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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

大人になっても中年になっても、おそらく学校での教育の呪縛から自由になれないはなぜだろう?

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新入社員研修の季節になりましたね。あと3週間もすると、26卒新入社員やってきます。

少子化+人手不足の昨今、新入社員は、昔の言葉で言えば、まさに「金の卵」です。

新入社員研修は、どの企業も手厚く、導入の集合研修だけでなく、OJTトレーナーを約1年伴走させるOJT制度、さらには、別部署の先輩を1対1でアサインするメンター制度など、新入社員の成長支援は、この20年くらいでどんどん充実してきました。

あ、で今日はその話じゃなくて、ですね。

新入社員研修での新入社員たちのことです。

ルールに忠実。規範から逸脱しない。

新しい組織での新規参入者なので、当然、空気を読むわけですけれど、それが、本当にもうまさに「お行儀良すぎる!」という感じなのが常のことです。

なので、最初にその「逸脱しない」面を見越して、いろいろと「許可」を出していく必要があります。

指示待ちとよく言いますけど、私からすれば、許可待ちです。
ダメ、と言われたら、しない。
よい、と言われたら、する。
何も言われていないことは、わからないので、安全策として、しない。

そんな印象です。

こちらも細かく配慮していられないので、というか、自律してほしいので、
最初に「許可」を出してしまいます。

たとえば、
●机と椅子の位置や確度に違和感があったら、講師などに断らず、動かしてよい
●この教室の中の主人公は皆さん新入社員なので、こうしたほうがより学べると思う何かがあれば、不満や不安に思うだけにとどめず、意見を伝える、提案をする、同期同士で話し合って決める、決める自信がなければ、「こうしたいが、よいか?」と人事や講師に尋ねる
●自分が一番心地よく楽しく学べ、さらに、他者の学習にも役立つことは何かを常に、自分ごとで考えて動いてください
みたいなことです。

こういう風にグランドルール的に「許可」を伝えないと、とても居心地が悪いのに、そのまま1日我慢して、夕方書く「日報」に、「今日は、スクリーンが見えづらい席だったので、首が痛くなりました」などと書いてあったりするんですね。

それ、誰も幸せにならない。首は痛くない方がいいし、首が痛いと思った瞬間にどうしたら痛くならないかを考えたほうがいいし、それを講師や人事に気づいてくれと思っていても何も解決しないし、仕事場だって、自分がこうしたい、こう思っているを伝えられなければ、誰も助けてくれないし。

というわけで、新入社員研修でも最初に「やっていいこと」をある程度伝えておくのです。

多くの人事の方は、「禁止事項」を伝えがち、そして、「すべき事項」も伝えがちです。

前者は、
●遅刻禁止
●居眠り禁止
●教室での飲食禁止
など。

後者は、
●元気に大きな声であいさつしましょう
●時間内に提出物を出しましょう
●会社名を背負っているという自覚を今日から持ちましょう
みたいな。

でも、なんかそういう細かいこと以上に、「自分たちが心地よく学習できるようにするためにどうしたらよいかは、自分たちで考えよう」という大きな許可、つまり、禁止してないことは、なんでもいったんは考えて、提案してよい、といったことを伝えたほうがよいなと思うのです。

なぜ新入社員は、そうやって、許可待ちになってしまうのか。

新参者である緊張感もある。でも、学校教育を受けてきた中で培われた行動様式がいつまでも影響してしまうのだろうと想像しています。

そして、こういうの、新入社員に限らず、中高年になってもありまして、
たとえば、こんなことを経験したことがあります。


15年以上前の話。
同僚の講師が、受講者アンケートを見せてくれて、そこに、こんなコメントがありました。

「付箋紙は、別の色も配ってくれるとよかった」

付箋紙は、たいてい4色を教室に置いてあり、おそらく、この時、講師は、単色だけを受講者の机に配布したのだと思います。他の色のものが置いてあることは、どなたにでも視界に入る場所にあるのでご存じのはず。

ですが、研修の最後のアンケートに「他の色も配ってほしかった」。

ここに書いてあっても、もう研修は終わっており、講師もどうにもならないわけです。
ご自身も多色使いで付箋紙で何かなさりたかったのでしょうが、それが実現しないまま研修は終了している。

30代40代の受講者でも、「付箋紙、他の色を使ってもよいか?」「これを配っても構わないか?」といったことをおっしゃらない。

講師が「何をしてもよいし、何を聴いてもよいんですよ。だって、ここは皆さんが学ぶ場ですし、その学びはできるだけ効率よく効果的で楽しいものであってほしいから」といったことを最初にしっかり伝えておくことがやはり必要なのです。

何歳になっても、そういう過去に身についた規範から自由になるのって難しいのです。ちなみに、この付箋紙の指摘を受けた研修のタイトルは、「問題解決」でした。

「研修あるある」を今をときめく安斎勇樹さんと対談してみました。

さすが安斎さんの視点、工夫がオモシロイ。すべてやってみる勇気は私にもないのですが、一部はさっそく今週から取り入れてみるぞ!と思った次第です。
ぜひ以下の放送も聴いてみてください。
(後編についてはまた後日解説します)

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