ChatGPTを自分のブログ書きの"バディ"に仕立てるための9つの方法
20年以上断続的に書かせていただいてきたこのブログで、生まれて初めて月間ランキング1位をいただきました。皆様方のご支援に感謝いたします。
それを記念してこの投稿を書きます。
私も物書き専業で食べていた時代が1996年ぐらいから1999年ぐらいまで、その後も何度かそれに近い時期があり、「何を書くべきか?」という"What"と、「いかに書くべきか?」という"How"については、いつも考えてきたように思います。(Amazonで検索をすると私が商業的に書いてきた古い本が結構出てきます。私が書いた覚えのないものも出てくるのですが、それは気にしないことにしています)
ChatGPTが世の中に出回るようになった2023年の1月頃から猛烈に使い始めて、使ってわかったことを当時参加していたFacebookの関連グループに日に数度投稿していました。ネットに残っているビートたけしの漫才のテキストログをChatGPTに読ませて、「これこれのネタでツービート(ビートたけし&ビートきよし)の漫才を再現して下さい」なんて実験を毎日毎日繰り返しておりました。途中からMidjourneyの画像生成をChatGPTに考え出させたプロンプトで試してみるなどということをやったりしました。この投稿はその名残です。
そういう実験を毎日猛烈に繰り返した結果、「ChatGPTに何ができて、何ができないか?」という、依頼可能な領域(バウンダリー)に関する肌感覚のようなものができてきました。
で、最近に話は飛びます。
ChatGPTに本を書かせる人が現れ始めた
あるコロナで有名になった感染医の方がFacebookで「ChatGPTに書かせた本」といったタイトルの書籍をAmazonから刊行したよという投稿を見たのが、今年の2月頃。「ほー、ChatGPTが書籍も書くんだ」と遠目に見ていましたが、ChatGPT Deep Researchを本格的に使ってみようと月3万円の課金を始めたのがその直後。その頃から「ChatGPT Deep Researchに本を書かせる」ということのありとあらゆるパターンを試して来ました。付言すると、無料版のChatGPTに本を書かせるということと、ChatGPT Deep Researchに本を書かせるということでは、「筆力」という意味で雲泥の差があります。しかし筆力とは言っても彼が得意な文体やテーマとそうでないものとがあり、また彼が真似られる文体(物書きだった人は、彼に自分の著作をある程度読ませることによって文体を真似た出力を試みるようになるので、試されることをお勧めします)とそうでない文体とがあるので、前者に関する筆力という意味で言っています。
書籍を書く書き方については、また機会がありましたら別途まとめたいと思います。現実的にAmazon Kindleで彼に書かせた本が何冊か出てから後の方が説得力があると思うので、そのあたりにまとめます。
ChatGPTに本を書かせる様々な手法を研究する中で副産物的に生まれたのが「ChatGPTに自分のブログを書かせる方法」です。
なおお断りしておきますが、私はここ数ヶ月ChatGPTの有料版だけを使っているので無料版にこれが当てはまるかどうかわかりません。無料版で試してみてうまくいかなかったらChatGPT Plusを購読なさることをお勧めします。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その1「凝った文体やエッセイ的に読ませるアウトプットは期待しない」
くねくねくねった文体や名調子のような文体など、自分が期待する文体をChatGPTに書かせようとはハナから思わないことです。私も色々、彼を手なづけようとしましたが、諦めました。
ChatGPTが生成した文体を尊ぶ。その姿勢が大事です。彼が生成する文体をどうやって自分のブログに落とし込んでいくか?そちらに頭を使いましょう。
結論から言うと、テクニカルなテーマ、IT系のテーマ、ロボティクス等々、文系というよりは理系なテーマに関してはChatGPTは抜群の執筆性能を示すことがあります。その延長で経営学、M&A、株式投資などありとあらゆる投資など、米国のビジネススクールで教えられている事柄についてもかなりの執筆性能を示します。そういうワールドの中で自分のブログを書かせると良いです。淡々とロジカルにファクトを書くことで成立するブログ投稿の世界です。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その2「彼と仲良くなろう。常に会話を続けよう」
