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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【地方自治体職員向け】SNSでの誤情報拡散のリスクマネジメント:ChatGPT 5(有料版)の使い方

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今朝のTBSの朝ニュース番組で福岡県朝倉市の郊外で建設中のマンションに関して、SNSで誤情報が拡散し、朝倉市役所職員が膨大なクレーム・メールの対応に追われているという報道を見ました。また福岡県庁もこの誤情報に関して記者会見を開き、報道各社に釈明しました。

地方自治体においては、現場にいる職員の方がこのようなSNSに急速に拡散する【誤情報】によって不必要に振り回される事案が今後とも多数発生することが予想されます。ことは「戦時に準じた『準戦時』だ」と思って差し支えないと思います。アサヒグループにおけるランサムウェア被害と同じです。

第1章 『アサヒ事件が映した"依存構造の崩壊"』- アサヒグループHD ランサムウェア被害の概要

戦時においては状況を正確に知るための情報収集と分析がまず必要となります。状況が把握できていれば、次に打つべき方策が見えてきます。日本軍の場合は「参謀」と呼んでいました。英米はIntelligence(諜報)と呼んでいました。軍におけるインテリジェンスと全く同じものが、現在は、平時でも求められるようになっています。また、いざ事案が発生した場合は、危機対応のインテリジェンスが求められます。

この用途で最大の効果を発揮するのが、現在のバージョンアップを重ねたLLM、世界で最も普及しているChatGPT 5です。

以下はChatGPT 5をどう使えば、【誤情報】が猛威を奮っている中で、誰が発信源になり、どう誤情報が拡散しているかをいち早く知るための方法です。

ChatGPT 5に入力すべきプロンプト

必ず有料版のDeep Researchモードで行って下さい。そうでないと情報収集と分析の性能が出ません。

この記事にあるように、福岡県朝倉市にあるマンション建設に関する「誤情報」がSNSで拡散し、朝倉市や福岡県が困惑しています。

「2万人の中国人が移住」と誤情報拡散 マンション計画で福岡県が異例の打ち消し会見

https://www.sankei.com/article/20250926-JONC4VQL2FO2BFJ2CIVEKQMJ2M/

この記事が報じている事案について、あなたのSNSの知識をフル動員して、世界最高のSNS誤情報のプロフェッショナルとして実態解明をして下さい。

ChatGPT 5(有料版)が生成したレポート

X(旧Twitter)での拡散状況

9月中旬以降、Twitter上で「朝倉市に中国人向けマンションが建設され○棟で2,000人/2万人が移住する」という投稿が相次ぎ拡散しました。たとえば、タレントのフィフィ氏は9月17日に「中国資本が取得...6棟・2,000人規模の中国人永住マンション建設中」と投稿ameblo.jpしました。同日には保守系の森けんたろう氏も「中国による人口侵略!14階2棟705人から始まり、将来6棟・約2,000人に」と発言ameblo.jp。同様に小坂英二氏(元荒川区議)が「約2,000人超の大型マンション計画」と投稿ameblo.jp、他にも「県が認定したらしい」などとデマを煽る投稿が見られましたameblo.jp。これらは右派系の発信者によるもので、フィフィ氏はXで80万人超のフォロワーを持つ著名人です(他の投稿者も数千~数万規模のフォロワーがいたと見られます)。リツイートやスクリーンショット共有で情報は急速に拡散し、9月下旬までに全国から注目を集めました。

Twitter上の投稿を受け、地元メディアは造成予定地を「田園地帯」にあると報じ、サブタイトルに「誤った情報が広がっている」と表示しましたfnn.jp。SNS上では「朝倉市に現在マンションができており、数十年後には1000棟のマンションを作り2万人の中国人を移住させる」といった根拠なきデマが拡散していたことが確認されていますfnn.jp。これらの投稿はX上でリツイートや引用リツイートされ、さらにはTikTok等に引用されたり、Amebaブログやnote記事でまとめられたりして広まっていきましたameblo.jpameblo.jp

Xでのユーザー反応

Twitter上の反応は分かれました。地元住民を含む一部は懸念を示し、「(中国語しか話せず)トラブル時に対応できない」「できれば計画自体がなくなってほしい」と不安を口にしましたnewsdig.tbs.co.jp。一方で「別にいい、許可が下りればいい」など冷静派も少数いましたnewsdig.tbs.co.jp。また投稿には明確な差別的表現も含まれ、@moriken0119氏のツイートでは「中国による人口侵略!」という言葉が使われるなど排外的な煽りも見られましたameblo.jp。その結果、無関係の建設会社には「工事が進んでいる」と勘違いした人々が連日不法侵入する事態に発展し、同社社長は「計画とは全く無関係で本当に迷惑している」と語っていますfnn.jp。一方、ツイッター利用者の中には「市役所に電話で確認したところ建築申請は出されていなかった」と事実を探る動きもみられましたameblo.jp

