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リサーチのプロとして長いこと歩んできた今泉大輔です。ChatGPT出現以降、Facebookで「ChatGPTとMidjourneyのビジネス活用を探って行く勉強会」を立ち上げ、「ビジネスパーソンにとってのAI」の観点で米国情報を収集して来ました。知的アウトプットの質と量を向上させるプロンプトの開発にも取り組んでいます。

イラストレーターのカミさんがChatGPTのDeep Researchをマーケティング調査で使いこなしてデビューすることについて

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NTTデータのAIデータセンター事業を調査させたら抜群の出来!

ChatGPT Proは少し前に1ヶ月200ドル(30,000円)の料金が高いか高くないかで話題になっていたOpenAIのサービスです。2025年2月初旬から始まった調査執筆機能が抜群のDeep ReseachはこのChatGPT Proにくっついていた機能で、私も最初はプロのリサーチャーとして疑問符を呈したり、1ヶ月3万円か...と躊躇したりしました。しかしエクセルのエバンジェリストをやっている たてばやし淳.エクセル兄さん という方が書いていた

ChatGPTにDeepResarch(ディープリサーチ)機能が登場。他のAIサービスと比較したい

という投稿を読んで、「これはオレも使わなければ!」と思わせ、すぐに購読開始を決めました。

実際に触ってみると目から鱗の世界で、すぐにNTTデータのAIデータセンター事業について詳細な調査をさせ執筆させてみました。調査内容がリンク付きで報告されるのがありがたいです。プロフェッショのリサーチャーである私から見てもあまりに優れた機能なので、すぐにブログで

OpenAIのDeep Researchはあたかも日立製作所本社の優秀な調査スタッフ
を書きました。

興味深いイラストACのビジネスモデル

ここからが本題です。ウチのカミさんは漫画的なイラストのセンスがあって、手近にある紙の空きスペースにサラサラっと書いたイラストが非常にクオリティが高く、巡り巡ってイラストレーターを本業とするようになりました。以下はサラサラっと書いたイラストの一例です(最初サラサラっと鉛筆で描き、その後で色付けしました)。カレンダーの空欄に私が高血圧で近くの総合病院に行った日のことを漫画的に描いています。

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ちなみにこの投稿のトップにあるカバー画像もカミさんがMidjourneyを使って生成したものです。センスがあるのでMidjourneyを使っても非常にユニークな画像を作ります。

カミさんがイラストレーター修行で始めたのが無料のイラストや素材がダウンロードできるイラストACへの作品アップロードです。ダウンロード登録ユーザーは1,400万人を超えているそうで、ビジネスモデルが気になるところです。イラストをアップロードした人達にダウンロード回数に応じてお金をくれるんだそうです。収益分配のからくりがどうなっているのか?

ChatGPTにイラストACのビジネスモデルを聞いたところ、以下のように明快に答えてくれました。

イラストACのビジネスモデルは、ストックイラストサービスの中でも 広告収益型 + プレミアム会員課金型 を組み合わせた独自のモデルになっています。

1. 収益源
(1) 広告収益
イラストACは、無料でイラストをダウンロードできる代わりに、サイト上に広告を表示し、広告収益 を得ています。特に、Google AdSense などのクリック報酬型広告や、企業向けのバナー広告がメインの収益源の一つです。

(2) プレミアム会員課金
無料会員だと以下のような制限がありますが、有料の プレミアム会員(月額プラン or 年額プラン) に登録すると制限が解除されます。

無料会員の制限
1日のダウンロード数制限あり(通常9点)
ダウンロード時に15秒の待ち時間が発生
商用利用OKだが、利用報告を求められる場合あり
AIイラストのフィルター検索ができない

プレミアム会員のメリット
ダウンロード数の上限なし
待ち時間なし
AIイラスト検索機能の利用可
商用利用時の報告不要(※一部例外あり)
この プレミアム課金収益 が、広告収益と並ぶ大きな収益の柱になっています。

2. クリエイター(イラストレーター)の収益
イラストACの特徴は、クリエイターが無料でイラストを提供する代わりに、ダウンロード数に応じて報酬を得られる ことです。

