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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

読後メモ:「富裕層はなぜYUCASEE(ゆかし)に入るのか?」

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「富裕層はなぜYUCASEE(ゆかし)に入るのか?」
高岡壮一郎/幻冬舎

著者の高岡壮一郎氏は富裕層向けのSNS「YUCASEE」を運営するアブラハム・グループ・ホールディングスの代表取締役。

著者が本書で伝えようとしているメッセージは、「富裕層が日本をリードすることによって、日本の経済はもっとよくなる」ということに尽きます。

富の創造はゼロサムゲームではないので、本人およびその人が所属する企業が大きな利潤を得るだけでなく、その周囲でも様々な消費が発生し、雇用が生まれる可能性があります。現在の日本では経済の成長エンジンがなかなか見つけにくいなかで、富裕層を成長セクターとして捉えて、その成長を阻害する要因を取り除いていくべきではないか、と高岡氏は考えています。鄧小平が主張した先富論と発想は同じですね。私も同意です。

-Quote-
 日本全体の純金融資産は1500兆円、その20%は上位1%程度の純金融資産1億円以上の富裕層が有しています。日本の富裕層は年間5.1%の増加を見せ、日本の人口増加率は当然のこととして、世界全体の人口増加率をも上回っています。さらに年間所得が2000万円以上の人が過去15年間で倍増、この層の消費総額が5年前の3割増である10兆円規模に急拡大しているのです。
 中略
 ニューヨーク市の所得上位1%の層で、サービス業に従事する1万5300人の雇用が支えられています。富裕層のおかげで家事スタッフ・運転手・その他サービス業の人が家計を支えられているわけです。アメリカでは所得上位20%の層が消費全体の70%を占めていたというシティバンクの調査結果もあり、原油価格が高騰したにもかかわらず、米国内の国内消費が減速しなかったのは、国内富裕層による消費が米国経済を支えていたからであるという見解も出されています。
-Unquote-

日本は歴史的文化的に富裕についての理解が冷淡であり、世代が上の富裕層の人たちの間では「自分が富裕であることをできるだけ隠す」というポリシーを貫いている人も少なくないと、別な本で読んだことがあります。本書でもそうした”居心地のよくない”環境についての記述があります。

また、ここ数年富裕層を対象にしたサービスや商品が続々と開発されていますが、ほんとうに彼らの心を捉えるものはなかなかないという指摘もあります。

-Quote-
 「欲しいものがわからない」
 資産を有する人の中には、お金の使い方がわからないという人が少なくありません。
 中略
 多くの企業が今、富裕層に向けたビジネスを次々と開発しています。富裕層向けのサービスを始める金融機関は数え切れませんし、ホテルや百貨店も富裕層をターゲットに絞った高価格商品部門を強化しています。それにもかかわらず、お金の使い道で悩む富裕層が多いということは、これらのサービスが彼らの心を掴んでいないということになります。
 このミスマッチの原因は様々ですが、情報を提供する企業側が、富裕層の心理が理解できていないのが大きな原因と考えられます。
-Unquote-

社会の側、行政の側、企業の側にある誤解を解く素材として、本書の中には、YUCASEE会員による富裕層の生の声がたくさん収録されています。他の富裕層マーケティング本を1冊も読んだことがない方は、まずこの本で基本的な理解を形作るとよいと思います。

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