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自動車産業の構造変化と横断的なデータ連携基盤の構築

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経済産業省は2022年4月25日、「第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」を開催しました。

この中から、自動車産業の構造変化と横断的なデータ連携基盤の構築について、とりあげたいと思います。

自動車産業の構造は、現在は、車体製造や制御、パワトレが中心のモデルですが、2030年以降は、モビリティサービス×自動運転の進展により、大きく産業構造が変化していくと予想されています。

自動車産業や異業種との融合や競争、MaaSプレイヤーのプラットフォーム化も進むことが予想され、モジュール化の進展など、付加価値の奪い合いが進むと予想されます。

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出典:経済産業省 第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会 2022.4

産業構造・付加価値構造変化の中での新たなビジネスモデルの展開をみてみましょう。

自動車の走行データを活用し、様々なサービスに活用する「プラットフォーム」を構築。データ+メンテ+MaaS車市場のシェア確保で稼ぐモデルや、他のサービス事業者や交通事業者とも連携し、MaaSや、テレマティクス保険、予防整備、交通情報・管制、インフラ管理、スマートシティなど、ユースケースが想定されます。

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出典:経済産業省 第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会 2022.4

横断的なデータ連携基盤の構築の重要性にも注目が高まっています。

様々なパートナーとの「データ連携」を行うことで、例えば以下のようなユースケースを実現可能としています。

① SC・VC全体を通じたトレーサビリティの確保(ライフサイクルでのCN対応、効率的な在庫管理等)
② (異業種含む)パートナーと一体での新たな社会的な価値・サービスの提供

ドイツでは、広範なユースケースを想定し、戦略的に個社・業種横断的にデータ流通網を構築しようという動きも活発化(Catena-X)。米国でも同様のプラットフォーム形成の動きが存在(MOBI) しています。

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出典:経済産業省 第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会 2022.4

横断的なデータ連携基盤の構築に向けた諸外国での取組では、Catena-XやMOBIの取組を紹介しています。

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出典:経済産業省 第4回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会 2022.4

データ連携基盤構築に向けた取組の方向性では、

・データ連携基盤の構築は、自動車に限らない業種横断的な課題。そのため、①業界横断的な対応、②自動車・蓄電池などの個別のユースケースにおける具体化を同時並行的に進めていく必要。
・自動車分野では、喫緊のニーズが高い車載用蓄電池における具体のユースケース(CFPの算定等)を念頭に取組を具体化。
・その際、将来的な「自動車全体」、「異業種」とのシステム連携への拡張、横断的なシステム構築の動きとの連動を意識することが重要。

といった点をあげています。

データ連携基盤構築に向けての検討が必要な事項では、

① ユースケースの実現に必要なデータの特定 (協調領域の特定と、有効にアプリケーションを動かせるデータセット)
② 特定したデータの取得・加工 (センシング(IoT)、データクレンジングのコストへの考え方)
③ データの流通上の課題 (運営者・利用者の明確化、プライバシーやセキュリティ等の確保)
④ 上記を実現するためのシステム構築の課題 (デジタル技術も活用し、相互接続性/拡張性を担保)

といった点もあげています。

この辺は、自動車産業のデータ連携基盤に向けては、重要な位置づけとなっていきそうです。

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