「嫌いな仕事」でも、実は結構大事
スティーブ・ジョブス曰く、
「いま死んでも後悔しない生き方をしてるか?」
これは至言ですね。
ただこれは、「今の仕事がもし嫌いだったらすぐに辞めよう」ということではないと思うのですよね。
「嫌い」というのは自分自身の一時的な感情です。
「自分自身の一時的な感情である」ということは、「自分の視点がちょっと変わるだけで、自分の周りの風景は一変して見える」ということでもあります。
たとえば、あれほど「嫌だ」と思っていた自分の職場が、実は自分にとって未知の体験や可能性に満ちている環境だと分かったり、逆にユートピアに見えていた隣の職場が、実は嫌だと思っていた自分の職場と大差ない問題を抱えていることにあとで気がついたり。
あるいは「嫌い」と思っていたのは自分ができていないことを正当化する理由であることもありますし、あるいは自分が気がつかない(あるいは気がつきたくない)自分のエゴの裏返しだったりすることも、多いように思います。
また自分のささやかな経験をふり返ってみると、「あの時、自分は成長したなぁ」と思えるのは、決して順風満帆の時ではありませんでした。(不思議なことに順風満帆の時は人はあまり成長しないのですよね)
むしろ「あの時は成長したなぁ」と思えるのは、仕事でものすごく苦労したり、人間関係の修羅場や困難を経験した時です。こういう時は本当に辛いですね。「なんでこんな思いをしなければいけないんだ?もうこんな仕事は嫌だから、全部辞めてやる」と本気で思ったことも数知れずです。
しかしそのような経験をくぐり抜けることで、自分の成長や仲間と分かち合う喜びも得られますし、他人の心も以前よりは少しは理解出来るようになったように思います。(今、ふり返るから言えるのですけど)
「今死んでも後悔しない生き方をしているか?」というジョブスの言葉を、「だから今の仕事がもし嫌いだったらすぐ辞めよう」と解釈するのは、せっかくの自分の成長のチャンスを放棄している可能性が大きい訳で、ちょっともったいないように感じます。