IT業界への就職と転職の意識の違い
昨年2月に、「2008年版就職人気企業ランキング --低迷するIT企業」で述べさせていただきましたが、学生のIT業界の不人気に歯止めがかかりません。そして、「「10年は泥のように働け」「無理です」――今年も学生と経営者が討論」のIPAのイベントの内容は、大きな反響を呼んだのは記憶に新しいところです。
先日、インフラコンサルティングの最前線の「ITプロレタリアートは多機能工化で生まれ変わる」を大変興味深く読ませていただきました。
「リアクティブ(受身)なITプロレタリアート」は、相変わらずIT業界に対する夢や希望を持てない状況を打破するために、製造業で生まれた「ITプロレタリアートの多機能工化」、つまり、アジャイル手法の活用によって、作業者の視野を広めることで創意工夫の余地を作る必要性を述べられています。
やはり、IT業界が各人の創意工夫や創造性を高めることのできる環境でなければ、業界として人気を回復は難しいでしょう。IT業界の中には、情報通信業界も含まれていると思いますが、以前、「就職するなら情報通信業界を薦める5つの理由」の中で業界の推奨できるポイントをいくつか述べさせていただきました。IT業界は技術の進歩が早いからこそ、新しいことに挑戦し、創意工夫をしていく能力が求められています。視野の狭い範囲だけで業務をしていれば、過酷な労働環境だけが先行し、ネガティブなイメージは払拭できないでしょう。
一方で転職希望者からはIT業界は人気が高いようです。「DODA転職人気ランキング2008」によると、技術・研究職では、グーグル(新卒100位圏外→2位)、マイクロソフト(同90位→6位)、楽天(同100位圏外→16位)、ヤフー(同100位圏外→19位)、アマゾン ジャパン(同100位圏外→46位)等の外資系のIT企業が上位を占めています。また、NTTデータ(11位)、日本IBM(26位)も上位に名前を連ねています。
学生が新卒でIT業界に入ることは、3K等の言われるようにネガティブなイメージをもっていますが、転職者にとっては、社会経験を積み、様々なITのトレンドに触れることによって、IT業界への転職は魅力的に感じるのかもしれません。もしくは、自分が今勤めているIT企業に嫌気がさし、外資系のIT企業への転職を希望していると考えることもできるかもしれません。
いずれにしても、IT業界への就職と転職のイメージはやや意識の違いがあるように見受けられます。その他の業界で自分の見識や創造性を高め、IT業界に転進するというスタイルはありかもしれませんね。