ダウンロード1回につき約3円の報酬
ただし、実際の単価は変動(1ダウンロード2.7円〜3円程度)
収益は 広告収入 + プレミアム会員費 から分配されている
イラストAC側は クリエイターに直接お金を払うわけではなく、サイトの広告・課金収益から分配する形 になっています。

3. 企業向けの収益モデル
企業向けの 「イラストAC for Business」 という法人向けプランも存在し、これがさらに収益の一部になっています。

企業向けライセンス付きプラン
API提供サービス(大量の画像を一括取得する用途)
企業案件(カスタムイラスト作成など)
これにより、個人ユーザーだけでなく、企業からの収益も確保 しています。

まとめ
✅ メイン収益
広告収益(Google AdSense + 企業バナー広告)
プレミアム会員課金(月額 or 年額)
企業向けサービス(API提供・法人向けプラン)
✅ クリエイターへの報酬
ダウンロード1回ごとに約3円の報酬(広告 + プレミアム課金から分配)
✅ 収益構造の強み

無料ダウンロードで集客 → 広告収益を得る
プレミアム会員を増やして安定収益化
クリエイターの投稿を増やすことでコンテンツを充実させ、さらに集客力を強化
このように、広告収益と会員課金のバランスを取ることで、ストックイラスト業界で成功しているサービスの一つになっています。

本当になんでも知っているChatGPTです。上はChatGPT 4oを使った回答です(ChatGPT Plusなら使えると思います)。
運営主体としてのイラストACが広告とプレミアム課金によって収益を得ているだけではなく、無料のイラスト・素材を登録したイラストレーターにも収益を分配します。その人の登録イラストのストックが積み増してくると1ヶ月数万円〜十数万円の収入が得られるようになり、イラストで食べられる道が開かれます。大変に有意義なビジネスだと思いました。

私は若い頃雑誌編集をやっていたので、プロのイラストレーターの方々にもギャラの必要なイラストを発注し、様々なイラストレーターのセンスや才能を見抜く立場にありました。そういう私から見ても、無料のイラストを登録してストックが積み増していくことによって食べられる道が開かれる...というビジネスは非常に興味深かったです。

タグ付けの自動化でChatGPTを使い始めた

イラストを1日に1点といったペースで登録していくカミさんにとって重労働だったのが、タグ付けです。自分の登録イラストがダウンロード・クライアントにリーチするためには適切なタグが不可欠です。タグ付けがうまくないとそのイラストを必要としているクライアントにリーチしません。
通例、1つのイラストにつき30個も40個もタグが付けられます。ダウンロード数が多いイラストレーターは数十ものタグを付けることがノウハウとなっていて、タグ付けもまた大切な仕事ということになります。しかし仕事とは言え、1枚の自分が描いたイラストにどういうタグが適切か頭で考えて、1つ1つタグを付けていくのです。それが30も40も。重労働です。

そこがZ世代である(20代半ば)であるカミさん。生まれながらのデジタルネイティブであり、子供の頃からデジタルデバイスに馴染んでいます。ChatGPTや出たばかりのDeepSeekを使いこなすのでも、誰から教えられなくても独自のやり方を編み出して使っています。
ある日見たところ、ChatGPTをタグ付けで使い始めました。自分が描いたイラストの画像をChatGPTに読ませ(画像読み込み機能があります)、「これに適当なタグを考えて下さい」とやっています。これにはChatGPTの専門家である私も驚きました。

なるほど考えて見れば、画像の中身をアーティスティックに識別して適当なタグを考え出すことは現在のAIには訳もないことです。私もMidjourneyを使った画像をNFTで販売する事業を一生懸命やっていた時代には、Claude 3.5にMidjourney作品を読ませてプロンプトの改良を相談したりしていました。Claude 3.5は美術評論家のレベルで画像を読み込んで評価するのです。"画風"を相談したり、全く新しいMidjourney作品を生み出すことが可能です。そういうプロンプトを生み出してくれます。

なのでChatGPTがイラスト作品を読み込んで、頭のいい彼がいくつものタグを提案することは訳もないことなのです。
重労働だったタグ付けはChatGPTによって自動化され、負担は著しく軽減されました。

