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ガラパゴスのアキレス腱と脱・ガラパゴスの処方箋

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日経新聞の8月14日の記事に「ガラパゴスの希少種危うし」という記事が小さく書かれていました。英国の研究チームは、ガラパゴス諸島にいるイグアナなどの希少種が、絶滅する事態もあり得ると警告しています。その理由は、免疫のない亀、鳥などの動物が、観光客と共にやってくる蚊の媒介する病気によって感染が広まってしまう可能性を指摘しています。ガラパゴス諸島の急激な観光地化によって、蚊は着実に増えてきているようです。

外部と隔絶され独自の進化を遂げたガラパゴス諸島は、動物などは外部に対する免疫力がなく、また、天敵となるような大型の陸棲哺乳類も存在しません。このような諸島に、外部から何らかの脅威が進入した際、その環境にあわせて柔軟に変化をしていくことが果たしてできるのでしょうか。

日経コミュニケーション(2009.8.15)に「脱・ガラパゴスの処方箋」という特集記事が組まれていました。情報通信パーソンのキーパーソン20名が、日本が伸ばすべき長所と克服すべき短所をあげながら、日本企業や日本人が国際競争力を強化するためのヒントを提示されています。

指摘されている点を「世界的視野」に絞って少し整理をしてみたいと思います。

日本には、インターネットエコノミーの適応力が欠如
消費者第一主義や、グローバルな視点が欠けており、日本でいいものを作って世界に持っていくという発想は世界に受け入れられない。
   

通信と放送の融合の包括的な議論の必要性
政府の役割は、膨大な投資が必要なインフラの効率化に集中し、プラットフォームとコンテンツは市場に任せるべき。
       

NTTの研究開発のあり方
規制を受ける立場から早く脱却させるため、技術部門を分割し、各分野でより現実に密着した研究開発環境にすべき。
   

ICTの国際競争力を中国から学べ
中国では、ICT産業を最重要工業分野と位置づけている。日本は、政府金融を利用したベンダーズファイナンスで日本メーカや通信事業者が一体となって海外進出を復活させるべき。
       

情報通信の公正な競争環境を    
「電波オークション」や「NTT分割・完全民営化」をすべき。NTTグループ各社の活動を自由にすれば、メディアを超えた融合や海外進出にも柔軟に対応できる。

日本の国際競争力を高めていくためには、通信と放送を包括的に議論し、インフラ以外のレイヤは市場に委ね、海外市場進出には政府が支援をする。そしてNTT再々編議論が触れられています。

クラウドコンピューティングに代表されるようにICTの世界はグローバルに広がりを見せています。日本はブロードバンド先進国でありながらも、その他のレイヤにおいては苦戦を強いられています。

政党がどちらになるかは定かではありませんが、いずれにしても脱・ガラパゴスに向けた情報通信政策は今後はさらに重要なテーマとなるのではないかと考えています。

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