次世代の鍵を握るのは端末メーカー!?
先日の東芝の「HD DVD」撤退は大きなニュースとなりました。ソニー等が推進する「ブルーレイ・ディスク(BD)」の勝利となるのですが、消費者に浸透できるかがこれからの本当の勝負でしょう。
今回、東芝が「HD DVD」を余儀なくされたのは、ソフトの著作権を握る米映画大手ワーナー・ブラザーズが「HD DVD」陣営から離脱を発表したことがきっかけで大きく流れが変化しました。メーカー側でいくら最先端の技術開発ができたとしても、コンテンツを提供する側やウォルマート等の店舗(チャネル)側が味方につかなければ新しい市場で勝者になることは困難だということが改めてわかりました。
「HD
DVD」と「ブルーレイ・ディスク(BD)」の規格争いはメーカーの単純な争いだけでなく、端末レイヤからコンテンツレイヤまでレイヤを越え、さらに販売チャネルまで含めた競争だったということは非常に興味深い動きだったと言えるでしょう。
一方、ICT全般に関する動きはどうでしょうか? 総務省は情報通信技術(ICT)の国際標準化および知的財産戦略を抜本的に改革する方針を打ち出しました。通信はNTT、放送はNHKなど通信・放送事業者が先導していた標準化・知財活動をメーカー主導型へと転換させるようです(関連記事)。
また、2008年に大きな進化が予想される携帯電話は、現在様々な端末とOSそしてミドルウエアが存在しています。特にiPhoneやAndroid(アンドロイド)等の登場でマーケットが大きく変化し、共通プラットフォームや共通端末化の動きが加速化することが予想されます。そして、今後東芝の撤退のように、携帯電話の市場においても規格争いに負けて市場から撤退を余儀なくされる端末メーカーやプラットフォーム事業者そして携帯キャリア等が出てくることも予想されます。
これまで携帯電話は携帯キャリアから発表されるサービスが一番の注目でしたが、端末メーカーが共通プラットフォームを搭載し提供する形態、つまり、端末メーカーの規格争いが、今回の次世代DVDの争いと同様にグローバル規模で激化していくのではないかと感じています。次世代の鍵を握るのは、端末メーカーなのかもしれません。次世代DVDで日本企業が争ったように、携帯端末においても将来は、再度グローバル市場に足を踏み込み、是非グローバルな市場の中で日本のメーカーが主導し存在感を出していってほしいものです。