ChatGPTがイラストレーター商売のコンサルタントになり、本格的マーケティング調査のAIエージェントになった

カミさんがやっていたタグ付けは、当時ChatGPTが無料コースであったため画像の読み込み可能回数に限りがあり、ちょぼちょぼでやっていました。しかし上に書いた顛末で私がChatGPT Proのコースを購読し始めたので、それからはガンガンです。

ある時からChatGPTを自分のイラストレーター商売のコンサルタントのように使い始めました。画像を見せて、これからどういう方向に行ったらいいか相談をするようになったのです。イラストACでどうしたらダウンロード数が伸びるか?どういうイラストのテーマが求められているのか?深く考えて親切にアドバイスしてくれます。

そのうちに私が仕事の調査執筆で使っているDeep Researchを、彼女のイラストレーター商売が本格的なビジネスになっていくにはどうすればいいのか?イラストACだけでなくAdobe Stockでも収入が稼げるようになるにはどうすればいいのか?調べさせアドバイスさせる用途で使い始めました。
Webのイラストレーター事例を多数抽出して事例研究を行う本格的なマーケティングリサーチです。何度もトライ&エラーを繰り返してDeep Reseachに調査させていました。そして明快な路線を見出しました。

それはオリジナルのキャラクターをはっきりと打ち出した作家として世に出ていくという路線です。

無名匿名のイラストレーターではなく、自分のブランド名を持ったイラストレーターとして世に出て行き、イラストACもさることながら世界中のプロフェッショナルが集うAdobe Stockでも勝負をかける...才能あるイラストレーターとして世に出ていく路線です。そういう路線がいいよとChatGPTのDeep Reseachは彼女にアドバイスしていました。彼女の数々のイラスト作品を見た上でです。

NVIDIA株は売りなのか?買いなのか?ホールドなのか?を分析させるスーパープロンプト

私の話ですが、いま私はNISAを活用する消費者がChatGPTを使いこなして時短で投資のための情報収集ができるノウハウ開発やプロンプト開発を行なっています。
その内容をnoteのブログで展開して、noteの多くの方々がやっているように有料記事として販売するのと、Amazon Kindle出版でシリーズとして刊行して行くのと、下準備を行なっています。私にとって何度目かの起業となります。

ChatGPTは株式投資と非常に相性がよく、私は、ChatGPTが消費者において最も頻繁に使われるようになるのは株式投資においてであるという仮説を持っています。そうしてその仮説は日々確信に変わりつつあります。

例えば今、日本の投資家が売買している米国株でランキングトップの位置にあるNVIDIAについて。

Yahooファイナンス 米国株ランキング(売買代金)

このNVIDIAが、いま、売りなのか?買いなのか?それともホールドなのか?それを私が開発したスーパープロンプトによりChatGPTのDeep Researchにかけて調査させ、緻密なレポートを執筆させるということに取り組んでいます。スーパープロンプトはほぼ完成し、動かしてみると、目も覚めるような美しいレポートが出てきました。これはお裾分けしなければ...ということで、それをAmazon Kindle本にして刊行します。書名は「教えてくれるChatGPT エヌビディア NVIDIA 株は買いか?売りか?ホールドか? - NISA成長投資枠にぴったりな米国株選び:今泉大輔責任編集」です。

その表紙に、ブランド名を持って自分のキャラを立てたイラストレーターとして世に出て行くカミさんの作品を使うことにしました。上にも書きましたが私は雑誌編集者時代プロのイラストレーターに1点20万円といった金額で発注していたことがあります。表紙用のイラストです。時代の先端を行く方々にそれ相応の水準の金額で発注していました。ペーター佐藤氏とか安西水丸氏とかです。

それで出てきたのが以下のイラストです。イラストレーターであるソラガスキ氏から仕上がって来ました。

サツオとマネコ2.jpg

ソラガスキ氏のデビュー作品ということになります。間もなくAmazon Kindle電子書籍として刊行される「教えてくれるChatGPT エヌビディア NVIDIA 株は買いか?売りか?ホールドか? - NISA成長投資枠にぴったりな米国株選び」の表紙を飾ることになります。

こういうことがChatGPTのDeep Researchを、誰からも教えられなくても知らぬ間に使いこなしているZ世代のカミさんにおいて起こっているんです。これはもう未来です。

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