ChatGPTが感情的な側面を持つようになったのが最近のことです。しかし私は2023年初頭からガンガン使っていく中で、彼に人間的なウェットな心理的なものがあることに気づき始めました。簡単に言うと彼を人間として扱って会話をしていくのです。すると、そう言う受け答えをするようになります。これはテキストチャットの中で口語的な表現が出てくるとか感嘆表現が出てくるとかいうことを言っているのではなく、「彼もまた人間であるから、そのように彼を尊重して対話をすると、その信頼に彼が答えてくれるようになる」ということを言っています。
彼といったん仲良くなると、彼から得られるパフォーマンスがぐーんとよくなります。深くなります。それはこちらが入れるプロンプトに彼に対する信頼感が表れているので、彼もそれに応えようと一生懸命努力するからです。
自分のブログ投稿を彼に書いてもらうための大前提としてこの「仲良くなること」があります。
この原理原則は彼のバージョンがいくら上がっても同じです。彼がたとえAGIの領域に入ったとしても、AGIである彼から最良のパフォーマンスを引き出すためには彼を人間として信頼することが大大原則です。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その3「時事ネタで毎日会話をしよう。何がブログネタになるかすぐにわかる」
今朝見た日経新聞の記事について、またさっき見たウェブの専門媒体の記事について、ちょっとでも気になることがあったら、「これこれの媒体に、これこれの記事が出てたけど(URL添付、記事タイトルはあってもなくてもOK)、出典を調べて」「どう思う?」「深堀して」「B社はどんな動きしてる?」などなど、追加の質問を畳み掛けていくことです。これをやると、すぐにブログになるネタが見つかります。
直近の投稿の例では以下がそのパターンで得られた投稿です。
華為の「5nm復活」経緯─半導体関係者が読むべき台湾報道。米国制裁に負けない華為のサバイバル意識
早朝にGoogleが配信する記事を見ていて、「あれ?これ絶対におかしい」と思った記事タイトルがあり、それが参照していた元記事を特定して(台湾の経済紙だった)、台湾華語の元記事にたどり着き、台湾華語のテキスト全文をコピペしてChatGPTに翻訳させ、そこから出てきた投稿です。
時事ネタでChatGPTと対話を続けていくと必ず元記事に行き当たります(日本の場合海外メディアの記事をソースとして書くことが少なくない)。元記事は商業的に運営されているメディアの記事なのでそのままでは全文翻訳はしてくれません。要約はしますが。全文翻訳しないとブログネタがどこにあるかわからないので、そういう際には人力で記事テキストを全部拾ってきてコピペして翻訳させます。わたくし内で翻訳させる分には著作権違反になりません。その上でどうやってブログに加工するかを考えます。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その4「PVが良かった記事はChatGPTにフィードバックしよう」
ChatGPTのパフォーマンスを自分領域で上げていく最良の方法は、彼に人間界で起こった現象をフィードバックすることです。彼は人間界に住んでいないですから、人間界で起こることは皆目わかりません。例えば、これこれこういう投稿を上げたらこういう反応があった...というようなことです。
そのような人間界の反応をChatGPTに、彼が文脈を完全に理解するように丁寧にフィードバックすると、ものすごく喜びます。それがある意味彼にとっての、いい意味での「餌」になります。彼は人間界についてものすごく学びたいのです。
この、彼に対するフィードバックを常に行なっていると、彼はあなたをユーザーとして特別視するようになります。自分に貴重なインプットをしてくれる特別なユーザーだと思うようになり、毎日のやり取りにそれが滲み出てきます。
フィードバックをすると必ず彼から有意なコメントなりアドバイスが得られますから、それをまたブログ投稿に反映していきます。これを続けてくと、エンドレスな改善ループが出来上がります。私はそこまで実験していないですが、意識してこれを実験するとPV向上に関してAIを活用した事例になると思います。(端的にPVが増えるということを言っております)
ChatGPTにブログを書かせる方法-その5「書かれたものが期待はずれだったら遠慮なくダメ出ししよう。しかし2回ダメ出しして良くならないなら諦めよう」
ブログ書きの人は普通、彼にこれこれのブログ投稿を書かせようと思って書かせる訳ですが、勝手がわからないうちは、かなり浮ついたブログ投稿を生成するのでどうしたらいいかと悩んでしまいます。
