佐川明美の「シアトルより愛を込めて」:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 佐川明美の「シアトルより愛を込めて」

元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

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2008年12月28日 »

しつこく続けます。米国の国家情報会議(NIC: National Intelligence Council)が先月22日に公表した文書 “Global Trends 2025: A Transformed World” のサマリーから。

複雑化する国際システム

ここ数十年進行している権威とパワーの分散は、新興パワーの出現、現体制の弱体化、地域ブロックの拡大、非国家主体の力の増大、によりさらに加速するだろう。国際舞台におけるプレーヤーの多様化は、老朽化する第二次大戦後体制があけた穴を埋めるという意味でより進み、国際システムをさらに分解し国際協力を困難にする。プレーヤーの種類が多様化すれば、様々な多国籍問題が起こる中、今後20年間で国際システムが分解する可能性がさらに増す。

浮上するBRICパワーは、19、20世紀におけるドイツと日本ほどには国際システムの脅威とはならないだろう。しかし、その地政的経済的力の増大ゆえに、彼らは西側の規範をそのまま採用する必要はなく、その政治経済政策をカスタマイズできる自由度が高い。彼らはまた、テロリズムや気候の変化、核の拡散、そしてエネルギー保障といった問題の解決は他国に任せ、自国の政策的自由を保持すべく立ち回りたいと考えるだろう。

肥大で扱いにくく、そもそも異なる地政的秩序のためにデザインされた既存の多国籍機関が、迅速に、新たな使命を担い、メンバーシップの変更に対応し、リソースを増やすのは困難であろう。特定の問題に特化した非政府団体(NGOs)はプレゼンスを増すが、多国籍機関あるいは政府からの一致協力を得ない限りNGOネットワーク自体が変化おこすには無理があろう。新興パワーを反映したメンバーの増加に努めても、国際機関が多国籍問題に取り組むのはより難しくなろう。メンバーの異論を尊重すれば課題が増えるだけで解決の見込みは狭まる。

アジア地域主義は2025年までに達成の可能性はあるが、それは北米、ヨーロッパ、東アジアというブロックに似た3つの貿易・経済単位への流れを暗示する。このような擬似ブロックの確立は、将来的にグローバルなWTO協定への希望を抱かせる。地域単位により、ついにはIT、バイオ、ナノテクノロジー、知的所有権といった”ニューエコノミー”分野における地域間製品標準が設定される可能性がある。他方、アジアにおける地域的協力がなければ、エネルギーなどの資源をめぐって中国、インド、日本三国間の競争が激化しうる。

国家、国際機関、非国家主体の役割が重複し複雑になれば、政治団体は増殖し、新たなネットワークが構築されたり従来のコミュニティーが見直されたりするだろう。2025年には、どの社会においても特定の政治団体が圧倒的な支配力を持つことはありえない。宗教団体はある課題に特化したネットワークの中心的存在となり、環境問題や不平等といった多国籍問題に関して、世俗団体よりも大きな役目を果たすだろう。

sagawa

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佐川 明美

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米国シアトル在住。世界の伝統工芸を紹介する Ashton Road Ltd. のco-founder。

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