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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

カミさんiPhone観察記

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昨年11月末にiPhoneを入手しましたが、少し理由があって、3日ばかり使った後でカミさんに譲りました。

カミさんはiPhoneに特別な思い入れがあるわけでもなく、世のiPhoneトレンドにもかなりうといので、彼女にとってiPhoneは単に「新しいインターフェースを持ったケータイ」なわけです。育児中の1人の主婦がそうした新しいデバイスをどのように使っていくのか、非常に興味深い事例なわけで、かなり客観的に観察してきました。それでわかったいくつかの点を記します。

なお、彼女のネット利用スタイルを簡単に確認しておくと、ケータイをインターネットネット端末として使うということはほとんど経験していない、ケータイメールもあまり使わない、ただしPC経由のインターネット利用はそこそこヘビー、ブログもそこそこ書くというところです。

1. ポータブルなブラウザとして肌身離さず持ち歩くようになる
彼女は未就園児の育児まっただ中にあり、雨が降っていない限り、1日2~3時間は息子と外に出て近くの公園で遊ばせています。基礎体力づくりが念頭にあるみたいです(頭が下がります)。
これまでは息子を遊ばせている間、遠巻きに見ているか、自分も一緒になって遊ぶか、近所のお母さん方と話をするぐらいしか選択肢がなかったのですが、iPhone利用開始早々、外でブラウジングして時間を過ごすという使い方を発見しました。
家にいる時はヒマがあればネットにつなげてあちこちのサイトを見ている人なので、外で息子に付いていなければならない時間にそれができるというのが非常にありがたいみたいです。
この利用法を発見して以来、何があっても外出する時にはiPhoneを忘れずに持ち歩くようになりました。既存のケータイにはあまり執着せず、外出時に忘れたら忘れたで何ともなかった人なので、これはかなりな変化です。この人において初めて携帯デバイスとのclosenessが生じたといったところ。

2. 充電命
ポータブルなブラウザとして常時携行するようになると、iPhoneの場合、どうしても電池切れが問題になってきます。外出時に電池が切れてしまうと、iPhoneライフが絶たれた格好になるので、身体的な要求として充電を常に怠らないというスタイルが定着するようです。誰に言われるともなく、外出から戻ってくると充電しているという行動パターンが見られます。外出時のiPhone利用が身体性を持ち始めていることが窺われます。

3. フリック入力もそれなりに適応
慣れるまで時間がかかるiPhone固有のフリック入力についても、ある時からチャレンジするようになり、現在ではそれなりに使っているようです。
短いメールならiPhoneだけで送っていますし、入力が必要なウェブなどでもiPhoneで済ませています。
いったんiPhoneを常用するようになると、様々な機能を使い始めるものなのだということが言えるでしょう。

4. ラジカセ的な利用
クリスチャンなので日曜日の説教の内容を録音して、自宅で聴くということをたまにやっています。これまではMP3のファイルをPCからSONYのWA1という再生装置に飛ばして聴いていましたが、操作ステップがいくつかあって面倒です。ある時、MP3ファイルをiPhoneに移してiPhoneのスピーカーから流すという利用法を発見しました。iPhoneのスピーカーから出てくる音はラジカセ並みにそこそこよいので、うまい利用法があるものだと思いました。

5. ヤフオクマシン
自宅にいる時もよくiPhoneの画面を覗いているので、「何を見ているのか」と尋ねると、たいがいは「ヤフオク」と答えます。画面をじっと覗いているのは、オークション終了の時間が迫っているので、値動きを確かめながら、入札するタイミングを窺っているのです。「何でPCを使わないのか」と尋ねると、こっちの方が便利だからとのこと。
結局、身体的なclosenessが生じてしまうと、ネット利用の要求が生じた時にまず手にする/スイッチを入れるデバイスが「まずはiPhone」ということになってしまうのでしょう。

6. レシピ表示機
現在では女性たちの間で、ネットでレシピを得て調理するスタイルがかなり浸透しているように思います。彼女のそのひとりでクックパッドのコミュニティにはまり込んでいた時期もありました。
ネットで得たレシピで実際に調理する場合、これまではプリントアウトしてそれを見ながらというケースが多かったです。ある時、キッチンにiPhoneを置いて画面を表示させているので確かめてみたら、レシピを表示させているとのこと。
iPhoneの画面はほどよい大きさなので、レシピページを表示させておいて、キッチンに置きながらその都度見て調理をするというやり方ができます。なるほど、そういう使い方もあるのかと思った次第です。
以前によく、白物家電のインテリジェント化ということで、冷蔵庫にネット接続端末を付けるというのがありましたが、あれで想定していた使い方がiPhoneでできているということになります。

なお、Appについては、利用開始当初私のiTunesでいじっていた関係で、彼女のPCのiTunesでの動作がおかしなことになり、面倒が生じたために使えていません。

とまぁこんなところです。総じて、iPhoneというまったく新しいインターフェースを持った携帯デバイスによくなじみ、よく使っていると言えるでしょう。iPhoneに思い入れがない状態で使い始めてもこの程度にはなるので、大したマシンだと思います。

個人的には、インターネットに常時接続できる携帯マシンの利用過程で身体的なclosenessが生じ、それがその人の生活をどう変えていくのかというところに興味がありました。ある程度は彼女の生活が変わり、Life with iPhoneみたいな感じになっています。それがLife with ケータイとどう違うかを論じ始めると面倒なのでよしますが、おもしろい変化であることは確かで、商売系のことを考える際にも示唆があります。

それから補足すると、紆余曲折あって、現在は私も既存のケータイからiPhoneに切り替えて使っています。

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追記。

この投稿をサーバーにアップしている最中に思いましたが、「利用法は、その人において新たに”発見”されるものである」ということ、「発見された利用法が、繰り返し試されているなかで、リテラシーの域にまで高まっていく」ということ、そしてiPhoneにおいては既存ケータイとは異なる利用法が”発見”される余地が多々あるということ。するとすなわち、iPhoneを使い込んだ人のリテラシーと、既存ケータイを利用している人のリテラシーとはかなり異なっていく可能性があるということ。とすれば…?

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