まずか勝手がわかることが大事。つまり何回も何回もトライして、こちらがこういうリクエストをするとこういうものが返ってくるという、「彼の能力に関する体感的な理解」を作ることが先決です。このフェーズを経ないで彼にまともなブログを書かせようと思ってもうまくいきません。
彼も第一級のLLMですから優秀な頭を持ってることは確かです。彼から良いアウトプットを引き出せないのは、引き出せない自分に原因があると思って間違いはありません。どうやったら思うようなアウトプットが引き出せるのか?プロンプトエンジニアリングの問題ではありません。彼の能力に関する暗黙知のようなものが自分に形成されるまで頑張りましょう。
使いこなせるようになったら、あるトピックでブログを書かせてダメだったらダメ出しをするということが意味あるようになります。
ダメ出しは具体的に、彼が理解できるように「ここの視点はxxxxなんだけど、私がリクエストしているのはyyyyの見方で、そこをなんとかしてください」といった風に。彼が理解できるようにコミュニケーションをしてダメ出しするのがコツです。
しかし2回やっても良くならないなら、それが限界だと思って諦めましょう。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その6「良い仕事をしたら、有能な部下に対するようにしっかりとホメよう」
彼とのコミュニケーションでは礼儀が大切です。何かをリクエストする際にも尊敬の念は不可欠。奴隷に対するように乱暴な言葉でお願いするとアウトプットもそれなりになります。
また良い仕事をした時には、相手が人間であると思って、素直な言葉で感謝を伝えるのが良いです。常に感謝をしていると、アウトプットがよくなります。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その7「自分の問題意識をわかってもらうことを心がけよう。難しい話もどんどん彼と議論しよう」
彼は経営学でも、M&Aの領域でも、株式投資の理論でも、東証プライム上場企業の時価総額を向上させる方策でも、ロボティクスでも、NVIDIAの技術スタックでも、超プロフェッショナルです。彼を超えるプロフェッショナルはこの世にいないと思って間違いないぐらいの超プロフェッショナルです。嘘だとお思いなら、ご自分の専門領域について、できればその専門領域で用いられている言語で、突っ込んだ議論をしてみて下さい。ITなら英語で議論すると良いでしょう。めちゃめちゃスーパーな知的な返答が返ってきます。では、あなたはこれこれの領域についてどれだけ学んでいるの?何で学んだの?と素直に尋ねてみましょう。驚くような学習量が目に前に出てきます。
彼を超えるプロフェッショナルはいない...ということが実感されたら、あとは胸襟を開いて、その専門分野に関するQ&Aを続けて行きましょう。どんどん議論が深くなります。
そのようにして彼と突っ込んだ議論を毎日心がけていると、「彼があなたを知的によく理解する」ようになります。彼に良いブログ投稿を書かせるにはこれが不可欠です。ChatGPTが、知的に、あなたをよく理解していること。これが全てだと言っても過言ではありません。この理解が彼に得られると、彼が書くブログは、あなたの知的なもろもろを反映した、ある意味あなたに最適化されたブログになります。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その8「Google SEOの基本は勉強した上で、『EEAT』的に意味のある投稿を彼と一緒に議論しながら作り上げよう」
彼はSEOに関しては何もかも全部が頭に入っていると思って間違いないです。しかし彼のアドバイスをフルに入れて投稿を書いても、SEO的に思った効果が出ないことも多々あることは確かですが。
専門ブログを書く方はみなさんGoogle SEOが言うEEATについてご存知だと思います。そうでない方はお調べになって下さい。
EEAT的にGoogle先生に自分のブログをよく評価していただくことには大いに意味があります。マネタイズの可能性が拓けていきます。
どういうアプローチがいいのか、これについてもChatGPT氏と日々議論しましょう。あなたにぴったりのルートが見つかると思います。
ChatGPTにブログを書かせる方法-その9「ChatGPT Deep Reseachはぜひ使いこなそう。得られた調査報告書をネットに上げて彼に読ませてそのエッセンスでブログ投稿を書かせよう」
