佐川明美の「シアトルより愛を込めて」:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 佐川明美の「シアトルより愛を込めて」

元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

« 2008年12月25日

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2008年12月27日 »

クリスマスの朝、穏やかならぬタイトルですみません。

米国の国家情報会議(NIC: National Intelligence Council)が先月22日に公表した文書 “Global Trends 2025: A Transformed World” のサマリーから。

テロリズム、紛争、核の拡散に関して

資源問題の重要度は増しても、テロリズム、核の拡散、そして紛争が依然として国際問題の中心である。テロリズムは2025年までになくならないが、中近東の経済成長が続き若年層の失業率が軽減すれば、そのアピールは薄れる。若年層の経済機会が増し、政治の多元性が進めば、テロリズムへの参加を思いとどまる者も出てこよう。しかし、復讐や殉教を熱望する者などは、相変わらず目的追求のため暴力に訴えるだろう。

就労機会と政治の自由が妨げられれば、不満が募って急進的になった若者をテロリストグループに取り込む素地ができる。2025年のテロリストグループには、命令系統がしっかりした組織の下で複雑なテロ活動に要する訓練を積んだ者と、怒りに満ち過激派に走った新参者とが混在しよう。技術と科学知識の普及により、2025年には活発なテロリストグループが、大変危険な戦闘能力を持つに至る可能性がある。テログループがバイオ兵器や(可能性は低いが)核兵器を用いるかもしれないというのが、依然として最大懸念の一つである。

イランの核武装は避けられても、イランの核武装を恐れる近隣諸国が、他国と新たな安全保障体制を模索し、軍備を増強し、かつ自国の核武装を決断する可能性がある。冷戦時に大国間に存在したような比較的安定した相互牽制の関係が、核武装可能なイランを含む中東諸国間でも生まれるかどうかわからない。ルールが確立しないままでは、核の傘の下でおきる小さな紛争が、思いがけず大きな紛争へと発展する恐れがある。

諸国が国際化とグローバルパワーのシフトがもたらす実利的問題に直面する時代においては、冷戦時に顕著だったイデオロギーの対立は、もはや根ざす可能性が低いと考える。イデオロギーの威力は、アラブ諸国中心に、特にイスラム教国で最も強いだろう。パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア、イエメンなど、 若年層が多く経済基盤の脆弱な国々では、急進的なSalafi (イスラム教原理主義)が勢いを増すであろう。

ここしばらく見かけなかったタイプの紛争 - 例えば資源をめぐるもの - がまた発生しうる。エネルギー不足との認識を持つ国が、将来のエネルギー資源を確保するための行動にでる。例えば、国内の安定と政権維持のためにはエネルギー資源の確保が不可欠だと指導者が決断したならば、最悪の場合、国家間の紛争に発展しうる。たとえ戦争につながらなくても、地政上の影響は大きい。中国やインドがいわゆる外洋海軍(=blue-water naval capabilities) の整備を進めているように、海上安全面での不安は、海軍の増強および近代化に理論的根拠を与える。地域の海軍増強は緊張度と競争を高めるが、同時に海上犯罪に対する多国籍協力の機会も増す。アジアと中東で水不足が深刻化すれば、国内および国同士で共同して水源管理を行うのは難しくなろう。

核兵器使用の危険は今後20年間も少ないだろうが、今よりは大きくなる可能性がある。核技術の広まりにより、新たな核保有国の出現と、テロリストグループによる核材料の入手という不安が生まれる。インドとパキスタン間の小競り合いは、過激化して両核保有国の全面紛争につながる恐れがある。北朝鮮のような国で政権の崩壊が起こる場合など、政治基盤の脆弱な国が自国の核兵器をコントロールできるかという不安は消えない。

今後15-20年のうちに核兵器が用いられれば、直ちに人道的、経済的、政治軍事的反響は避けられず、国際システムは大きな衝撃を受けるだろう。核兵器の使用は、核兵器保有国との軍事同盟を求める国もあれば、国際レベルの核武装解除を強く主張する国も出てくるなど、地政上大きな変化をもたらす。

sagawa

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佐川 明美

佐川 明美

米国シアトル在住。世界の伝統工芸を紹介する Ashton Road Ltd. のco-founder。

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