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CMOのAIリテラシー不足が招く2027年の危機

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米Gartnerは2026年2月23日、企業のマーケティング責任者(CMO)におけるAIリテラシーの不足を指摘する調査結果を発表しました。

Gartner Survey Reveals CMO "AI Blind Spot" as 65% Expect Role Disruption, Yet Only 32% Say Significant Skill Changes Are Needed

北米および欧州の402人を対象とした調査によると、65%が今後2年間で自身の役割が大きく変わると予想する一方で、スキルの大幅な更新が必要だと考える割合は32%にとどまる状況です。AIが企業の成長戦略に不可欠となる中、リーダー自身のスキル更新が追いついていない課題が浮き彫りになっています。経営課題としてAIリテラシーの向上が求められています。

今回は、AI活用の現状、リーダーシップの欠如による組織への影響や必要なスキルの再定義、そして、今後の展望について取り上げたいと思います。

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AIリテラシーと役割認識の乖離

Gartnerの調査によると、マーケティング部門のトップの多くが、AI技術の進展による業務の変化を予測しています。65%の責任者が今後2年間で役割が大きく変わると認識しています。一方で、自身のスキルセットに大幅な変更が必要だと回答した割合は32%にとどまっています。

この結果は、環境の変化を予測しつつも、自身の変革の必要性を認識していないという乖離を示しています。新しい技術がもたらす影響を理解することと、それを主導するための能力を獲得することの間には、大きな隔たりがあると考えられます。技術の進化に対して、リーダー自身の適応が遅れている状況です。

効率化ツールからの脱却と成長戦略への統合

多くの企業でAIの導入は、コンテンツ生成やデータ分析、業務の自動化など、日々の運用業務から始まっています。こうした導入の経緯から、AIを業務を効率化するためのツールとして捉える視点が固定化されやすい傾向にあります。その結果、新しい技術の管理や運用が現場の担当者やIT部門、あるいは外部の代理店に委ねられることになります。

AIを企業の成長戦略や意思決定プロセス、実験的な取り組みに直結させる能力として高める機会が失われることになります。効率性を高める段階から、事業の成長を牽引する能力へとAIの役割を引き上げることが求められています。

現場への丸投げがもたらす組織的摩擦

新しい技術の活用を現場に任せたまま、管理側が静観する姿勢は、組織内にさまざまな摩擦を生じさせます。現場は具体的な成果を求められる一方で、全体の戦略との整合性を担保する指針が不足することになります。AIの出力結果の妥当性やリスク管理の基準が不明確なまま運用が進むことで、意図しない問題が発生する可能性が高まります。外部の代理店に対しても、ガバナンスの確保や具体的な価値の提供に対する責任を明確に設定することが困難になります。

組織全体の方向性を一致させ、効果的な運用体制を構築するためには、責任者が自ら運用の方針を示すことが重要となります。

AIリテラシーの欠如と企業統治の課題

AIリテラシーの不足は、個人の能力不足にとどまらず、組織全体の課題として認識されるようになります。Gartnerは、2027年までにAIリテラシーの欠如が大企業におけるマーケティング責任者交代の主要な理由の上位3つに入ると予測しています。このことは、AIを適切に活用し管理する能力が、取締役会レベルで求められる必須の要件になることを示しています。

影響力の高い活用事例を優先し、技術の限界を理解し、出力の検証を組織の仕組みとして定着させることが期待されます。環境の変化に対応し、組織を牽引するためには、リーダー自身の継続的な学習と能力開発が不可欠となります。

今後の展望

今後のマーケティング領域において、AIの役割は顧客との接点を最適化する段階から、新たな顧客体験を創出し、ブランド価値を構築する中核的な能力へと移行すると想定されます。マーケティング部門の責任者には、膨大なデータから顧客の潜在的なニーズを抽出し、精緻に個別化された施策を展開する力が求められています。AIによる高度な市場予測とクリエイティブの検証を組織の仕組みとして定着させることで、持続的な成長を牽引する次世代のマーケティング戦略の実現が期待されます。

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