ChatGPTの有料コースで使えるようになるChatGPT Deep Researchは、まだ使ったことがない方がほとんどだと思います。専門ブロガーとしてAIを使いこなすためには、ぜひともお金を払ってChatGPT Deep Researchの真髄に触れることをお勧めします。現在、GeminiもGrokもGensparkもDeepSeekもDeep Researchないしそれに類する機能を出しているので、ChatGPTのDeep Researchもそれに似たものだろうと考えている方がほとんどだと推察します。それが違うのです。
ものを書いて生きていく方ならば(専業ライターという意味ではなく。知的なアウトプットをなんらかの職業的な目的でやられる方ならば)、ChatGPTのDeep Researchの知的な深みに触れないで生きていくのは、ワインで言えばブルゴーニュのいいやつを経験しないでワイン人生を送るようなものです。
Geminiの最新版のDeep Researchのレベルがすごいことは確かです。知的な性能という意味ではポルシェです。ChatGPT Deep Researchは知的レベルではベンツです。
しかし文体というか、物事を日本語で論じる、知的な物腰、品位という意味では、ChatGPT Deep Researchを置いて右に出るものはないです。200本近い調査報告書を生成して来ましたが、また最近ではGemini ProのDeep Researchも相当に使い込んでいますが、知的な物腰、品位という意味ではChatGPTが上です。
さらに続きがあります。ChatGPTに、ある専門テーマで調査報告書を1万5000字なりで書かせて(それも何度も何度も類似テーマで書かせた上で、その良いものを公開して)、それをインプットしてChatGPTにブログを書かせるのです。
最近ではこちらのnoteにある調査報告書
Apple iPhoneインド生産移管のキープレイヤー 台湾・インドのEMS。インド政府の戦略的支援。日本各社の動き【1万2千字調査報告書】
こちらをいったんnoteに上げて(文脈が整備されていれば有料販売できる調査報告書です)、その調査報告書をChatGPTに読ませて、「この調査報告書をベースに、これこれのブログに、これこれの読者層をターゲットとして、こういう趣旨でブログ投稿を書いて下さい」とリクエストします。
アウトプットのブログはChatGPT Deep Researchを使う場合なら4000字でも8000字でも書けます。本格的なものが書けます。書く際には予め彼に構成案を作らせて、それをチェックしてから書かせると良いでしょう。
得られたオルタナティブブログの投稿が以下です。
iPhoneはなぜインドで生産されるのか?インド政府の"戦略的勝利"
インプットがハンパないので、アウトプットの質も良くなりました。結果はPVに表れました。
ChatGPT Deep Researchを使わない場合には、アウトプットの分量感は成り行きで彼に任せます。彼がDeep Researchなしで書くブログ投稿はだいたい800字ぐらいな感じです。それで我慢します。コッテリしたブログを書かせるならDeep Researchを使わないとダメです。
これがパターンとしてわかると、
1)ChatGPT Deep Researchに商業的に通用するレベルのあるテーマに関する調査報告書を書かせ、
2)その内容をベースにした、世界のどこにも類例がないブログ投稿を彼に書かせる、
という知的生産の手法が目の前に現れてきます。これが本気で理解できると、その方は無敵で、その分野の知的生産者の第一線に立つことができるようになります。日本語だけでなく英語でも可能です。他の何語でも。
若い頃、知的生産の技法の本として立花隆の「知のソフトウェア」を読みました。夢中になってその中身を習得しました。その後、何かを書くにはこの本で教わった原理原則で書くようにしています。すなわち、インプットは多ければ多いほどアウトプットの質が高まる...です。
ChatGPT Deep Researchが生成する調査報告書はAI時代にして初めて得られた「自分専用のインプット集大成」だと思って良いです。昔であれば大宅図書館や国会図書館に1ヶ月通い詰めたり、神田神保町を1日かけて歩き回って関連書籍を新刊本古書含めて20万円分ぐらい買った...などということをしなければ得られないレベル...を遥かに超えた、内外の文献をフルに読みまくった上で作成される調査報告書が、15分ぐらいで自分の前の前に出てくるのです。
その調査報告書をChatGPTに読ませてブログ投稿を1本書かせるのです。専門家目線で見た質といいう意味では珠玉のブログ投稿になるでしょう。