人間の手を超えるロボットハンド:シンガポール発のSharpa社が切り拓く次世代ロボティクス
ヒューマノイドロボットの開発において、最も難しい課題の一つが「手」の再現です。人間の手は20以上の自由度を持ち、複雑な動作を可能にしています。この精巧な構造をロボットで再現することは非常に困難であり、長年にわたり多くの研究が行われてきました 。
しかし、2025年のICRA(2025 IEEE International Conference on Robotics & Automation、国際ロボティクス・オートメーション会議、米国アトランタ開催)で、シンガポールのロボティクス企業Sharpa社が発表した「SharpaWave」は、この課題を克服し、ロボットハンド技術に革命をもたらす存在として注目を集めています 。(ちなみにこの国際会議に多数の中国のヒューマノイド企業が出展している様子があるのは印象的です。そこに本投稿のシンガポール企業も加わっています。)
SharpaWaveの技術的特長
1. 22自由度の高精度な動作制御
SharpaWaveは、各関節に高トルク・高精度なアクチュエータを内蔵し、合計22の自由度を実現しています。これにより、ピアノを弾く、ハサミを使って紙を切るなどの微細な動作も正確に再現可能です。
2. 高解像度な触覚センサー
各指先に1,000ピクセル以上の触覚センサーアレイが搭載され、0.005Nという極微小な圧力変化まで検知可能です。これにより、ガラスのような滑りやすい物体や、スポンジのような柔らかい物体に対しても、力加減を自動調整して最適な把持ができます。
3. パワーとスピードの両立
SharpaWaveは、各指先で20N以上の出力を持ち、1秒間に4回以上の開閉動作が可能です。力強く握ることも、高速で繰り返し作業することも可能で、製造ラインやサービスロボットの現場にも即応します。
4. AIによる自律的な適応制御
内蔵されたAIモデルにより、触覚情報や画像認識結果に応じて、リアルタイムにグリップの方法を調整します。「持ち方を自分で学ぶロボットハンド」として、未知の物体にも柔軟に対応します。
シンガポール発の驚き
このような高い技術を持った企業が、シンガポールに存在していることは驚きです。Sharpa社は、社員数50〜200人規模のエンジニアリング集団であり、「汎用ロボットのための世界最高峰の手をつくる」ことを掲げています 。
シンガポールは、スマート国家を目指し、ロボット活用にも積極的です。自国企業のロボットだけでなく、日本企業とも提携し、積極的に導入を進め、活用方法を開拓しています 。ビジネス+IT
まとめ
SharpaWaveは、単なる「ロボットの手」ではなく、「人間の手を超える知性と感覚を持つ人工構造」として、ロボティクスの未来を指し示しています。今後、医療分野や精密製造、サービスロボットなど、さまざまな分野での導入が期待されます。シンガポール発のSharpa社のような企業が、世界のロボティクス分野で注目される時代が到来しています。
Sharpa社の公式サイトやデモ動画など、詳細情報は以下のリンクからご覧いただけます。
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Sharpa社 公式サイト: https://www.sharpa.com
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デモ動画: YouTube (0:42〜1:37)