機械と人間の未来(9)学習するマシン
調査会社の米ガートナーは、「Gartner Predicts 2014(2013.11)」において、
2017年までに、コンピュータの10%は情報を処理するだけでなく、学習するマシンになる
今のマシンは人間から渡されたパターンを認識し、それを速く処理することを目的としている。近い将来、マシンが自ら考えることができるようになる。例えば、人間が見逃していたような領域を、膨大なデータを基に診断できるようになる。医療分野なら、医師が見逃していた疾患の可能性を、マシンが見つけるようになる可能性がある。学習するマシンが、企業や業界を活性化する糸口を提供する。
と予測しています。
2014年3月には、将棋のプロ棋士5人と5つのコンピュータ将棋ソフトが対決する団体戦『第3回将棋電王戦』が開催されました。最終結果はプロ棋士側の1勝4敗と、大きく負け越しています。
日本将棋連盟 谷川会長は、「人間は、先入観や経験則に左右されやすい」とコメントされているように、コンピュータ側が大量データに基づく判断が、勝敗を大きく左右していると言えるでしょう。
コンピュータによる東大合格を目指す取り組みも始まっています。国立情報学研究所が中心となり、2016年度までに大学入試センター試験で高得点を取り、2021年度には東京大学の入試に突破することを目標にした人工知能「東ロボくん」の研究活動を進めています。
出所:Todai Robot Project http://21robot.org/
実際のセンター模試の結果は、900点満点中387点で偏差値 が45とまだ平均点以下ではありますが、東大プレテストでは、文系数学 が偏差値60と高い結果となっています。
問題の内容を理解し、コンピュータで処理可能な形式の変換や、知識データベースからの判断するというプロセスの構築、常識判断など、まだまだ課題は山積していますが、2021年度に東京大学の入試に合格という目標も十分に可能性としては考えられるでしょう。
IBMの開発した人工知能コンピュータの「ワトソン」も注目です。2011年にアメリカの人気クイズ番組「Jeopardy!」に出演し、王者2人に圧勝したのが話題となりました。現在は、医療150万人のがん患者の症例や2万ページの医学書の情報をデータベース化し、患者の症状をコンピュータに入れると、膨大なデータを解析し、最適な処方を医師に提案できる段階まできています。ワトソンのようなコンピューがが、医師の業務を支援する取り組みも現実的な取り組みとなっていくと予想されます。
今後、コンピュータは、単なる人間が処理するためのデバイスではなく、自らが学習し、人間に提案できるマシンへと進化していくことが予想されるところです。
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