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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[メモ] スマートグリッドの”蓄電池”になりうる揚水発電

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揚水発電については、みなさんご存じだと思います。
高い貯水池と低い貯水池を持ち、電力需要が少なくなった夜間の電力を使って、低い貯水池からポンプで水を汲み上げて高い貯水池に送り、電力需要が逼迫した午後などに高い貯水池から水を落として水力発電を行う。これが一種の「蓄電池」として機能するわけですね。

スマートグリッドの関連で蓄電池が語られる場合には、NAS電池やリチウムイオン電池が必ず取り上げられるわけですが、系統に接続して相応の役割を果たすという意味では、揚水発電もまた蓄電池であるわけで、それを忘れてはいけないと思います。むしろ、蓄電できる容量がNAS電池やリチウムイオン電池よりもはるかに大きいという意味で、「スマートグリッドにおける蓄電池」として積極的に考えてもよいのではないかと思われます。

日本では、この揚水発電に欠かせない「揚水発電システム」の技術において、世界の先端にあると言われています。従来の揚水機器は、一定の速度でしか揚水できず、それがために、夜間等の揚水時において電力の調整ができないということがありました。言い換えれば、夜間等の揚水時に電力需要の急変等がある場合に備えて、俊敏に応答できる火力発電を用意しておくことが不可欠だったということです。

これが、東芝等が先端技術を用いた可変速揚水発電システムを開発したことで状況が大きく変化しました。可変速揚水発電システムでは、揚水中に電力需要に応じて揚水速度を変化させることができます。すなわち、揚水時の電力の負荷を変化させられるので、電力調整機能として使えるということになります。結果として、火力を電力調整用に待機させておく必要がなくなり、費用対効果やCO2削減効率が高まります。

これがより大きな意味を持つのは、再生可能エネルギー電源が大量に系統に接続されたスマートグリッドにおいてです。再生可能エネルギーは、太陽光にしても風力にしても、自然界の動きに応じて発電量がふらつきます。太陽光ないし風力が大規模に系統に接続された暁には、それらの大きなふらつきを吸収できる大容量の追従可能な電源が必要なわけですが、その役割を可変速揚水発電が担える可能性があるということです。同じ機能を火力で実現することもできますが、コストと二酸化炭素排出量の点で揚水発電が勝ります。また、同じ機能を次世代の電池で担うこともできるのでしょうが、コストが非常に高くつく可能性があります。

現実問題としては、日本では、新規の揚水発電を新設することができる立地は、おそらくはないようですから、可変速揚水発電を行うとしても、やり方を考える必要があります。
そこで大きな意味を持つのが、現在ある揚水発電所において、従来の機器を可変速揚水発電ができる機器にリプレースするというやり方です。

実のところ、東京電力などの日本の電力会社は現在これに着手しているという報道が、先日の日経にありました。系統に接続される再生可能エネルギー電源の容量が多くなるにつれて、その存在感が高まるものと思われます。

また、海外において同様の再生可能エネルギー電源のふらつきを吸収するニーズが高まった際には、日本のメーカーによる可変速揚水発電システムが大きく評価される可能性もあります。

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