佐川明美の「シアトルより愛を込めて」:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 佐川明美の「シアトルより愛を込めて」

元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

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クリスマス・イブの朝。せっかく雪かきしたドライブ・ウェイに、また数十センチの雪が積もっている。シアトルに住んで14年になるけれど、こんな大雪は初めて。SUVを持っていないので、車で出かけることもできない。ということで、家に閉じこもって翻訳作業を続けます。

米国の国家情報会議(NIC: National Intelligence Council)が先月22日に公表した文書 “Global Trends 2025: A Transformed World” のサマリーから。

新たな多国籍問題

資源問題が、最も顕著な国際問題となるだろう。前代未聞の世界経済の成長により- 他の多くの面では良いことなのだが - エネルギー、食料、水、といった極めて戦略的な資源に対する需要は今後10年程度は供給を上回り、プレッシャーとなることが予想される。例えば、原油、液化天然ガスのほか、タールサンドなど、非OPEC国の液化炭化水素の生産は、需要の増加には追いつかない。従来の生産国の多くは石油やガスの生産量がすでに減少傾向にある。中国、インド、メキシコなどの生産は頭打ち。増産できる国の数は減り、石油・ガスの生産は政情不安定な地域への集中度が増す。その他の要素も含め、結果として、世界は石油から天然ガス、石炭、その他代替燃料へと大規模な転換のまっただ中にあるだろう。

世界銀行は、世界人口の増加、富の増大、そして多数の中間層が西洋型の食習慣を嗜好する結果、2030年までに食料需要は50%増大すると予測する。水不足、特に農業用水の不足は相当深刻になる。今後20年で世界の都市人口は12億人増加し、水不足に拍車をかける。今日、21カ国で計6億人が農地不足あるいは水不足に陥っていると専門家は推定する。人口増加は続き、2025年にはその数は36カ国、14億人に達すると予想される。

気候の変化が資源不足を一層悪化させる。気候変化のインパクトは地域により差があるが、多くの地域が、特に水不足と不作に悩まされるであろう。特にサハラ以南のアフリカ諸国を中心に農業生産は減少し、農業生産格差は、どこよりも発展途上国間で拡大しよう。農業生産の減少は、今世紀後半には極めて大きなインパクトをもたらすと、多くの経済専門家が予想している。農業依存度の高い多くの発展途上国にとり、農業生産の減少は壊滅的であり、多くの国民が最低水準すれすれの生活を迫られる。

代替エネルギーなど、新技術が問題の解決となりうる。しかし、現時点ではどの技術も既存のエネルギー構造に置き換わるまでのスケールには至っておらず、2025年にはまだ新エネルギー技術が商用ベースで広く普及するところまではいくまい。技術革新のスピードが鍵となる。バイオ燃料、クリーン石炭、あるいは水素といった代替エネルギーを推進する政策や投資環境をもってしても、新エネルギーへの移行には時間がかかる。歴史的にみても大きな技術革新が進むにはそれなりの時間がかかる。エネルギー分野では、新しい技術が広く採用されるまでには25年はかかるという調査結果が出ている。

とはいえ、エネルギー基盤を全面刷新するコストがかからなければ、2025年までに新エネルギーへの転換が起こる可能性が全くない訳ではない。比較的低コストで早いのは(ソーラーや風力といった)再利用可能な資源を利用したものとバッテリー技術の向上であろう。これらの技術により、個別プロジェクトのインフラコスト障壁は低くなる。多数の小規模プレーヤーが、例えば住宅やオフィス用の燃料電池、自宅で充電できるハイブリッド自動車、といったように、様々な分野のニーズに応じた代替エネルギープロジェクトを推進できる。また家のガレージで電気から自動車用燃料電池に用いる水素を作るというようなエネルギー変換の仕組みができれば、複雑な水素運送インフラの構築は必要ないかもしれない。

sagawa

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佐川 明美

佐川 明美

米国シアトル在住。世界の伝統工芸を紹介する Ashton Road Ltd. のco-founder。

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