機械と人間の未来(4)産業用ロボットと人間の共存
「機械と人間の未来(1)機械化がもたらす人間の雇用と共存の未来」のブログで取り上げましたが、従業員数120万で、iPhoneなどのアップル製品などの電気機器を製造するEMS(電子機器受託生産)の世界最大手の台湾の鴻海(フォックスコン)は、2013年7月、3年以内に100万台のロボットを溶接・組立・運搬・塗装・検査測定などの生産ラインに導入し、50万人の労働者をロボットに置き換え、確実性と生産効率を大幅に高めていく計画を発表しています。
工場における産業用ロボットは、100万円から200万円の投資で24時間365日働き続けることができ、工場におけるラインの組み立て工程は一変し生産現場の生産性も大幅に向上につながります。一方で、人間の単純労働の置き換えが起こることにもなり、職を奪うという脅威にもなることでしょう。
これまで、中国やアジア諸国などは人件費が安く、工場の誘致が進んでいましたが、人件費の安い国でも労働力の置き換えが進んでいます。人件費の安い国や地域に工場を置くことは、産業用ロボットの導入により、そのメリットを失いつつあり、人件費の高い先進国に一部回帰するという動きも出てくると予想されます。
人間は、機械やロボットにはできない、工場現場において工程管理や生産工程の改善活動などの、付加価値を生み出す創造力が必要とされる分野へのシフトが求められているといえるでしょう。
工場設備が人間のパートナーへ
産業ロボットは、これまでの武骨な外見からより親しみやすい人間型のロボットへと形を変え、「設備」という位置づけから、従来の産業用ロボットや専用装置とコラボレーションし、人間と共存する「パートナー」としての位置づけとしても進化しつつあります。
その代表的な次世代産業ロボットが川田工業が開発した2本の腕、肘、手首の関節を持つ「NEXATAGE(ネクステージ) 」です。
出所:NEXATAGE(ネクステージ)ホームページ http://nextage.kawada.jp/
NEXATAGEの特徴は、ラインのレイアウトがコンパクトで、移動が自由というったメリットがあります。さらに、画像認識システムを標準しており、アプリケーションで人間が担当する工程をアプリケーションで自由に設定することで、人間に代わって生産ラインに入り、作業をするというったことも可能になります。
週間ダイヤモンド(2014.6.14)の記事によると、現金入出金機・レジつり銭機などの製品を製造するグローリーでは、埼玉工場にNEXATAGEを18台導入しており、ある生産ラインでは、5人のうち4人分がNEXATAGEが担当し、最後の工程だけ人間が担当しています。
NEXATAGEのように、人間型ロボットには、従業員から親しみやすい名前を付けられることも多く、生産現場の大幅な改善とともに、少子高齢化による人口減少が懸念される中、人間の良きパートナーとして活躍する機会は増えていくでしょう。
- 機械と人間の未来(1)機械化がもたらす人間の雇用と共存の未来 2014.6.16
- 機械と人間の未来(2)人口の減少社会におけるロボットの役割と市場の成長性 2014.6.17
- 機械と人間の未来(3)政府による「ロボット革命実現会議」の発足、2020年にはロボットオリンピック(仮称)開催を視野に 2014.6.18