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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウド戦略と国際競争力

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日経新聞(2010.11.1)の社説に「クラウドに潜む危うさを忘れるな」という記事が掲載されていました。クラウド・コンピューティングは企業の国際競争力を高める上で重要な手段であるとしながらも、情報を国外に預けることによる安全保障の問題や、どの業務を移行するかといったマイグレーションの課題について指摘されています。また、国内のクラウド基盤整備の事例として自治体のクラウド利用などによる国内クラウドサービス市場の拡大についても触れられています。最後に、欧米では大型データセンターの設置が進んでおり、日本も国際競争力を促すための入念なクラウド戦略が求められている点が指摘されています。

政府のクラウド戦略においては、「新IT戦略(5月11日公表)」や総務省の「スマート・クラウド研究会報告書(5月17日公表)」、そして、経済産業省の「クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会報告書(8月16日)などに、掲載されており、「新IT戦略の工程表(6月22日公表)」においても、クラウド・コンピューティングの競争力確保等で「データ利活用による新産業創出」、「データセンターの国内立地推進」、「関連技術の標準化等」の3つの項目で2014年までの取組みテーマが掲載されています。

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最近では、「インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話(2010.11.1)」や「APEC電気通信・情報産業大臣会合(2010.10.31)」などの国際的な会合においてもクラウド関連技術や利活用などが重要なテーマとなっています。

先日、クラウド関連の国際戦略委員会に出席し、日本のクラウドの海外展開について、様々な視点から議論をしました。

クラウド・コンピューティングの普及が進めば、企業ユーザは様々な恩恵を受けるかもしれません。しかしながら、産業全体の底上げや国際競争の視点で考えた場合は、データセンターの国内立地推進や、日本のクラウドの海外展開、標準化など、日本全体の取組みとして戦略的な対応も求められてきます。特にシンガポールは国家的政策として、クラウド戦略に力をいれています。

クラウド・コンピューティングの流れが日本の産業にとって果たしてプラスになるのか、企業ユーザの視点だけでなく、全体を俯瞰した視点と国家としてのクラウド戦略とその対応が益々重要となってきているのではないかと感じているところです。

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