TikTokでの拡散状況

TikTok上でも同様の情報が動画形式で拡散されていたことが報告されています。例えばInstagramに投稿されたリール動画では、TikTokユーザー(@massagebodyy)が「1000棟、2万人」という文字を含む動画を紹介していました(当該投稿は確認できず引用不可)。しかし、公的な報道・検証記事では具体的なTikTok動画の内容や投稿者までは言及されていませんでした。従って、TikTokでどのような動画がどれほど再生されたかの詳細は確認できませんでしたが、検索可能な情報源では明確な言及は見当たりませんでした。

ブログサイト(note、Ameba等)での動き

Amebaブログやnote上にもこの話題を扱った記事が投稿されました。たとえばAmeblo投稿ではフィフィ氏らのツイートが引用され「移民反対!」を訴えるタイトルで掲載されameblo.jpameblo.jp、大手保守系ネットメディア「蛮新聞」(ANKAKU名義)でも内容をまとめて報じられています。 note記事では「2000人規模の計画」と事実を示しつつも、反移民的な論調で危機感を煽る内容となっておりnote.comnote.com、SNS拡散の様子も詳述しています。これらブログ記事にも賛同コメントや署名呼びかけが多く寄せられ、インフルエンサーが案内する署名サイトへのリンクもSNS上で共有されましたameblo.jp

公式発表・ファクトチェック状況

朝倉市や福岡県はすぐに事態を重く見て対応しました。9月22日、福岡県は記者会見を開き「朝倉市のマンション計画について現時点で開発許可申請の受理も許可もしていない」と明言し、「県知事が許可した」という誤情報を否定しましたpref.fukuoka.lg.jpfnn.jp。公式リリースでも「『県知事が許可した』などといった事実と異なる書き込みがインターネット上やSNSにされています」と明記しpref.fukuoka.lg.jp、デマ拡散を強く否定しています。朝倉市にもSNS拡散を受けて電話やメールで抗議が約100件寄せられていたことが報告されnews.tnc.co.jpfnn.jp、県は「許可した事実はございません」と周知しました。これら公式情報は地元メディアでも大きく取り上げられ、福岡県の異例の会見が注目を集めていますnews.tnc.co.jppref.fukuoka.lg.jp。一方でネット上では既に5万件超の署名が集まり(賛否は不明)、依然として注目は続いていますnote.comnote.com

まとめ:時系列と拡散経路

  • 9月17日 - Xでフィフィ氏らが「6棟・2,000人規模の中国人向けマンション計画」を投稿ameblo.jpameblo.jp。反移民系ユーザーが相次ぎ同様のツイートを発信。

  • 9月18-20日 - 他の保守系投稿者やブロガーが同話題を拡散(小坂英二氏による抗議ツイート、note/Amebaでのまとめ記事など)。

  • 9月22日 - 福岡県が記者会見でデマを否定(「許可した事実はない」と公式発表)pref.fukuoka.lg.jpfnn.jp。朝倉市にも苦情約100件が寄せられる。

  • 9月下旬 - マスコミが連日報道。反対署名が5万3,797筆に達したと報じられるnote.comnote.com。県と朝倉市が引き続き「計画は未認可」と説明。

  • 10月上旬 - RKBやFNNなど複数メディアで特集。誤情報拡散の実態と公式見解が広く周知される。

以上のように、Twitter発の情報がTikTok動画やブログにも飛び火して拡散し、結果的に県が公式会見で否定する事態にまで発展しましたfnn.jpfnn.jp。各SNS上では賛否両論や混乱の声が上がり、一部で差別的な表現も見られましたが、公式・自治体によるファクトチェックで次第に誤情報の是正が図られていますnews.tnc.co.jppref.fukuoka.lg.jp

参考資料: ニュース報道およびブログ記事news.tnc.co.jppref.fukuoka.lg.jpfnn.jpfnn.jpameblo.jpameblo.jpnewsdig.tbs.co.jpfnn.jpなど。


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1.イントロダクション

 ・海外市場調査における生成AI 活用の可能性

 ・無料版ChatGPT・Gemini の特徴と制約

2.ユースケース別の活用法

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 ・現地語による情報収集と翻訳要約(台湾華語によるTSMC 給与水準)

 ・M&A 候補企業の探索(ドイツのロボティクス企業買収候補)

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3.まとめと留意点

 ・情報の信頼性・出典確認の重要性

 ・無料版AI でできること/できないこと

 ・実務への応用と今後の展望

4.質疑応答


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