政府はクラウドコンピューティングをどのように考えているのでしょうか?
クラウドコンピューティングというキーワードが注目されていますが、政府はこのクラウドの流れをどのように解釈し、政策へと展開しようとしているのでしょうか? 私が把握する限りの情報を少し整理してみたいと思います。
まず、経済産業省ですが、2008年9月9日に発表した「新経済成長戦略」の改訂の中で、、「グリーン・クラウドコンピューティング」の技術開発や実用化に取り組むことを明らかにしています。2008年12月14日の「データセンター協会」設立の発表の中においても、データセンター事業への消費電力急増への対応として「グリーン・クラウドコンピューティング・プロジェクト」を推進していることを紹介しています。経済産業省はグリーンとデータセンターとクラウドをうまく組み合わせながら産業育成を推進していこうと動きが読み取れます。特にオバマ政権がグリーン・ニューディール政策を掲げていますので、この流れはさらに加速していくことでしょう。
総務省についてはどうでしょうか。2008年11月11日には、 「ICTビジョン懇談会」における検討アジェンダ(案)」に対する意見募集を行っています。その中で、クラウドコンピューティングにより、「規模の経済」(スケールメリット)が働く傾向が強まっており、海外に情報が流れてしまう点を指摘しています。また、2008年12月4日に開催されたICTビジョン懇談会 基本戦略WG(第2回)でもクラウドコンピューティングについてテーマがあがり、グローバルレベルで、地方も含めたところで解決に資するという意味で、クラウドコンピューティングは新規産業に対してマーケットへの参入障壁を下げるという意見が出ています。
それから、IT戦略本部(第49回)では、2008年12月19日、「デジタル新時代に向けた新戦略の策定について ~全治3年の経済危機からの脱却~」を公表されていますが、世界的な金融危機に伴う日本経済の失速、そして、クラウドコンピューティングといった革命的新技術の登場など3年前のIT戦略策定時には想定していたなかった状況が出てきており、早急に政策の見直しを図らなければならない点を指摘しています。
いずれにしても国際競争の観点から見ると、この潮流は、日本にとっては、あまり有利ではない状況下にあると考えているのではないかと思われますが、どのような方向に進んでいくのでしょうか。