私が働いている丸の内はオフィス街で有名ですが、映画館をはじめ、コンサート会場や舞台を観ることができる劇場も多いです。有楽町マリオン、東京国際フォーラム、帝国劇場、ちょっと足を伸ばせば日比谷シャンテ、日生劇場もあります。平日の真っ昼間、丸の内で忙しく働くビジネスマンとお目当ての芸能人のファンとダフ屋がいる、とても不思議な光景をみることができます。

アイティメディアがある国際ビルと隣接している帝国劇場、今年は年明けからずーーーっと10~30代くらいの女子が足しげく通っています。お目当てはジャニーズ。あの!ジャニーズファンの子が毎日うちのビルの中や周辺をうろうろしています。

純粋に舞台を観に来ている人もいるのですが、観ていなさそうな人もいます。何をしているのか?

いわゆる「おっかけ」という行為です。もっと詳しく言うと、楽屋口やビルと地下鉄の出入口付近で、自分のお目当ての人のことを待つ「出待ち」「入り待ち」というヤツですね。雪が降ろうが、猛暑だろうが、何時間でも待ち続ける。やっとの思いで会えた時間はほんの何分、いや何秒かもしれない。地方から電車や飛行機に乗って、お金をかけてやってくる人もいる。そして、彼女たちの情報収集能力は、インターネットや携帯電話が当たり前のようになるよりもっと前から、口コミという情報網で感覚的かつ的確に伝わり、一部にはセキュリティもかけられています。

こんなスバラシイ情熱を持っている人を集めて会社を作ったら、ものすごいことができるんじゃないか? 世界がひっくり返るようなことが起こるかもしれない。以前、働いていた会社の上司に「おっかけの極意」を話したとき、そんなことを言われました(笑)。

しかし、現実にはそのような話を聞いたことはありません。何故でしょう? 答えは簡単、みんなライバルだから(笑)。みんな敵なんですもん、仲良く協力して何かを成し遂げることができるわけがない。利害関係だけで結びついたネットワークは、ふとしたきっかけであっという間に崩れていくのです。

人は情熱があればどんな困難も乗り越えられえると思います。しかしその情熱は仕事とは違う方向を向いていることの方が多いかもしれません。それにしてもものすごい情熱です。人ごとのような私も、実は経験者(注:ジャニーズでもヨン様ではない……)なので、彼女たちの気持ちが手に取るようにわかります。

仕事に情熱が注げなくても、その情熱を集めると1カ月分の電力になるとか地球にやさしい何かになるとか、誰か発明してくれたらノーベル賞ものかもしれない(おおげさかな)。

小島 貴香子

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