対応と各省庁の見解について」で紹介させていただきましたが、コンテナ型データセンターの設置にあたっては、建築基準法や消防法の規制緩和への対応も検討されており、規制緩和の通知は年度内が予定されています。
「総合特区」の提案の中で、データセンターの国内立地に関する特区創設が、どの程度のメリットがあり、どの程度評価され、どの程度の自治体が提案をし、選定されるのでしょうか。政府や自治体が、クラウドの国際競争が進む中で、どの程度政策的な支援を進めていくのか、その動向が注目されます。