アジアの主要企業、AIへの投資を加速 ― IDCによる2025年予測
IDCは2024年1月16日、「Worldwide Artificial Intelligence and Automation 2024 Predictions -- Asia/Pacific (Excluding Japan) Implications」を公表しました。
IDC: Asia's Top 1000 Companies to Allocate Over 50% of Their IT Spending on AI Initiatives by 2025
本調査によると、2025年までにアジア圏のトップ1000企業(A1000)は、IT支出の50%以上をAIイニシアティブに割り当てると予測しています。これにより、製品やプロセスのイノベーション率が二桁の増加を見込んでいます。
特に過去2~3年にわたり、AIは製品開発と運用プロセスにおいて画期的な革新をもたらし、企業の機能、顧客ニーズへの対応、従業員の生産性向上に根本的な変化を引き起こしています。
IDCは、北米の回答者の46%が既に生成AIの利用ケースに投資または検討中であること、そしてこの数字はアジア太平洋地域で70%、EMEAでは76%に上ることを明らかにしています。
AIのセキュリティとコンプライアンスは、技術ベンダーとユーザーにとって重要な焦点です。クラウドやソフトウェアプラットフォームの提供者は、ITリスクの軽減を図るためにGenAIの安全対策をサービスに組み込んでいます。
IDCが示す2024年以降のAIに関する予測は以下の通りです。
Enhanced AI Security(AIセキュリティの強化):
2026年までに、アジア太平洋地域の70%のクラウドおよびソフトウェアプラットフォーム提供者が、GenAIリスクシナリオを3分の1に減少させるために、主要サービスにGenAI安全性およびガバナンスパッケージを組み込む
Global AI Rules Challenge(グローバルAI規制の課題):
2027年までに、地理的なAI規制の相違がA2000企業に大きな課題をもたらし、センシティブな利用ケースの実装時間と労力が最大20%増加する可能性がある
生産性の向上と従業員体験の改善を目指す中で、デジタルアシスタントが主役として登場しています。ビジネスが知識探求に乗り出す中で、generative AIとretrieval augmented generation(RAG)は、自己サービス型の知識発見と意思決定力を高めることができる
Digital Assistants' Popularity(デジタルアシスタントの人気):
2027年までに、生成AIデジタルアシスタントは、A1000の企業ソフトウェアとのやり取りの30%でUIとなり、ソフトウェア開発や顧客エンゲージメントなどのビジネスプロセスの操作においてはそれ以上になる
Smart Knowledge Discovery(スマートな知識発見):
2026年までに、A1000企業の3分の2が、ドメイン固有の自己サービス型の知識発見を強化するために、generative AIとRAGの組み合わせを利用し、意思決定を40%向上させる
AI技術の進化と業界への浸透は、膨大な経済的可能性と社会的変化を解き放つことが期待されています。プロセスの最適化、運用の合理化、イノベーションの促進により、AIは生産性の向上、新たな職業機会の創出、経済成長の刺激に貢献すると予測しています。
Economic Impacts of AI(AIの経済的影響):
2028年までに、AIの全体的な経済的影響は中和され、A1000企業は初期の混乱を克服し、イノベーションと新しいビジネスチャンスへのリソースの再集中により経済拡大を促進する
Outcome-Driven Automation(成果重視の自動化):
一時的なGenAIへの注目後、2025年までにA1000企業の70%が、特定の技術ではなく成果に基づいて自動化戦略を義務付けるように再焦点を当てる
Business Revolution(ビジネス革命):
2025年までに、A1000企業の10%が、革新的なビジネスモデルを活用して、生成AIの収益化ポテンシャルを倍増させる
Societal Impacts of AI(AIの社会的影響):
2028年までに、A1000企業の10%が、現在は推測の域を出ないAGI(artificial general intelligence)システムの実験を行い、社会に変革的な影響を及ぼし、重要な機会と脅威を生み出すでしょう。
AIが機能するためには、強力なインフラと計算能力が不可欠です。2027年には、サーバーアクセラレータ(GPU、FPGA、DPU、AI ASICsおよびASSPs)に対する支出がサーバーCPUに比べて逆転し、AIハードウェアの領域において変革的なシフトが見られると予測しています。
Silicon Evolution(シリコン革命):
2027年までに、サーバーアクセラレータに対する支出はサーバーCPUに比べて55/45の割合で逆転する