総合特区での「データセンター特区」の提案状況について
政府は、クラウドコンピューティングの国際競争力の確保のため、データセンターの国内立地推進を進めています。政府が公表した多くの報告資料においても国内立地推進が明記されています。
新たな情報通信技術戦略【新IT戦略】 (平成22年5月11日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)においては、以下のとおりの内容が記載されています。
【重点施策】
国民利便性向上及びユーザー産業の高次化に資するクラウドコンピューティングサービスの競争力の確保のため、(中略)データセンターの国内立地の推進(中略)等の環境整備を集中的に実施する。【具体的取組】
特に、高効率なデータセンターの国内立地促進のため、特区制度の創設も視野にコンテナ型データセンターの設置に係る規制の緩和などを2010年度中に検討する。
また、以下の報告資料にもデータセンターの国内立地推進について記載されています。
【内閣府など】
- 新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)
【総務省】
- 原口ビジョンⅡ (平成22年5月6日総務省発表)
- スマート・クラウド研究会報告書(平成22年5月17日)
- クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会報告書(平成22年5月28日)
【経済産業省】
- 産業構造ビジョン2010(平成22年6月経済産業省公表)
- クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会報告書(平成22年8月16日)
データセンターの国内立地推進にあたっては、受け入れ先の地方公共団体の動きも積極的な動きが見られるようになっています。
内閣官房 地域活性化統合事務局では、「新成長戦略」(H22.6.18閣議決定)に基づき創設を予定している「総合特区制度」について、平成22年7月20日(火)から平成22年9月21日(火)まで、新たな提案(アイデア)の募集を実施いたしました。規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置等が適用されます(関連資料)。「総合特区」には延べ278団体より計450件の提案があり、特区への期待が伺えます。
参考ですが、「データセンターの特区創設と国内立地推進について(まとめ)」の中でこれまでの取り組みについてまとめています。
公表可とされた提案の中には、データセンター特区やクラウドコンピューティングに関する提案も目につきました。関連する提案をリスト化したものが以下のとおりです。
提案団体名 | プロジェクト名 | 提案様式リンク | |
北海道 | 環境配慮型データセンター特区 | [1] | [2] |
石狩市 | グリーン・コミュニティ・スマートグリッド特区 | [1] | [2] |
岩見沢市、、(株)はまなすインフォメーションなど | 環境配慮型コンテナデータセンターによるグリーンIT地域特区 | [1] | [2] |
青森県、六ヶ所村、新むつ小川原株式会社 | 戦略的グリーンITパーク設立構想 | [1] | [2] |
宮城県 | みやぎデータセンター立地推進特区 | [1] | [2] |
福島県 | 地域多層型データセンター・総合特区 | 非公開 | |
茨城県 | いばらきデータセンター 特区 | 非公開 | |
宇都宮市、日本オラクル㈱、飛島建設㈱、㈱東芝 | 大規模地下空間を利用したクラウドパーク・プロジェクト | [1] | [2] |
山梨県大月市、慶応義塾大学SFC研究所、NTTコムウェア | 大月地下空間クラウドデーターセンター・プロジェク | [1] | [2] |
岐阜県飛騨市 | 地底空間トラステッド・エコ・データセンター・プロジェクト | [1] | [2] |
北海道、石狩市、岩見沢市など、青森県、宮城県、福島県といったように北海道や東北地方の提案が目につきます。
読売新聞(2010.10.6)「「冷涼」「安い土地」、北海道でデータセンター誘致激化」という記事にも見られるように、北海道においてはデータセンターの誘致が激化していることが伺えます。
読売新聞(2010.10.21)の「クラウドの拠点誘致に本腰…青森」では、誘致に向けた調査費を300万円計上し、六ヶ所村のむつ小川原開発地区など電源立地を生かした地域の誘致を積極的に進めています。
また、三陸河北新報社(2010.10.7)の記事「データセンター誘致へ 石巻氏が乗り出す」においても特区申請や誘致に向けた取組みが紹介されています。
日本経済新聞(2010.11.1)の記事「日本ユニシスと関西電、福井・小浜にデータセンター新設」では、特区申請の確認はできていませんが、原子力発電所の電源立地を利用したデータセンターを2012年1月に稼動されることが明らかになっています。
特区創設は2011年の春以降になることが予想されますが、各地方でデータセンターの誘致合戦が活発化しており、今後の動向が注目されるところです。