お金を金融機関に預けること、情報を事業者に預けること
リーマン・ブラザーズの破綻、そしてAIG経営危機による米政府の支援など、過去に例を見ない金融不安が起こっています。証券会社や保険会社、そして、銀行に自分のお金を預けることに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。バブルが崩壊したときに、「たんす預金」という言葉が流行りましたが、金融資産を投資・運用するよりも、自分で保有しようという動きが広まる可能性も考えられます。
一方、IT業界においては、SaaSやPaaS、そしてクラウドコンピューティング等というキーワードがトレンドになっているように、企業の情報を自社ではなく、事業者側に預けるという動きが広まりつつあります。しかしながら、セキュリティや品質の不安等から、まだまだ導入実績は、必ずしも多いとは言えません。
景気が急速に後退している状況を考えると、お金を金融機関に預けることよりも、情報を事業者に預けるほうが安全ではないかと考えられます。
自分がお金を預けている金融機関が破綻したら、お金の一部が戻ってこない状況も十分に考えられるでしょう。インターネットでの金融取引もフィッシングサイト等必ずしも安全であるとは言い切れません。金融機関にお金を預けることと「たんす預金」とメリットとデメリットを冷静に考えてみる必要があるかもしれません。もちろん「たんす預金」は泥棒や災害等で損失するリスクが大きいのも事実です。
情報においても同様です。自社でシステムを構築し、情報を自社で管理するのが良いのか、自社の情報を事業者に預けて安全に管理してもらうのが良いのか冷静に検討してみる必要があるかもしれません。情報を預けている事業者が破綻することも可能性としては十分にあるでしょう。事業者が破綻したときに、情報が無事に戻ってくるのかという不安もあるでしょう。しかし、お金が戻ってくるかということと比べてみると、情報が戻ってくる可能性のほうが高いのではないかと感じています。
お金を金融機関を預けることを少し念頭に置きながら、自社の情報を事業者にあずけるのか預けないのかと考えてみると、自社の情報の扱い方の方向性が見えてくるのかもしれません。